発達障害や不登校のお子さんと保護者が集い、部活動や悩み相談ができるBranchオンラインフリースクールでは、保護者さん同士の情報交換も活発に行われています。
学校という環境になかなか馴染めない子どもがなるべく安心して過ごせるよう、保護者さん方が取り組んできた学校との交渉のコツを伺ってみました。
学校での合理的配慮の現状
まずは、理解が得られたこと・得られなかったことについて、保護者さんの声を紹介します。
理解が得られたこと
- 音への過敏さがあるので、エアコンなどからは遠くの席にしてもらうよう直接担任へ伝えたところ対応してもらえました。
- 嫌な行事などは、どうしたら参加できるか、本人とじっくり話し合って折り合いをつけて頂いています。息子もまずは先生に相談するということができるようになってきました。
理解が得られなかったこと
- どれだけお話ししても「学校に来てしまえば楽しそうにしてるんです。連れてきてもらえさえすれば」と言われて、もう何も言えなくなってしまうことが辛かったです。
- 学習障害があり、タブレットを利用して板書を写真に撮らせて欲しいとお願いしましたが、個人情報が写り込んでしまうことや「まだ本人が板書を頑張っている」などの理由で見送りとなりました。
音への過敏さについては理解や対応も広まっている印象ですが、それ以外になかなかお子さんが言語化できないような刺激への敏感さ、疲れやすさ、集団のペースへ合わせることの難しさ、とても頑張って振舞いなんとかついていっている状況などは、学校や先生によっても理解や対応には大きな差があるようですね。
また、読み書きについても「頑張っているから練習してみましょう」「特別扱いはできない」という風に、デジタルデバイスなどの代替手段を活用できずに、書くことの継続を求められる場合も少なくないようです。
保護者さんへのインタビューの中ではこのようなお話もありました。
“識字障害と言われるほどではないんですが、板書がすごい苦手で。全然連絡帳を書いてこないので、理由を聞くと「字書くのだるい」みたいなことを言ってました。
それで「携帯で写真撮ってくるのはいいんじゃない?」と言ったら「俺だけそういう訳には行かない」と言っていて、まあそれはそうだなと思いながらも、私から先生に交渉をしたらやっぱり駄目でした。
もう、にべにもなく「ダメ」と。
「書くのも学習の一環なので書いてください。書くのが遅いのであれば消さずに残しておくし、席も前の方にさせるので、とにかく書くように」という、半強制的な形でした。
あと、蝶々結びができないんです。
伸びる靴紐があって、学外のサッカーではそれを使っていたんですが、学校では「ダメ」と言われました。学校外のクラブでサッカーをやってる子が「俺もこれサッカーの靴で使ってるよ、便利だよな」と助け舟を出してくれたんですが、それでも許可されませんでした。”
「学習障害」という明確な診断はおりていなくても、手先の不器用さや、処理速度・ワーキングメモリの弱さなどが影響して書くことが苦手なお子さんも少なくないので、その点の理解も広がってほしいものです。
合理的配慮を学校へ依頼する時のポイント
次に、具体的にどのように学校とやり取りをしていったのか、保護者さん方の経験談をご紹介していきます。
子ども自身の困り感やお願いごととして伝える
- 取り扱い説明書(得意なこと、苦手なこと、お願いしたいこと)を本人に作ってもらいました。子どもから先生に希望していることなので、先生もよく読んでくれたり、考えてくれる印象がありました。本人が書けない・作れない場合は、親が代行で作ると良いと思います。あくまでも親目線ではなく子どもが感じて苦しいという目線のアピールは有効だと思います。
子どもの内的な体験や感じている気持ちを、言語化・図式化して伝えるのは大切なことですね。
周囲から見えづらい・分かりづらいことも理解を得られる一助になりそうです。
サポートブックを作成する
- 特性に関すること、好きなこと、苦手なこと、会話のきっかけになりそうな事柄を書いたファイルをお渡ししています。
- 小学校の支援級在籍です。年度の初めにサポートブックを作って渡しています。これまでは一方的に作って渡すという形を取っていましたが、今回は先生に知りたい内容は何か尋ねることにしました。すると、特に知りたいのは「支援してほしい状況」「具体的にどんな支援がほしいか」「家庭の教育方針」との回答でした。子ども・家庭・学校が三位一体で進んでいくための一助になるといいと思っています。今回は結果がどうだったかフィードバックを記入する欄も作るつもりです。先生方の負担にならないボリュームにすることは心がけています。
支援級や通級の先生から学校側へ伝えてもらう
- 小学校入学当初、支援級の主任がわが子の通級の担当だったので、色々相談していました。校長や担任への架け橋になってくださっています。
- 年度の終わり頃、通級の先生に「学校に何か伝えたいことありますか」と聞かれ、伝言してもらいました。
第三者を交えて話し合いを進める
“先生と家庭で考え方の違いがあると、話し合いの場を持つだけで疲れてしまいます。こういう場はこれまで何度も経験してきましたが、担任と保護者の他に中立的な立場の人を入れるべきだと、改めて感じました。
うちの場合はスクールカウンセラーが入ってくれましたが、例えば養護の先生とか、距離が少し離れている人がいいと感じます。保護者と担任は同じくらい本人との距離が近いので、それとは異なる客観的な視点で場をまとめてくれる進行役のような存在がいると上手くいくことが多いです。2者で話すとお互い黙り込んでしまう場面が何度もありますが、3者だと「これからどうしていくか」についてスムーズに話が進みました。保護者も感情が高ぶってしまうこともあるので、冷静に話せるという利点もありますね。”
進学前に学校側へ伝える
小学校5~6年生で不登校だったというお子さんは、中学校入学前の学校との打ち合わせで、事前に書面を準備した上で下記のようなことを伝えたそうです。
- 感覚過敏のため、制服を着られない可能性がある
- 書字が苦手なので、板書・テストでタブレット使用を認めてほしい
- 学校には自分のペースで行ける日に行く
- 行事や式典には参加できない可能性が高い
“在籍は通常学級なのですが、先生方の反応は「いろんな子がいるから、なんでもいいよ!」というゆるい感じで、本人はほっとしたみたいです。
学校側からの提案はなく特に手厚いというわけでもないので、こちらが動かなければそのまま放っておかれそうですが、要望を言えばすべて「いいよ」と言ってもらえそうです。”
進学前にあらかじめ伝えておくというのも、理解が得られやすく、お子さん自身の安心感につながりそうです。
その他に集まったテクニック
- 交渉時には夫婦で行き、できればスーツなどフォーマルな服装で行く
- 書面で交渉した後に、返答も書面を用意してもらう
- 学校に交渉して駄目だった場合は教育委員会など別の機関に相談する
- 医師の意見書を提出する
いかがでしたか?
「専門家の意見を添える」「書面で依頼する」などはよく耳にしますが、特に今回は「子どもの視点からお願いを伝える」というのがハッと気づかされたことでした。
発達障害や不登校の子の「友だちができる。安心できる居場所」とは?
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