不登校になったお子さんは、どのように居場所を見つけていったのでしょうか?また、保護者の方はどのようにお子さんと関わっていたのでしょうか?
今回は「今まさに子どもが学校行き渋りだ」「今まさに不登校になった」というご家庭の方に向けて、他のご家庭はどうやって情報を見つけ、居場所を見つけ、どのようにお子さんが変化していったかをインタビューいたしました。
この記事では、現在中学3年生・男の子の保護者の方にお話いただいた内容をご紹介します。
子どものプロフィール
- 名前:Kくん
- 特性:自閉症スペクトラム(年長時)、中学に上がる時に診断してくれていた先生が病院をやめるということで、担当医師をかえるか転院するかという話になりました。その時に、系列の病院が多摩市にもあって転院。その転院前に、担当してた先生が「自分は児童の精神科医じゃない。多摩の方は児童精神科医がいるので、そっちの方が良いんじゃないか」「思春期に入るので専門の先生の方が良い」とアドバイスをもらいました。新しい先生から「自閉症と診断されてるけど、半年くらい経ってから、今はADHDの症状の方が出ている。今診断するとしたらADHD。投薬する場合は、診断する必要あるのでするけど、今は投薬必要ないので、診断しない」と言われて、今に至ります。
- 好きなこと:ゲーム(ポケモン、マイクラ、妖怪ウォッチDS、ゼルダ、ドラクエ)
- ポケモン、YouTube(ゲーム実況)
先日ホワイトデーのプレゼントを急にもらいました。いつもバレンタインデーにチョコをあげていて、今年はあげてないのに、急にくれました。しかも手紙付きで。
普段LINEでやりとりしてるのに手紙でちゃんと書いてくれるんだなぁ、と嬉しくなりました。
不登校になったきっかけ
小学校1年生の頃は、ほぼ問題なく通えていたのですが、小2で担任が変わったのが始まりでした。
例えば宿題の漢字の書き取り。
「書けていれば毎日花丸」だったのが、漢字だけでなくひらがなまで赤で直され、直されたところは全て消して書き直さないと休み時間遊びに行けなくなりました。
上履きは新学期になってから数週間持ち帰りませんでした。聞けば「僕の上履き袋だけないんだよ」と。1年の時は金曜日に先生が配ってくれていたそうで、新担任にはそれが引き継がれなかったようです。
他にもクラスのルールの変化についていけなかったようです。
決定的だったのは、ひっ算の引き算。やり方を子どもたちに考えさせてから、正しいやり方を教えるという内容だったそうですが、息子は「自分はバカだから間違えてしまった」と授業中に家に帰ろうとしたそうです。
その次の日から行き渋るようになりました。
その後好きな授業や行事だけ行っていましたが、担任の理解が無く、やり取りする私も疲れてしまい、登校しなくなりました。
小学校入学時から週一回通級に通っていましたが、そちらは卒業まで通うことができました。
学校側とのやり取り
本格的に休み始めたのは2年生1学期の途中。
その時に、今後どういう風に息子に接していくかを、通級と私たち保護者と学校で情報共有して、同じ対応していかないといけないと、ケース会議を開きました。
そこに、その時の通級の先生が進行役で入ってくれて「学校側は特にやることないです」とはっきり言ってくれました。
「これは二次障害の一歩手前。これ以上学校側が何かするのは良くない。」と。
当時の担任である2年生の先生は、あまりピンときていない感じでしたね。
通級の先生はご自身がADHDで薬も飲んでいてよくわかっていて、その先生いわく2年生の先生は「ASDっぽい」と。
他者の気持ちの理解がない、自分のやり方をかえられない、などそういう特性がありますねと言っていました。
2年生の担任の先生は「僕も特別支援学級にいたことあるんですよ」と自分で言っていたこともあったのですが。それでこの理解なのかとびっくりしました。
ケース会議の時も一言も話していないし、その後も何度かイベントある時にやり取りしたけど、いまいちピントが合わなかったです。
具体的にこちらが「こういう配慮してほしい」と言わないと気づかない形でしたね。
行き渋り中の子どもとご家族の様子
休み始める前までは、私も不調に気づけなかったんです。
後でよく考えると、上履きを持って帰れないとか、宿題するのが遅くなったりしていました。
更にその時一緒に登校している友だちから、ランドセル叩かれるとか、蹴られるとかがありました。同じ幼稚園時代の友だちからたまたまKが標的になっていたんです。
みんなやられていて、たまたまKのタイミングだったんですね。
「仲良くしていたのに、突然嫌なことされる」と。
そういう周りの変化や、学習面、クラスの担任の変更など、色んなことが変わってしまって、Kはついていけなくなったんです。
お子さんの困りごとを解決するための情報をどのように取得していましたか?
同じ通級に通う保護者同士で情報共有していました。
ちょうどKが入った一年生の時に、次の年度から「通級を東京都全校配置する」となり、次の年度から段階的にやっていくと決まりました。
在籍の学校に通わせないといけないことになり、1年生の時の通級から出ないといけなくなりました。
せっかく1年通って慣れていたのに、また環境をかえないといけないと、保護者の間で不安・不満がありました。
説明会に足を運んだり、色々情報を集めたり、共有したりしていました。その時は通級にお向かいにきていて、お向かいで待ってる間にそういう話しをしていましたね。
通級の先生からもたくさん教えていただきました。息子は違う学校の通級へ通っていたので、毎回送り迎えの時に先生とお話しできて本当に助かりました。
通級のシステムがかわるタイミングで(※上述)、送り迎えをしていたので、例えば迎えにいったときは「今日はこういうことをした」「こんなことができた」とか話していました。
毎学期面談時間が1時間あったので、地域の情報や使える福祉のサービスなども教えてもらったり、本当にすごくささいなことを話もしていまいした。
その日の体調から、この一週間でこれがあった、とか。
新しい発見とかを一緒に喜んでくれる存在でした。
お子さんの困りごとを相談する場所やコミュニティはありますか?
保護者同士のグループLINEがありますが、そんなに活動していないので、今はBranchと出会えて本当に助かっています。もっと早く入ればよかったです。
あまり自分が外に出て、聞く機会が少ないので、投稿したことに反応もらえるのが嬉しいです。
息子も中学生で、自分のした経験を話すと「ありがとうございます」と言われるので、少しでも役に立てたかなと嬉しいですね。
他のお子さんの嬉しかったことや、成長したことなどを見ると「いいなぁ」と思います。
最近一番テンションがあがったのは「以前参加していて仲良かった子が、Branchに帰ってきてくれたこと」です。
最初にたくさん遊んだのがその子で、お母様とはその後もずっとやり取りしていたんです。
「楽しい場所」「ここなら迎えてくれる」と感じていたたんだなぁと思ってジーンとなりました。
戻ってこれる場所なんだなぁ、と。
お子さんが所属感を感じている居場所はありますか?
フリースクールですね。
週に1回5時間、お弁当を持って行っています。
息子の大好きなSwitchを持って行ってよいのが決め手でした。
もう1年で終わりです。
最初は週2回だったのですが、去年の夏休み前に「ちょっと疲れたー」と休学しました。
どうするのかなと見ていたら「フリースクールの友だちに会いたくなったからまた行くー」と11月からまた通い始めました。
その際に「2回だと疲れるから、1回にしようかな」と今は1回になっています。
「友だちと会いたくなったんだー!」私はびっくり。
休んでいる間はBranchの友達と遊んでいたけどフリースクールの子とも会いたくなるんだなぁと。
卒業遠足はディズニーランド。遠足なんて参加したことないし、ディズニーにも興味なく、うちでもいったことなかったんです。
でも、友だちとまわって、お土産も買って、ご飯も「おいしかった」と言って帰ってきました。それも驚きましたね。
もう一つはBranchです。
今の息子があるのは、Branchで様々な経験を積めたからだと思います。
ありのままの自分を受け入れてくれたこと。オンラインでも楽しく遊べる(怒ったり傷ついたりもありましたが)仲間ができたこと。そして自分を必要としてくれる人たちに出会えたこと。感謝しかありません。
息子は「自分が役に立てている」と感じてそうです。
一部運営を手伝っていて、あれを「やる」と息子からは聞いてないけど、たまたまK企画のイベント投稿を見て「あ、やるんだ」と思って見ていたら、「何時からやるから、お昼ご飯は何時までに食べたい」と言われました。
「自分のスケジュールをちゃんと管理してるんだ!?」と驚きました。
その後、イベントに参加したお子さんのお母さんからダイレクトメッセージをもらって
「すごくKくんの対応がよくて、話しかたが落ち着いていたり、子どもたちがワチャワチャしてたら『落ち着いて落ち着いて』と場をなだめたりしてました。初めて入ってフレンド登録の仕方が分からない子にも、きちんと説明していました」と褒めてもらえました。
所属先を得た後、お子さんはどのように変化しましたか?
フリースクールとBranch、リアルとオンライン、それぞれの経験が相互に生かされている気がしています。
フリースクールで友だちと上手く付き合えなくなり、休学したことがありました。「自分はオンラインの方がいい」と言い、Branchの仲間との遊びが深くなっていきました。しかし1ヶ月後、「フリースクールの友だちにも会いたくなった」と復学しました。
リアルの良さ、オンラインの良さ、どちらも経験して、自分なりの友だちとの付き合い方を学べたようです。
Branchで学んだこととフリースクールで学んだことが相互に影響しあってることがありました。
例えば、フリースクールを休学して復学した時に、新しい子が入っていたんです。
その子にKの方から「はじめまして」「どんなゲームしてるの?」と話しかけたようで、フリースクールの先生がすごく驚いて「休学中に何があったんですか?」と言われました。
「初めての子にどうやって話しかけるか」などをBranchで遊んでいて学んだんだなぁと。
Branchやってなかったら、それはやってなかったと思います。
オンラインの良さは、家という安全地帯にいながら外の世界と繋がれるところでしょうか。
落ち着ける環境でないと、うまくできることもできなくなってしまうので。
また、顔や声を出さなくてもいいのは、コミュニケーションのハードルが確実に低くなっていると思います。
リアル(オフライン)の良さは相手の存在をより人間らしく、生きていると感じられるところかなと思います。
私の話ですが、Twitterで知り合った北海道の友だちと、こないだ横浜で初めて会うことができました。
5年程ずっと文章で会話してきた彼女と握手した瞬間、「心が震えるってこういうことか、この歳になってからもこんな素敵なことが起こるんだ…!」と、気がついたら泣いてました。
子どもたちにもいつかそんな瞬間が訪れるといいなと思います。
オンラインなんて始めたら、ますます外へ出られなくなるんじゃないか…という心配をされている保護者さんは多いと思います。
でも家の外に出るか出ないかではなく、心が外へ向いているかどうかの方が大事だと思うようになりました。
本人が必要だと思えば、こっちが誘わなくても外へ出るようになるんだな〜とわが子らを見て教えられました。
保護者さんの感情/気持ちの変化
小2で行けなくなった時が一番つらかったです。
どうしたらいいのか分からないし、この後どうなっていくんだろう、と。
不登校なだけじゃなくて、発達障害もあって、本当に不安でしかなくて。そういうの本人に見せちゃいけないんだ、と。吐き出す場所がなくて、毎日つらかったです。
通級にはいけてたので、通級の先生に相談して、市の発達支援センターの心理士さんに相談したりして、小学校2年生の夏休みあけから、適応指導教室に通えるようになりました。
本人もお弁当持って、楽しく行っていました。「また通えるところが見つかって良かったな」と思っていました。
そんな中、4年生の時にKをよく理解していた先生がいなくなってしまったんです。
その後、お茶の先生のところに行ってお茶会に参加するというイベントがありました。その時、Kは「駅まで歩きたくない」と言って、私は「電話くれれば迎えに行くよ」と伝えました。
そこで職員室で私に電話しようとしたんですが、ああいうところって外線がそのままつながらないようにできているんですね。
そこでKはパニックになってしまって、ゴミ箱を蹴飛ばしたり荒れました。
先生も移動しないとのことでKに付き合えなくて、適応指導教室の下の階に教育センターがあるのですが、そこの男性職員が5-6人来て、暴れるKを押さえつけたんです。
連絡をもらって慌てて迎えにいったら、職員の方がKを抱き抱えて、肩にかついでいました。
Kは怖くて泣いていました。
その時私は「早くKをこの場から離れて安心できる場所につれていきたい」と思って、連れて帰りました。
あとから話を聞くと「暴れたから、数と力で対応した」と言われました。
Kからすると知らない大人がたくさん来て、押さえつけられて怖かったかな、と。
理解してくれる先生がいなかったので、誰に相談すればいいか分からない。そのこともあって、適応指導教室も行けなくなりました。
「今後も何かあったら、下の先生を呼びます」と適応指導教室の室長に言われて、安心して通わせられないな。と。
そこからフリースクールを探し始めた。今のところに通えるようになったのは、コロナの休校明けからです。
通える場所がないって時期はつらかったです。
居場所見つかっても、ずっとそのまま来れているわけじゃなく、Branchでも友だちがうまく行かなかったり、フリースクールでも衝動性でうまく行かない時に壁叩いたりとかあったり。そういう事がある度に「どうしよう」と落ち込んだりしていました。
でも、やっぱり小2のころとかに比べたら、ひどく落ち込むとかはなかったかなぁ。
あとは、フリースクールやBranchの居場所ができて、私も外に出た方がいいのかなと思うようになりました。
「外に出ろ」とかよく言うけど、私が外に出てないな、と。
私も活動した方がいいかな、とボランティアを始めたりしました。
不登校や行き渋りがあり、今まさにお困りの保護者さんにメッセージ
最近思ったのは「ずっとそのままなんてことはないよ」ということです。
知らないところで子どもは成長していくし「希望はない」なんて絶対に無い。
助けてくれる人もいるし、理解してくれる人もいるし。1人で抱えなくてもいいんだよ、と伝えたいです。
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発達障害や不登校の子の「友だちができる。安心できる居場所」とは?
Branchでも1つの解決策として、不登校・発達障害があるお子さま向けの「学校外で友だちができる」オンラインフリースクールを運営していて、以下のような特徴があります。
- 「発達障害」や「不登校」で悩まれている保護者の方達がなんでも自由に悩みや困りごとを相談できる安心できるコミュニティや、家族以外の人との関わりが減ってしまった不登校のお子さま達が自分の「好きなこと」をきっかけに安心できる居場所や、友だちができるようなサービス。
- NHKや日テレなど多くのメディアにも紹介され、本田秀夫先生との対談や、厚生労働省のイベントの登壇実績もあり、サービス継続率は約95%以上。
- 小学校低学年のお子さまはもちろん、どんな子でも楽しく参加できるようにスタッフがお子さま一人ひとりに寄り添ったサポートを徹底。
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「学校外で友だちができる」Branchオンラインフリースクール
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