不登校やコロナ禍での休校、在宅生活でのソーシャル・スキルの学び方は?
「不登校になると、子どもがソーシャルスキルを身につける機会が激減し、途方に暮れています。みなさんはどうしていますか?」
最近、発達障害や不登校のご家族が集うBranchオンラインフリースクールでこのような質問がありました。
他人と良い関係を築き、社会に適応するために必要な能力であるソーシャル・スキル。学校や地域でお友達や先生と関わるなかで学んでいくものですが、不登校で人と関わる機会が少なくなったり、発達障害の特性からスムーズに身につけられなかったりという子もいます。
ここ数年のコロナ禍では、学校や保育園・幼稚園がたびたび休校になったりと、不登校や発達障害の有無に関わらず、外で人と接する機会が大きく減ってしまっています。
発達障害などのある子どもが通って支援者による「ソーシャル・スキル・トレーニング(SST)」を受けられる療育施設も、感染者発生で閉所になることもあります。
「うちの子は、人とコミュニケーションを取る方法をどこでどうやって学べばいいんだろう」冒頭の質問をされた方のような悩みを持たれている方も多いと思います。
最近では、オンラインでの学習ツールもかなり普及し、自宅で勉強する方法も増えてきていますが、SSTについてはどうなのでしょうか?
友達とのゲームやチャット、家族の会話ーBranchユーザーが実践する在宅SST
Branchの保護者さんたちに、自宅にいながらソーシャル・スキルを身につける方法を聞いてみました。
オンラインの方が得意な子もたくさんいる
まず印象的だったのは、「そもそもオンラインの方が、人とコミュニケーションを取るのが得意」という子が多かったことです。
“オンラインフリースクールを開始して面白いなーと思ったことがあります。
普段Branch roomで対話していると、こちらの話す内容への返答がなかったり、話し言葉が早すぎて聞き取りづらかったり、対人が難しいお子さんたちが、
・テキストで書くとすごく丁寧にコミュニケーションを取る
・ビデオチャットだと対話が成り立つ
みたいな現象がありました。
要は「リアルでの対人」以外のコミュニケーション手段を早くから試してみると「あ、うちの子は書くコミュニケーションはできるんだ!」とか分かって、保護者さんからすると安心だなー、と。
本人も「あれ、こっちの方が俺得意だぞ?」って分かってきますしね。”
“確かにうちもテキストだと丁寧かつ会話が成り立っているような🤔
対面だと会話が一方的で噛み合わないまま進んだりします。
また、自分の気持ちや出来事を話すのがすごく苦手です。
それが学校の授業で、調べたものを文章にしたり、タブレットでまとめて発表するといった時は、とても分かりやすく相手に伝えられていることがこの一年で分かって来ました。
パニックになった時やトラブルの時、こちらから丁寧に聞き取りをしても話の筋が掴めないことが多いのですが、本人に書かせてみると、何に困ってどう感じたのかが以前よりは分かりやすいです。
昨年受けたコミュニケーションのセミナーで
「コミュニケーション=意味を伝え合うことであり、沢山喋るから、語彙が豊富だから出来ているということではない。言葉に頼らない視覚的な表現方法(書く、パソコン、メール、絵、写真)を活用するのが大事」
と教わりました。
どういったコミュニケーションの取り方が自分に合っているのか見つかると良いですよね。”
オンラインだと、段階を踏んで少しずつ慣れていける
また、オンラインツールは、チャット、音声、ビデオ通話と、自分に合った方法を選んだり、
切り替えたりできることも良い点だという声がありました。
“息子もZoomやDiscord上だと積極的にコミュニケーションがとれるようです。
最初はチャットのみで、次に音声で、最後にビデオオンで、と段階を踏んで参加できるのも、自閉気質のある息子には好都合です。
最近のコロナ禍でオンラインで参加できるものが増えているのがとても嬉しいです。
ずっとこの先もオンラインメインのままでいてくれたら、自閉っ子たちの社会参加の壁も高くないのにな、と思います。”
漫画やアニメからソーシャル・スキルを学ぶ
漫画やアニメといった、お子さんが好きな物語を通して、ソーシャル・スキルを学ぶこともできるのでは、という声がありました。
“漫画やアニメ、映画などは、ストーリーに関係のない描写はしない(話に関係ないのに突然ガラスが割れる場面を描いたりしない)ので、目に見えない心の動きなどを学ぶのに分かりやすいって聞きますね。
プレゼントをもらったけど欲しい物じゃなかったので、顔は笑っているけど、フキダシの中では困った表情をしている、とか。
そういうものを沢山インプットしておくのにアニメとか映画、良いかなと思っています。見えない気持ちを分かれ!は無理だと悟りました。”
“療育の小集団SSTなどいろいろ小さい頃はやりましたが、もう通用しなくなってきいて、今は人生のバイブル的になるアニメや漫画に出会えないだろうか、と思っています。
ただ、見させるのも、気分の波があって一苦労なんです。新しいものに切り替えるのに抵抗があったり、流行ってるとアンチになって絶対見ないとか、いろいろ大変です。見始めて「つまらなかったら、どうしよう」的な不安があるのかな?
先にあらすじを全部読んでからアニメを見ると言っていた人がいますが、どうやら、そういうタイプです。
中里さんとか、Branchの誰々くんが、薦めてたよとか言うと、見てみようかなって気になるらしいです。”
日常生活でのやり取りが「リアルSST」
療育施設などのプログラムを受けられなくても、日常の家族や友達とのやり取りの中で一工夫することが、「リアルSST」になるという経験談もいただきました。
“息子の場合は、支援に入ってもらっている訪問看護、スクールソーシャルワーカー、ボランティアとのやりとり、Branchでのオンライン、父親との会話などが「リアルSST」になってます。
通級とかは全然やる気がなくダメだったのですが、息子がやりたいことを自分で実際に経験して、つまづきがあった時に私が間に入って話し合い、相手とのやり取りの仕方をサポートして覚えていく、という方法のが一番身になってます。
特に仲良くなりたい相手とは、自ら「どう答えたらいい?」と聞いてきたりします。
息子は支援者によっては気を遣って我慢して爆発する、相手が自分に寄り添ってくれないことに不満をためて関係を断つところがあり、それを私が間に入って話し合いをして改善するというスタイルになってます。私が先に息子から聞き取りをし、支援者に話をして、3者面談して改善、みたいな感じです。
こう言ってはなんですが、支援者が必ずしも導いてくれるのではなく、トラブルになることもあるので、親と支援者がチームになって、結果的に「リアルSST」になって学びになるという感じです。”
“ASD診断が下りて間もない1年生の頃、通級の最初の面談でSSTについてお聞きした時のメモを改めて見てみました。
「お子さんの今の大脳の中は、
SST < 湧きおこる感覚、不安感
という形で、湧きおこる感覚が大半を占めています。
SSTは後からでも全然OK。
まずは、先生(大人)との信頼関係→自信、安心が土台
のんびりやっていきましょう」
と書いてありました。
でもどうやって?とその時は思ったのですが、その後Branchのメンターさんやお子さんとの交流(マイクラなどを通して)こそが、うちの子にとってのSSTだったなと思っています。
つい最近、「〇〇くん(中学生)に凄いねと言うと『ありがとう』と言うんだよ。褒められた時になんと言えばわからなかったけど、僕も『ありがとう』って返そう」と話していました😭”
すべての土台は安心感。ほっと出来る「居場所」を持つことが大事
“佐伯胖さんが「かかわる言葉は話すだけではなく書き言葉、しぐさ、アート、記号・・・沢山ある」みたいなことをおっしゃっていたのを聞いたことがあります。うろ覚えですが。そしてすべての土台は安心感だと。”
“「まずは、大人との信頼関係、自信、安心が土台」
ほんとに大事なことを、再度思い出せました!
この秋も、新しい通級の先生と合わなくて調子を崩し行けなくなったのは、信頼関係を築くより先に、SSTを試みられた先生だったからかもです。
今は母子共に疲れ果てているので、まずは、やっぱりのんびりが大切そうです。とはいえ、どんどん成長していく子を目の前にして、時々焦りが湧いてしまう。
こうして、みなさんのお話を聞いて、気持ちを落ち着かせています🙇♀️”
”私も子どものSST悩みました。不登校によって、リアルな体験のチャンスがどんどん失われていく、と焦りました。
色々試してみましたが、放課後デイや心理士さんがSSTっぽいことをやると拒否反応を起こし、せっかくそれまで築いて来た関係性が壊れる、ということも何回かありました。
昨年夏に、北海道で子供だけで開拓をするというキャンプに興味を示したので参加させ、それがきっかけでかなり変わった気がします。
が、今になって考えると、それまでの試行錯誤が蓄積して、キャンプをきっかけに表に出てきたのかなと思います。
今気をつけていることは、
・子どもの成長する力を信じる
・やりたいと言ったことは無駄のような気がしても、できるだけやらせてみる
・変化が目に見えなくても焦らない
・親の都合や周りの目を優先しない
ということですかね。日々葛藤ですが。
あと、Branchのオンラインフリースクールには、心理的安全があって、子どもも、親もほっとします。”
オンライン時代にあったソーシャルスキルの学び方
今の時代の子どもたちにとっては、リアル(オフライン)でコミュニケーションを取ることよりも、オンラインでコミュニケーションを取ることの方が頻度が高くなっていっています。
そのため、そもそもの「ソーシャルスキル」自体が変化していっているのかもしれません。
コミュニケーションの現場を「オンライン」「オフライン」で分ける以上に、もっと分解していくと下記のように考えられます。
・1 対 1 ⇔ 1 対 多
・視覚情報あり ⇔ 視覚情報なし
・相手と自分のプロフィールが分かっている ⇔ 相手と自分が匿名
・同期 ⇔ 非同期
など。
今までの時代で「ソーシャルスキルが不足している」と言われていたものは
・オフライン
・1 対 多
・視覚情報あり
・相手と自分のプロフィールが分かっている
という状態です。
この状態というのは、これからの時代においては一部の状態に過ぎません。
1 対 多を1 対 1に変えるだけでコミュニケーションが楽になる子がいます。
オフラインをオンラインするだけでコミュニケーションが楽になる子がいます。
視覚情報をなくして、自分の顔が見られない状態にするとコミュニケーションできる子もいます。
オンラインの時代になったことにより、コミュニケーションの方法は幅広くなったので、自分のお子さんはどういった形のコミュニケーションが得意かを把握しておくだけで、随分と生きやすくなるように思います。
また、Branchの保護者さんが言っているようにすべてにおいて「大人との信頼感」「心理的安全性」がまずは大事ですね。
それが無いままにソーシャルスキルトレーニングを実施すると拒否反応を起こしてしまう場合があります。
まずはお子さんにとって居心地の良い安心できる居場所があり、その上でソーシャルスキルを学べると良さそうです。
Branchオンラインコミュニティ:マイクラ部のイベントの様子
発達障害や不登校の子の「友だちができる。安心できる居場所」とは?
Branchでも1つの解決策として、不登校・発達障害があるお子さま向けの「学校外で友だちができる」オンラインフリースクールを運営していて、以下のような特徴があります。
- 同じように「発達障害」「不登校」で悩まれている保護者の方達がなんでも自由に悩みや困りごとを相談できる安心できるコミュニティや、家族以外の人との関わりが減ってしまった不登校のお子さま達が自分の「好きなこと」をきっかけに安心できる居場所や、友達ができるようなサービス。
- NHKや日テレなど多くのメディアにも紹介され、本田秀夫先生との対談や、厚生労働省のイベントの登壇実績もあり、サービス継続率は約95%以上。
- 小学校低学年のお子さまはもちろん、どんな子でも楽しく参加できるようにスタッフがお子さま一人ひとりに寄り添ったサポートを徹底。
Branchオンラインフリースクールは1ヶ月無料体験ができるので、ご利用を迷われている方は一度お気軽に無料面談予約をお申し込みください。
「学校外で友だちができる」Branchオンラインフリースクール