「最近子どもが学校休みたいと言っています」
不登校や発達障害のお子さんが集まるBranchではこのような相談が多いです。
今回の記事では、
- 不登校のお子さんはどれくらいいるのか
- どのような理由で「学校休みたい」と言ったのか
- お子さんが「学校休みたい」と言ってきたらどのように対応すれば良いか
- 学校行き渋りや不登校の相談場所
- 注:行き渋りと同時に、帰り渋りもある場合
をまとめています。
不登校の定義と統計
まずは、実際にどれくらいのお子さんが不登校になっているのでしょうか。
■不登校の定義
文部科学省の調査では、「不登校児童生徒」のことを、「何らかの心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因・背景により、 登校しないあるいはしたくともできない状況にあるために年間30日以上欠席した者のうち、病気や経済的な理由による者を除いたもの」と定義しています(文部科学省 「不登校の現状に関する認識」)
■不登校に関する調査・統計
本記事執筆時点での、文部科学省による最新の調査である「令和元年 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」の結果を見てみましょう。
令和元年度、つまり、2019年4月〜2020年3月の調査結果となります。
まず、小・中学校における不登校児童生徒数は181,272 人(前年度164,528 人)で、児童生徒全体に対する不登校の割合は1.9%(前年度1.7%)という結果が出ています。
どんな時に「学校休みたい」と言われたか
次に、子どもが「学校休みたい」と言い出した時期や状況についてご紹介します。
■進学・進級や、コロナ休校など、環境の変化がきっかけで
子どもが過ごす「環境の変化」がきっかけとなるケースは少なくないようです。
入学当初から行き渋りがありました。保育園との環境の変化に戸惑ったのだと思います。本人は「学校は好きなことしちゃいけないんだって」と言っていました。
(現在小学2年生の年齢のお子さん)
もともとは放課後公園で友達と遊ぶ子だったのですが、コロナがきっかけで「友達に会いたくない」という時期がありました。そして去年(2020年)の2学期に自ら「不登校したい」と言ってきました。3学期は完全に不登校になり、現在はマンツーマンの塾や習い事で1日1回は外出、それ以外はずっと家でゲームをしています。オンラインで特定の友達とはつながっているようです。
(現在小学5年生の年齢のお子さん)
■友達や先生との人付き合いの困難さがきっかけで
同年代のクラスメイトや担任の先生との相性が合わない、コミュニケーションが難しいといったきっかけで行きしぶりが起こるケースも少なくありません。
学校には小学1年生の3学期から行っていません。本人曰く、「同年代の子どもと関わるのが嫌だった」みたいですね。
(現在小学5年生の年齢のお子さん)
小4から行きしぶりが始まりました。中学校からは全く行ってません。繊細なところがあって、担任の先生が怖くて行けなくなったようです。
(現在中学2年生の年齢のお子さん)
「教室がザワザワして気持ち悪い。頭が痛い」
教室の音が苦手なお子さんもいらっしゃいます。
学校に行く事が大好きだと思ってた息子ですが、学校へ行くと「教室がザワザワして気持ち悪い。頭が痛い。」と言い、給食は食べれず机に伏せている状態が続き、早退や欠席が多くなりました。
最初はまさか学校が合わないとは思いませんでした。
でも思い当たる事はありました。
まずコロナ明けで今までのように友達とワイワイ近寄って遊べなかったり、コロナで普通が変わってしまった事、コロナ休校中に家の前で利き手を骨折して、あまりの痛さと辛さを知って、ギプスをしながらの登校が大変だったこと。
さらに、今思うとアトピーで元々つらい体、汗をかくとかゆくてかゆくて仕方ない体で、他の子よりも学校に行くだけでしんどい思いをしてたんだよなあ、と感じそれも大きな原因だと思っています。
ギプスの中も蒸れてかゆく、食欲もなく「頭痛がする」か、イライラするか、どちらか。
この頃は人が変わった様に物に当たったり荒れていました。
友達が他の子を叩いているのを見て怖くなった
他者がされいていることを、自分のことのように怖くなるお子さんもいらっしゃいます。
現在、息子は小学4年生です。
小学2年生の1学期に、「学校行きたくない」となり、その後、最初の1ヶ月間は学校を休みました。
原因はなかなか話してくれなかったのですが、じっくり聞いてみると、友達が他の子を叩いているのを見て怖くなったり、勉強が難しくて自信をなくしてしまったりしたようです。
大きな困りごとがあるわけではないのですが、癇癪があったり、不安を感じたりしてしまうことが多く、学校に行きたくない気持ちになって母親から離れられない、などの課題がありました。
「学校で吐いてしまったらどうしよう」という不安
給食の時のトラブルで学校に行けなくなる子も一定数います。
小学校1年生の12月の時に、習い事中に吐いてしまったことがあり、それがきっかけで「学校で吐いてしまったらどうしよう」と不安になり、学校に行けなくなりました。
その後、コロナもあって学校に行かない期間が続き、知らない間に2年生になっていました。
学校には当然なじめず。担任の先生に「給食が気持ち悪いので保健室で休みたい」と言っても「大丈夫だから」と信じてもらえなかったようです。
上記のような理由以外にも、発達障害のお子さんにとって学校という集団生活は不安やストレスでいっぱいです。以下の記事でも詳しく解説しているので、ご参考にしてください。
発達障害・不登校の子どものために、保護者ができること。知っておきたい考え方と相談先
理由がはっきりしない登校しぶりや不登校 背景と対応のコツ
ここまで述べてきたように理由が分かればいいですが、理由がはっきりしない場合もあります。
本人も理由をはっきりと分からない・話せない状態での不登校や登校しぶりについて、年次ごとによく見られるパターンや対応方法を解説します
小学校低学年の場合
お子さんの年次が低い場合は、そもそもの発達段階として
- 気持ちや理由の言語化がまだ難しい
という場合が多いです。
「学校休みたいんだ」
「なんで?」
「分からない…」
こういう場合、無理に問い詰めるのではなく、言語以外のお子さんのシグナルに注目することが大切です。
- お腹が痛い
- 服が着られない
- 夜眠れない
などの身体症状が先に出ている場合があります。
こういったときは原因を追求しようにも、言葉にするのが難しいので、まずはお子さんの体や表情を見て休ませてあげましょう。
小学校高学年以降、中学生、高校生の場合
小学校高学年以降の年次でも、理由がはっきりしない不登校・登校しぶりが起こることがあります。
- 言語化する力はあるけれど、言語化できない・したくない理由がある
という場合が多いです。
例えば、
- 親に「なんとなく学校休みたい」と言ったら「それは甘えだ」と言われて「自分でもそうだと思い直して反省している」→けどやっぱり休みたい
- 親や先生に「いじめとかあるわけじゃないけど、学校休みたい」と言ったら「先生が中学生の頃も同じようなことがあったけど、○○して頑張ったよ」と言われて「自分もそうやって頑張らないと」と思った→けどやっぱり頑張れない
- 学校に行くとモヤモヤする→本当は人の輪に入っていくことが億劫だったり怖かったりするけれど、そう思うことは「学校の雰囲気的に良くない」と思ってしまっている
などです。
学校を休みたい理由を言語化する能力は持っているけれど、主に周りの影響で「そう思う/言うことはよくないこと」とされていて、言語化することをためらったり、葛藤したりしている状態です。
子どもが「学校行きたくない」と言ったときには、すでに深刻な状態になっていることが多い
信州大医学部の本田秀夫先生はこのようにおっしゃっています。
登校渋りっていうのは子どもさんにとってはもう「学校に行きたくない」の最終段階なんです。親御さんからすると問題の始まりに見えるけれど、これは子どもさんから見ると問題の最終段階で、「行かなくなった」というのは「“学校に行く自分”っていう人生を捨てた」という、もう最後の段階です。正直、この段階から頑張ってなだめすかして行かせてたらそのうち行けるようになったっていう人はあまりいないので、無理なさらない方が良い気がしますね。
「学校に来れば元気ですよ」は、そのまま行かせて大丈夫?:登校渋りは子どにとっては「学校に行きたくない」の最終段階 – 本田秀夫先生インタビューより
保護者の方からすると突然言われたように感じてしまう「学校休みたい」の言葉。ですが子ども本人にとっては、「今まで言葉に出していなかっただけで、辛い葛藤を経てやっとお母さん・お父さんに打ち明けている」ということも少なくありません。
「学校休みたい」と言い出した時点で、すでにいっぱいいっぱいの状態である可能性が高いお子さんに対して、更に登校刺激を続けると、本人のメンタルが更に悪化して二次障害につながる可能性があります。登校の無理強いはやめましょう。
対応の第1ステップ:刺激を避けて、まずは原因を見極める
では、お子さんが「学校休みたい」と言い出したときに、保護者はどう考え、どのように対応すれば良いのでしょうか。記事の後半では、具体的な対応方法についてご紹介していきます。
まず、最初のステップでは何よりも登校刺激を避けることが大事です。その上で、子どもの話から、登校しぶりの原因を見極めましょう。
- 周囲の雑音がストレスだった?
- 実はいじめにあっていた?
- 勉強についていけなくなったのが一番の原因?
- 給食が嫌だった?(←実はとても多い)
ただしここでも、お子さんのメンタルには気を配ってください。「原因はなに?」「なんで学校行けないの!?」と強い口調で聞いてしまうと、「やっぱりママは学校行ってほしいんだな」とお子さんがプレッシャーを感じてしまい、結局は登校刺激してしまうことになりかねません。
対応の第2ステップ:登校しぶりの原因を取り除く、環境調整の方法を検討・相談する
お子さんが学校で過ごすのがしんどくなってしまう原因が分かれば、学校に戻れるかどうかは確実ではないですが、原因を取り除いたりストレスを軽減するための方法について、少なくとも学校側と相談・協議しやすくはなります。
(完全不登校になるお子さんは、ほとんどこの「配慮依頼」を断られて不登校になっていますが、中には学校側が真摯に配慮をしてくださる場合もあります)
- 周囲の雑音が気になってしまうのであれば、イヤーマフを付けて授業に出られるようにできないか?
- 実はいじめがあったのであればいったん休み、進級などのタイミングでクラスを分けてもらうことはできないか?
- 勉強についていけなくなったのであれば、自主学習に切り替えたり、宿題やテストの進行具合に配慮頂いたり、通級に切り替えることはできないか?
- 給食が嫌だったのであれば、弁当にかえてもらったり、食べなくても良いようにできないか?
上記のように、原因を取り除いたり、ストレスを和らげる方法は何があるかを検討していきましょう。原因と対策をこちらから具体的に提案することができれば、学校との相談をスムーズに進めやすくなります。この間もお子さんに登校刺激をせず、まずは安心して休息を取れるようにしてあげてください。
※給食に関する学校への配慮依頼方法については別途記事がありますので、ご覧ください。
子どもが「学校で給食を食べられない」とき、家庭と学校はどう連携する?学校への「合理的配慮」の求め方を考える
学校行き渋りや不登校についての相談場所
またBranchの保護者に「不登校や行き渋りについてどのようなところに相談していますか?」と聞きました。
そこからの情報を整理して、下記にまとめております。
オフライン
- スクールカウンセラー/スクールソーシャルワーカーに学校経由で相談してみる
- 市区町村の子育て窓口で関連NPOなどの紹介をしてもらう
- 発達障害などの診断がある場合:医療/発達相談センター(注:医療相談は最初の面談までに数ヶ月かかる可能性があります)
- 市区町村の教育センターに相談する
オンライン
- 不登校新聞:親コミュ
- カタリバ:room k
- 不登校支援センターオンラインカウンセリング
- Branch (保護者チャンネルでは、不登校/発達に関して、非常に活発な意見交換が行われています)
注:行き渋りもあって、帰り渋りもある場合(小学校低学年)
実際にあった例なのですが、学校への行き渋りがあるが帰り渋りもある場合は、学校復帰する可能性があります。
下記に実例を記載します。
- 小学校1年生の男の子
- お兄さんが長年不登校で、現在中学1年生
- 小学校に入って1ヶ月ほどして「学校休みたい」と言い出すように
- 理由は年次的に言語化が難しかったが、おそらく「家の方が居心地良い」「お兄さんも家にいるし、自分も家にいたい」「ママともっと一緒にいたい」というようなところが原因だろうとのこと
- お兄さんの例もあるので、まずは休ませようかと思うが、スクールカウンセラーの方に「◯◯くんは、きっと学校楽しめる子だと思うので、付き添い登校して少しずつでも学校に顔出せるようにしませんか?」と言われて、やってみることに
- 付き添い登校してみると分かったが行き渋りもあるが「帰り渋り」もある
- つまり、学校生活も楽しんでいる様子だった
- 付き添い登校を1ヶ月すると、徐々に母親が迎えに来たり、学校の中で近くにいることを嫌がるようになった
- 付き添い登校1.5ヶ月で、普通に学校に1人で通えるようになった
つまり、
- お兄さんがいて、学校休んでもいいと分かっていて、すぐに「学校休みたい」と言った
- 小学校1年生で、学校に通い出したばかりで、学校の楽しさもまだ分かっていなかった
- 帰り渋りもあって学校を楽しんでいる
という状況で学校復帰をしました。
- 「学校休みたい」という言葉が、何かしらの理由で簡単に言える状況であるか?
- 学校生活は楽しんでいるか?楽しんでいる場合は、帰り渋りをするはず。
この辺りは、確認しても良さそうです。
発達障害や不登校の子の「友だちができる。安心できる居場所」とは?
Branchでも1つの解決策として、不登校・発達障害があるお子さま向けの「学校外で友だちができる」オンラインフリースクールを運営していて、以下のような特徴があります。
- 同じようにお子さまの「発達障害」や「不登校」などで悩まれている保護者の方達がなんでも自由に悩みや困りごとを相談できる安心できるコミュニティや、家族以外の人との関わりが減ってしまった不登校のお子さま達が自分の「好きなこと」をきっかけに安心できる居場所や、友達ができるようなサービス。
- NHKや日テレなど多くのメディアにも紹介され、本田秀夫先生との対談や、厚生労働省のイベントの登壇実績もあり、サービス継続率は約95%以上。
- 小学校低学年のお子さまはもちろん、どんな子でも楽しく参加できるようにスタッフがお子さま一人ひとりに寄り添ったサポートを徹底。
Branchオンラインフリースクールは1ヶ月無料体験ができるので、ご利用を迷われている方は一度お気軽に無料面談予約をお申し込みください。
「学校外で友だちができる」Branchオンラインフリースクール
Branchでは他にも不登校や行きしぶりについて記事を書いています。よろしければご覧くださいませ。
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