Branchユーザーさんからの「不登校」や「行き渋り」に関する質問を、本田秀夫先生(信州大学医学部 子どものこころの発達医学教室 教授)にお尋ねしました。
その内容の一部を紹介していきます。
YouTube▷「学校行きたくない」の言葉は子どもにとっては問題の始まりではなく最終段階【信州大学医学部子どものこころの発達医学教室教授本田秀夫先生】
保護者からの質問「行き渋りがある時、学校に連れて行くべきか毎回迷います」
”学校で嫌な活動がある場合に行き渋りがあるのですが、「まずは先生に相談してみよう」と言ってなんとか連れて行き、先生と話し合いをして自分ができる活動をするという風に対応してきました。
その結果少しずつですが、困ったことがあれば先生に相談すればいいんだと思えるようになってきました。ただ、行き渋りがあると、連れて行くのが正解なのか、まずは休ませた方がいいのか、毎回悩んでいます。”
本田秀夫先生の回答
子どもと相談して決めたことを、大人がちゃんと守る
「まずは先生に相談してみよう」と言って連れて行って、相談した上でできることをやっているというのは、試みとしては悪くないと思います。
ただこれは一つだけ条件があって、先生が「相談して決めたことをちゃんと守ってくれる」場合ですよね。
子どもから見た時に例えば、「まずは先生に相談してみよう」って言ったのに、先生が相談してくれずに無理やり強引に教室に連れ込んだとかね。
あとは、先生と相談はしたけれども「今日は調子良さそうだからついでにこれもやってみよう」みたいな事を、後から言われたとか。
そういうことが一度でもあると、大人に対する不信が一気に高まってしまって、学校に行かないどころか親や先生との話するのも拒否するみたいになっちゃう方がいるんです。
なので、いくつか選択肢があって、その中で「今日はどうする」っていうことを子ども自身でちゃんと選んで、子ども自身が一旦選んだらそれを周りが尊重するという形を、とにかく丁寧にとっていくということが大切です。
「行かない」というのも選択肢だし、「行ってその日は何の活動に参加するのかを先生と相談して決める」っていうのも一つの選択肢ですよね。
相談ができる環境であれば、子ども自身が「行ってもいいかな」と思う日は行くと思うんですよ。
「行かない」という選択肢もありってしとかないと、「必ず行く」という前提だとちょっときついですよね。
子どもにも「有給休暇」があっていい
京都の児童相談センターにおられた門 眞一郎先生が、昔からよく言っておられることを話します。
子どもの不登校の問題がこじれやすい一つの要因は、「義務教育の小中学校に有給休暇がないこと」なんですよね。
大人は、別に病気じゃなくても年に20日まで休めるんですよ。企業によりますけど。むしろ労働基準法で、年に5日以上は病気でもないのに休まなきゃいけないということになっています。
ところが、小中学校はそういう規定が全く曖昧で、子どもは熱でも出さない限りは学校を休ませてもらえないんですね。
高校・大学も、厳密に言うと有給休暇のような規定はないですが、単位制で「何日以上休むと単位が取れない」ということなので、逆に言うとそこまでは休むのは自由です。
そう言う意味で、公立の義務教育の小中学生が「行く」か「行かないか」の選択肢しか与えられていないという、その窮屈さが子どもの不登校の問題を悪化させる要因なんですね。
だから、子ども自身が「今日は休むぞ」って決めたら、別に熱が出ていなくても休んでも良いっていうのを、ある程度保障しておくことは、実は悪いことじゃないと思います。
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いかがでしたか?
過ごし方の相談をするにも、休む選択をするにも、子どもと対等な目線で真摯にコミュニケーションを図ることが大切だと感じました。
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