こんにちは。不登校や発達障害のお子さんと保護者さんのための居場所、Branchコミュニティを利用している、保護者ライターのみっちーです。
子どもが登校しぶりを始めると、どこからともなく「学校へ行きたくないなんて甘えだ」という声が聞こえてくることがあります。この言葉は、当事者であるお子さんとその保護者さんにとって辛いものでしかありません。
学校へ行きたくないというお子さんの気持ちは、甘えなのでしょうか?
そもそも、甘えであるかどうかを議論をすることは、当事者である子どもと保護者を置き去りにしてはいないでしょうか?
この記事は、登校しぶりに悩まれている保護者さんに向けたものです。お子さんが学校を休むことで生じる不安や、「甘え」にまつわる目に見えないプレッシャーとの付き合い方についてお伝えしていきます。
不登校のわが子を甘やかしているのではないかー漠然とした不安やプレッシャーと戦う日々
私自身、不登校児の親として過ごすようになって6年になります。これまでを振り返って、今あえて言葉にするならば、「学校へ行きたくないという子どもの訴えは、甘えではない」というのが私の結論です。
「学校へ行きたくない」と言い出した当時のうちの子は、不安に押しつぶされそうな暗い顔で毎日を過ごし、「死んだ方がマシ」などの発言を繰り返していました。そんな子どもの姿を目の当たりにして、「甘えているだけ」なんて言えるはずがありません。
ただ、保護者の立場としては、この子の要求をすべて受け入れることは”甘やかし”なのではないかと不安でした。
それに加えて、周りから「甘やかしすぎじゃない?」などと言われると、不安はどんどんエスカレートしていきました。今でも、そのプレッシャーは変わらずにあります。
そもそも、「甘え」かどうかの議論は子どものためになるのか
「学校へ行きたくない」という子どもは、ただ甘えているだけなのか、そうではないのか。よくよく考えてみると、この議論をするのはいつも大人たちであり、子ども本人ではありません。しかも、論じている人たちそれぞれが「甘え」という言葉にさまざまな意味を込めて使っています。
たとえば
- 怠け
- わがまま
- 甘やかし
などです。言葉の定義や客観的な判断基準も共有されないまま、不登校・登校しぶりが「甘え」であるかを議論しても、平行線に終わるだけです。
仮に、私のように「学校へ行かないのは甘えではない」と主張したとして、それを結論づけることは正直とても難しいです。お子さんや家庭によって事情は違いますし、正解などないからです。しかし裏を返せば、「学校へ行かないのは甘えである」と言い切ることもできないはずです。
- 怠けてわがままを言っているだけ
- 家では元気なんだから大丈夫
- ゲームができているんだから学校も行けるでしょ
などなど、どれだけ最もらしい理由を並べても「甘えではない」ことと同じように「甘えである」ことも明確に示すことはできないでしょう。極端なことを言ってしまえば、本人の気持ちは本人にしかわからないのですから。
ここで私が言いたいのは、登校しぶりが甘えかどうかではありません。この議論をすることは当事者を置き去りにしており、子どもとその保護者の不安の解決には何ひとつ関係がないことをお伝えしたいのです。それどころか、悩める子どもを傷つける一因になりかねないと考えます。
勇気を出して「学校に行きたくない」と言葉にした子どもの気持ちは、「甘え」などという簡単な言葉で片付けてしまえるようなものではありません。
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保護者に付きまとう2種類の不安
上記の理由から、登校しぶりを始めたお子さんをお持ちの保護者さんには、「甘えであるかどうか」で悩む必要はないとお伝えしたいです。それよりもまずは、「学校に行きたくない」という気持ちを教えてくれたお子さんと、そう言える存在でいられたあなたご自身を褒めてあげてほしいと思います。
そして、一番大切なことは、不安を抱えるお子さんに寄り添い、様子をよくよく観察することです。
とはいえ、行きしぶるお子さんを目の前にすると、保護者さんも不安でいっぱいになりますよね。
私の場合、大きく分けて2種類の不安がありました。
1つは子どもに関するもので、
- 嫌なことから逃げてばかりじゃ、社会に出たときに困りそう
- 一日中ゲームばかりしていて大丈夫?
- 一度学校を休ませたら、二度と行かなくなるかも…
などです。
これについては、現代社会において(たとえ登校していたとしても)「絶対に大丈夫」と言い切れるものではないので、前述した通り、まずはお子さんの様子を見守って寄り添うことが大切になるかと思います。
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そして、2つ目は、周りからの目です。
たとえば、
- 甘やかしすぎじゃない?
- 家の居心地が良すぎるんじゃない?
- 背中を押すのが親の役目だよ
などと言われると、「ちゃんと子育てしていないと思われてるのかも…」と不安でいっぱいになりました。ただでさえ「不登校」の文字がチラついて緊張状態にあるなかで、これらのプレッシャーを受け流すのは、なかなか難しいことです。
ただ、この2つ目の不安は、少し工夫をすると回避できる場合もあります。ここからは、その方法をお伝えします。
「甘えである」というプレッシャーから身を守る方法
いくら保護者さんが「この子は怠けてなんていないし、私が悪いわけでもない」と思ったとしても、甘えであるというプレッシャーは四方八方から飛んできます。
それらから身を守るために、まずはその要因と物理的に距離を置いてみることをおすすめします。
- テレビ、新聞、インターネット(SNSなど)などの情報をなるべく見ないようにする
- プレッシャーを感じる人(親族や友人など)になるべく会わないようにする
また、心を楽にしてくれるサービスを利用するのもよさそうです。
- お子さんの様子を代わりに判断してくれるサービスを活用してみる(「学校休んだほうがいいよチェックリスト」など)
- 心療内科、心理士のカウンセリングルームでのカウンセリング
- オンラインのカウンセリングサービス
- 地域の不登校の親の会
- オンラインの保護者コミュニティ
- 気の合う、安心・信頼できる友人
誰よりもまずはご自身を労って欲しい
「子どもが学校に行かなくなるかもしれない…」そう思い始めると、とにかく不安になるかと思います。その不安の中で、もしかしたら保護者さんがご自身を責めてしまうこともあるかもしれません。それは、心も身体も疲れ切っている証拠です。
子育ての道のりにおいて、悩みは尽きませんね。私も同じです。くねくね、でこぼことした道を歩むには、とにかく体力が必要だと実感する日々です。ですから、何よりもまずは保護者さんご自身を大事にしてほしいなと思います。
心に少しでも余裕が生まれれば、お子さんの言動が”甘え”であるかという終わりのない議論よりも、自分たち親子が笑顔で過ごせる方法に目を向けていけるはずです。
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