
子どもが「ママといたいから学校に行きたくない」と言って、登校を渋る。そんな経験をした方は多いのではないでしょうか?
甘え?それとも何か別の理由?簡単に学校を休ませてしまっていいの?
この記事では、そんなとき、子どもに対して親としてできることについてお伝えします。
「ママといたいから学校に行きたくない」~言葉の裏にある本当の気持ち
「学校に行きたくない」の裏にある子どもが感じる不安の正体とは?
子どもが「学校に行きたくない」と言ったとき、その一言の裏には、複雑な気持ちや日々積み重ねられた不安が隠されています。
たとえば、
- 友だちとの関係に悩んでいる
- 先生との関係に緊張している
- 授業についていけない不安
- 教室がざわざわして落ち着かない
- 新しいクラスや担任に慣れない
- 引越しや家族の変化など、家庭内の環境に戸惑っている
大人から見れば些細なことでも、子どもにとっては大きな問題かもしれません。
まずは「どうしたの?」「何かあった?」と、否定せず穏やかに問いかけてみましょう。
言葉にならない気持ちを受け止めようとする姿勢が、子どもを安心させ、信頼関係を築きます。
「ママといたい」のはなぜ?
「ママといたい」という言葉は、子どもの「安心したい」「守られたい」という気持ちの表れです。
特に低学年の子どもが不安を感じると、安心できる「ママ」と一緒にいたいと思うのは自然なことです。
しかし、この感情は小学校高学年や中学生でも見られます。
年齢が上がると「ママといたい」と素直に言えず、「お腹が痛い」「学校に行きたくない」と表現が変わることもあります。
一見楽しく学校に通っているように見える子どもでも、授業や友だち関係、先生との関わり、給食や掃除といった学校での活動には、緊張を伴います。
一方で、家は子どもにとって安心できる場所であり、ママが安心の象徴になることもしばしばです。
学校での緊張と家庭での安心感、この2つのギャップが大きいほど、「ママといたい」という気持ちが強くなるのかもしれません。

「ママといたい」が甘えとは限らない理由
「ママといたい」は、子どもにとっての小さなSOSかもしれません。
そこには甘え以上の意味があることが多く、「安心が必要」という心の声でもあります。
分離不安は自然な成長の一過程
「ママといたい」と感じるのは、ごく自然な発達段階の一つです。
特に進級や新学期など、環境が変化する時期には不安が高まりやすくなります。
親として大切なのは、子どもの不安に寄り添いながら、少しずつ安心できる経験を増やしてあげること。
「今日は一緒に玄関まで行こうか」「学校には行かなくても一緒に散歩しようか」といった、段階的な関わりが有効です。
分離不安を感じる子どもにどう対応する?
子どもが発するサインに気付こう
年齢の低い子どもは自分の気持ちを表現することがまだうまくできません。
一方で、思春期に入ると、自分の気持ちを素直に表現することに抵抗を感じ、言葉で伝えられない場合もあります。
だからこそ、子どもの表情や行動の小さな変化に注目してみてください。
そこに小さな不安や葛藤が隠れていることもあります。
- 朝、起きられない
- 朝食を食べるのに時間がかかる
- 笑顔が減る
- 些細なことで怒る
- 「お腹が痛い」「頭が痛い」といった身体的不調を訴える
「何か様子がおかしいな」「いつもと違うな」と思ったら、まずはその違和感を大切に子どもの様子を見てみましょう。
子どもの不安を受け止めよう
「学校に行きたくない」と言われると、保護者としては不安になります。
- 簡単に休ませてしまっていいのか
- 甘えじゃないのか
- このまま休み癖がついてしまうのではないか
と、さまざまな心配が頭をよぎり、反射的に「頑張って行きなさい」と言いたくなってしまうこともあるでしょう。
しかし、まずは「行きたくない気持ち」をそのまま受け止めることが、最も大切な第一歩です。
- 「どうしたの?」「何かあった?」と問いかける
- 「学校に行きたくないんだね」「ママと一緒にいたいんだね」と子どもの言葉を繰り返す
- 「ちょっと不安なんだね」と気持ちを代弁する
このように問いかけたり代弁したりするだけで、安心する子どもは多いです。
「安心を取り戻すこと」を大切にしてあげましょう。

多くの保護者が「ママといたい」に悩んでいる
~Branch保護者会で「ママといたい」「母子分離不安」について話し合いました
母子分離不安とは
母子分離不安とは、子どもが母親など特定の養育者から離れることに対して強い不安を抱く状態のことをいいます。
Branch保護者会での相談内容
Branchオンラインコミュニティでも、「ママといたい」という強い要望や分離不安に悩む声は多く聞かれ、定期的に話題に上がります。
そのため、保護者会やワークショップなどが複数回開催されています。
特に多い悩みとしては、
- この生活がいつまで続くかわからない
- このかかわりかたでいいのだろうか
- 思春期に入った異性の子どもにはどう対応したらいいのか
などが挙げられます。
離れられるようになったきっかけ
そんなお悩みに対し、過去に同じ悩みを抱えていた方の体験談も多く寄せられました。

「学校に行かなくていい」ということをはっきりと本人に伝えることができてから落ち着いてきたように思う。



変化は突然やってきました。
好きな本をAmazonで頼んで、ポスト投函の通知が来たら「取ってくる!」と1人で行ったんですよね。



何がきっかけという訳ではないけれど、徐々に徐々にかな。
私がやっていたことは、こういったことです。
①仕事の時間調整をできる部分はする
②子どもが「いてほしい」と言う時はなるべく付き合う
③どうしてもいられない時は帰る時間などの予定を伝える
④本人が「大丈夫」と言ってもいつでもLINEや電話をしてきていいということを伝える
特にLINEでやり取りできるように、一緒に練習しました。
また、「私もかつて母子分離不安を感じる子どもでした」という保護者さんご自身の声もありました。
思春期や異性の子どもにはどうしてる?
思春期に入り、体も大きくなってきた異性の子どもとスキンシップをどう取るか、と悩む保護者の声もあります。
それに対しても、皆さん、様々な工夫と対応をされています。



肩をくっつけてゲームしたり、背中ポンポンしたり、寝る前にマッサージしたりといったかたちでスキンシップを取っています。



無理にスキンシップをしなくても、ぬいぐるみ、温かい飲み物、シリコン湯たんぽなどを活用しています
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終わりに
子どもは皆、変化し、成長する力を持っています。
今、「ママといたいから学校に行きたくない」と感じているのは、子どもがその力を蓄えている時間なのかもしれません。
無理に押し出すのではなく、安心感をたっぷり届けながら、子ども自身のタイミングで「一歩踏み出せる日」を待ってみましょう。
それが、将来の信頼関係の土台になります。
「学校に休まず行くことが正解」と決めつけず、お子さんのペースで安心できる環境を整えていかれるといいですね。
最後に、Branchの保護者さんが支えられたという、児童精神科医・佐々木正美先生の言葉を紹介します。



息子の母子分離不安時代、私はこの言葉にだいぶ支えられていました。
子どもはじゅうぶんな依存体験をすると、自分に自信をもち、自分の存在に誇りを抱くことができます。
そして同時に、仲間に対して共感し、感謝の感情を感じやすくなり、安心して人を尊敬し信頼することができるようになります。
「子どもの心の育て方」佐々木正美
「好き」で安心とつながりを育むサードプレイス
この記事を書いているBranchは、不登校・発達障害のお子さま向けのオンラインサービス「Branch home+」を運営しており、以下の特徴があります。
- 子どもが安心できるメンターと、1対1で好きなことを好きなだけ楽しむ「好きなことプログラム」
- オンラインツールをつかった、学校外で友だちができるコミュニティサービス「好きなことコミュニティ」
- NHKや日テレなど多くのメディアにも紹介され、本田秀夫先生との対談や、厚生労働省のイベントの登壇実績もある。
Branch home+は無料体験ができるので、ご利用を迷われている方は一度お気軽にお申し込みください。
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