発達障害や不登校のお子さんを持つ保護者の方々は、どんな悩みを抱え、どんなふうにお子さんと関わっているのでしょうか。
発達障害・不登校の親子向けにオンラインフリースクールやメンターサービスを運営するBranchでは、サービスをご利用の保護者のみなさんにインタビューを行い、これまでのご経験を詳しくお聞きしています。
この記事では、現在小学6年生・男子の保護者の方にお話いただいた内容をご紹介します。
子どものプロフィール
名前:Kopくん
年齢:12歳・小学6年生
不登校の期間・様子:小学4年生で行き渋り、小学5年生からはほぼ行っていない
発達障害の診断・特性:不安から来る症状があり児童精神科にかかっているが、発達障害の診断は下りていない
好きなこと:ApexLegends、ロブロックス。昔はマインクラフトなど。
不登校になったきっかけ
不登校になる前の段階として、不安が強くなると「洋服が着られなくなる」という症状が出るようになりました。児童精神科に通院し、不安が強い部分に対してお薬を出してもらっています。
症状が出始めた時点では、息子も「洋服が着れたら学校に行けるのに」と言っていたんです。私はその言葉を鵜呑みにして、一生懸命洋服を着せて学校に行かせようとしていました。
ある日、洋服は着れちゃったので「学校に行けるようになったね」って何気なく声をかけたら、逆に行き渋りが始まって……。10分-15分で歩ける登校路に3時間ぐらいかかっちゃったりとか、学校に行っても保健室にしかいられないとか、そういう状態が続いて、最終的に「もう行くのやめよう」と決めて、不登校になりました。
不登校になってからの保護者の対応
不登校そのものについては、私も主人も早い段階で「もう学校に行かなくても勉強できる世の中になっている」ということはよく分かっていたので、あまり気にしていませんでした。
「社会性が身につかないのではないか」といった意見もありますが、息子は元々、割りと社会性があるタイプだったので友達もいたし、そこまで心配していませんでした。
親の私たちよりむしろ、不登校になったことについて、本人が受けた衝撃が大きかったように思います。
本当に不安が強くなってしまって、不登校による二次障害的な症状がとても強かったんです。
そういう状態になっている息子に対して、親として心がついていかず、不登校直後は本当にパニックでした。どうしたらいいか分からず、何かその時に特別な対応はできていなかったと思います。
自分たちが変わってきたのはBranchさんにお会いしたここ最近です。息子本人だけでなく、親の我々も本当に考え方が変わってきたなって思ってます。
不登校 / 発達障害の生活上の困りごと
不安の症状に対して通院・服薬をしていますが、ASDやADHDといった発達障害の診断は、はっきりとは下っていない状態です。
ただ、主治医の方にお願いして、知能検査のWISCは受けさせてもらいました。どんな特性があって、息子は何が辛いのかが分かるかもしれないと思ったからです。
結果は言語理解が本当に高く、普段から話していてもそう感じていたので本当に納得でした。一方で他の項目との差が40ぐらいあり、小学校の授業のような、色々なことを広く浅くやらければいけなかったり、きっちり時間内にこなしたりしていくことはしんどいのかもしれないなと感じました。
また、「頭の中では理解しているんだど、形にしていくのが難しい」という傾向が見えて、本人も結果を見て納得いく部分があるようでしたので、私としては受けて良かったなと思っています。
学業の進め方
学業が一番難しいところですね。
進研ゼミをやっていて、一応ぎりぎりのベースは保てているのかなとは思うんですけど……。
ゲームやYouTubeでもいろいろ学ぶことはできるっていうことも分かった上で、いわゆる「教科学習」というものをどうしたらいいんだろうっていうのは、常に悩んでいます。
「絶対に今やらせるべきものなのか?どうしたらいいのかな?」
と、情報収集しながら、今まさに考え中です。
中学校の進路について
親として色々情報収集はしていますが、進路については、正直あやふやです(2022年1月のインタビュー時点での回答)。
6年生の間に本人がまた学校に行くかどうかは分からないけれども、卒業までに在籍校とは何らかの話し合いを進めていかなければいけない、ということは本人にも言ってあります。
本人の様子から、特に書字が厳しそうな部分が見えてきているので、検査を受けてそういった資料を集めた上で、在籍校とのお打ち合わせに行きたいと思っている段階です。
Branchでは、不登校・発達障害があるお子さま向けに、安心して過ごせる居場所として、「学校外で友だちができる」オンラインフリースクールを運営しています。
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ゲームとの付き合い方
元々、ゲームをやらせることのハードルが低い親だったんですが、それでもやっぱりずっとゲーム機の前に座っている背中を見ていると、ふと不安になることはあります。
その不安はどこから来るのかなということを、親としては常に考えています。
本人が今やることがなくてやっている部分も、もしかしたらあるかもしれないけど、とても楽しそうにゲームの世界を楽しんでいる部分も見受けられるので、「そこに没頭できるなら、今は思いっきり没頭してみれば?」とも、不安の一方で思っています。
「ロブロックス(Roblox)」で私の知らないゲームをやっているんですけど、そこのチャットでは、アラビア語とフランス語と英語がバラバラと出てくるんです。それで、共通言語としてなんとか行けそうな英語でやり取りをしながら、木の実を探しています。
アラビア語もフランス語も、何もかもが違和感なくそこにあって、木の実を探すという共通の目的を持って活動しているっていう状態が、ちょっともう大人の私はついていけないかもって思います。
不登校の子のゲームとの関わり方については課題ですよね。
考えるべき部分は本当に多いです。
Branchとの出会い
きっかけ
実は、Branchのことは利用するだいぶ前から知っていました。何がきっかけかは覚えていないのですが、おそらく中里さんか、Branchの保護者さんが発信しているものを見たのだと思います。Branchの、
「好き」で自信を創り、「好き」で社会とつながる
っていう言葉がすごくいいなと思って、心に残っていたんです。
ただ、先ほどお話したように、息子が不登校になった直後は親が外にコンタクトを取って何かに参加できるような精神状態ではなかったので、そのままにしていました。
少し時間が経って「何か動き出さなきゃな」となったときに、まず「Team Kopを作りたいな」と思ったんです。
親もいる、親戚もいる、おじいちゃんおばあちゃんもいる。そこに、息子と「斜め上の関係性」を持ってくれる大人に来てほしいなと思って、まずはじめに臨床心理士さんにお願いしてみました。
月1でカウンセリングをして、心理士さんも一生懸命ゲームの話題についてきてくれようとしてくれるのですが、どうしても子どもの方が詳しくなっちゃってるので、息子が少しつまらなそうな様子でして……。
そこで「あ!」と思い出したのがBranchさんの存在です。
久々にウェブサイトを見たら、オンラインのサービスも始めてらっしゃったんですよね。「これならオンラインだしいいかも」と思ってご連絡をしました。
Branchを利用してみて
最初はゆっちさんとマイクラで体験をさせていただきました。
ゆっちさんには息子のマイクラの話をもう本当に的確に、楽しく拾っていただいて、「分かってもらえる!」っていう感じですごく良かったんです。
そこからマイクラへの興味がどんどん変わってきて、次にフォートナイトに行ったんですね。
じゃあフォートナイトを一緒に遊んでくれるメンターさんがいいねということで、今度はたつきさんにお願いしました。たつきさんには今も月1回、メンターをお願いしています(現在はApexを一緒に遊んでいます)。
息子はフォートナイトの次にApexにハマり、そこで見たのがメンター新井さんのYouTubeの動画です。ちょうどその頃「これ以上Apexがうまくなるには、チーターについて何か対策を練らないといけないかもしれない」みたいなことを考えていたので、そういう戦略的なことを聞けるメンターさんということで、新井さんにメンターをお願いしています。
あと、「ゲーム以外でもお話を聞ける人がいたらいいよね」ということで、中里さんにも月に一回メンターをお願いしています。
息子は雑談的なものが苦手なのかなと思っていたんですけど、中里さんと話すのは「本当に楽しい」と言っていて、良かったなと思っています。
中里さんとはゲーム業界の話などをしているようなのですが、親の私が息子から又聞きするだけでも結構面白くって、「Apexにおけるチーターがどういう状況にあるか」っていうお話や、ゲームの中身だけでなくゲーム業界の買収の話などもあり、ゲーム業界の人と話しているような感じがします。
現在の過ごし方
朝は平均してだいたい8時ぐらいに起きています。「ゲームは夜8時まで」と言ってあるので、夜8時までPCの前に陣取っている生活をしています。
Discordで常につながって、Branchのお友達たちと、ゲームをしたり色々情報交換したりしています。たまに通信を切って自分1人でYouTubeを見ていることもありますね。
学校は全く行ってなかったんですけれども、6年生になってからは、月に1回プリントを取りに行ったり、気が向いたイベントは見に行ったりしています。
お子さんの変化
家族でつらい時期は本人も本当に辛かったんだと思います。
変化が見られるようになったのは、本当にBranchさんと関わってからですね。
徐々に、徐々に、徐々に、徐々に。
まずやっぱり「仲間がいる」っていうことに気付けたのが本当に大きかったです。それが一歩目だったと思います。
一歩目で仲間とつながり、徐々に心が安定してきた後に、今見ていて感じるのは、少しずつ「自分を理解しようとしている」のかなということです。
BranchさんのYouTubeのレゴと魚の回でおっしゃってましたけれども、不登校の時期に一番大切だったことは、自己理解だった、と。
例えば「これ以上やるとストレスがかかる」とか、そういう自己理解が進んだことだったっておっしゃってましたよね。
それが最近すごくよく分かるというか。今こうやって落ち着いてきて、リアルの友だちと「この子と遊ぶのは楽しいけど、これ以上遊ぶと多分疲れる」とか、ネット上でも「これ以上遊ぶと疲れるから一歩引く」とか、「これは僕は苦手だから」とか、そういうことが少しずつ腑に落ちていっている段階なのではないかなと思います。
卒業文集で、自分の不登校について書く
最近、学校の卒業文集を書くっていう時に、ちょうどメンターとして中里さんの予約が入っていたのですが、息子が自分から卒業文集の相談をしたんです。
中里さんに相談することで、おそらく自分の考えを深めて行ったのかなと思う部分もあって、すごく感慨深い出来事でした。
彼の中で「学校」について書くんだっていうことは決まっていたんです。最初は「Apexが得意なことを書けば?」みたいに話していたんですが「学校に関することを書きたい」ということで、メンター時間後は放課後とか登下校とかについて書いてみようかなという話になっていました。
私も最初中里さんと一緒で「いいじゃんApexのチーターについて書けば」と言っていたんですが、かたくなに学校のことについて書くつもりだったんだと思うんですよね。
私が次に声をかけたのは「そろそろ学校行くよ」っていうぐらいのタイミングだったんですけれども、「もう書けた」って言われて、PCで全部打ってありました。
それで読んでみたら、その内容が「自分の不登校について」だったんです。
この子がこういう着地をしたんだと思って、本当に本当に感慨深かったです。
この2年半ぐらいの気持ちを自分なりに消化して書いて、先生にもちゃんと読んでいただいて。
私が「一番ここはパンチが効いてるな」って思う部分は、実は添削されて消されてたんですけれど、本人に「ここが一番いいなと思ったんだけど、これでいいの?」って聞いたら「もう自分の中では、自分の気持ちを書き上げられたから、それでいい」って言われて。
おお、そうですかって感じでしたね。
自分なりにすごく納得したみたいです。
保護者の変化
不登校になった時点で、私も主人も全てのことにやる気を失った時期があったんです。
何のために仕事しているのかも分からないし、何のために家事をやってるのかも分からない。
そんな時期が続いたことがあったんですが、そこで主人ともよく話し合ったのが、もしかしたら私たちは、すごく子どもに覆いかぶさった気持ちでいたのかもしれない、と。
自分たちの人生は、子どものためだけに頑張って仕事に行くとか、子どものためだけに頑張って家事をするとか、そういうようなことだけではないはずだ、と考え直したんです。
子どもに覆いかぶさるような考えで生きるのは、子どもからしたら大きな迷惑だったのかな、っていう風に主人ともよく話すようになりました。
子どもがどういう状態であっても、私たちは私たちの人生を生きるべきだし、仕事が楽しいか楽しくないかは自分のことであるし、家事を楽しくするのも楽しくしないのも自分の話であって、それは決して子どもが学校に行ってるからとか行ってないからとかで変わるものではないはずだよねって。
私たちはもう私たちが楽しいと思う人生をちゃんと生きていかなきゃいけないよね、っていう話し合いをしました。
息子にはBranchのお友達がたくさんいてくれるし、1人で家に置いていっても楽しく暮らしてるので、最近は夫婦2人で食事に出かけちゃうこともあります。
大きく変わったのは本当にその部分ですね。
子どものために、子どものために、子どものために……って必死にやっていくことが良かれと思っていたけれど、多分、単に子どもに覆いかぶさっちゃってたんだな、と。これが保護者として大きく変わったところかもしれません。
保護者の願い
本当に未来が予測できない世の中なので、自分に正直に生きていってほしいなと思います。
周りの大人は、どうしても確実な方を押し付けてしまうことがあると思うんですけど、不確実なものも楽しみながら、自分の未来を進んでいってもらえればな、と思っています。
発達障害や不登校の子の「友だちができる。安心できる居場所」とは?
Branchでも1つの解決策として、不登校・発達障害があるお子さま向けの「学校外で友だちができる」オンラインフリースクールを運営していて、以下のような特徴があります。
- 「発達障害」や「不登校」で悩まれている保護者の方達がなんでも自由に悩みや困りごとを相談できる安心できるコミュニティや、家族以外の人との関わりが減ってしまった不登校のお子さま達が自分の「好きなこと」をきっかけに安心できる居場所や、友達ができるようなサービス。
- NHKや日テレなど多くのメディアにも紹介され、本田秀夫先生との対談や、厚生労働省のイベントの登壇実績もあり、サービス継続率は約95%以上。
- 小学校低学年のお子さまはもちろん、どんな子でも楽しく参加できるようにスタッフがお子さま一人ひとりに寄り添ったサポートを徹底。
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