不登校中に昼夜逆転しても安心して。小学生・中学生の親が知っておきたい精神科医による対応方法。

こんにちは。不登校や発達障害のお子さんと親御さんのための居場所、Branchコミュニティです。

今回は、不登校の保護者さんからよく話題にあがる「不登校中のお子さんの昼夜逆転」についてです。

どのような原因で昼夜逆転になり、どのように対応していけば良いでしょうか？

お子さんは昼夜逆転していますか？しているとしたら、どのような経過を経て昼夜逆転していったか教えてください。

• とにかく眠れない、眠りたくない子なので、放っておくと寝る時間がどんどん遅くなってしまいます。常用しているメラトベルと、それが効きづらいとき用の漢方など何種類かの薬を頓用として処方してもらって、今は睡眠サイクルを維持しています。それでもやっぱり寝る時間が後ろにずれがちで、旅行や欲しいものを買ってあげるタイミングで「お布団に行く時間」の約束をすることも多いです。約束してはズルズルと守れなくなり、また約束し直して…の繰り返しです。

• 夜なかなか寝付けない時があります。原因はアトピー性皮膚炎なのですが頭を冷やすと寝入りが良くなると聞き アイスノン（保冷剤）を毎晩使っています。 また痒い箇所を冷やして痒みを抑えてから寝ています。 また、眠くなる【ブラームスのBaby lullaby】を流しています。 あとは、よく「思い出話して！」と言われます 私の話を聞きながら寝付きたいようです。 ここ数日起きる時間が遅くなってきました。 起きても、すぐに朝食を食べ始められず ベッドでしばらくYouTubeや switchをしてから リビングに現れたりします。 無理に起こすことはしていません。

• ショートスリーパーなので元々睡眠は短いですが昼夜逆転までは行っていません。寝つきが悪い時のために最近メラトベルを処方してもらいました。自分で判断して飲んでいます。 考え事がありすぎると眠れなくなります。

• 昼夜逆転することもありますが、しっかり睡眠はとっています。もともと赤ちゃんのころから寝つきは悪かったです。怖がりなので、いつも電気（明かり）はつけたまま、TVまたは、YouTubeを見ながら寝むりに落ちる感じです。暗い部屋で無音だと怖くて眠れないそうです。怖い動画を見た後や、ホラーゲームとかの影響もあるのかもしれません。

• 毎日寝付けなかった時は3時頃に寝付き12時頃起きるということはありました。その頃は辛い記憶や将来への不安が反芻されて苦しんでいるようでした。 一旦時間にこだわるのをやめ、一緒にボードゲームをしたり、「死にたい」と思う気持ちを十分話せるように聞いていくうちに、漫画や本を読んだり、寛ぐことも出来るようになり、横になってもいいと感じたようで寝付けるようになっていきました。

• 基本は夜中0時から1時就寝、朝は8時から9時半起床（母子共に、、）だったので、 朝が遅いから寝れず、家にこもっていて太陽に当たらず体も動かさない生活なので寝れなかったと思います。 が、3月から突然、あつ森の中でリアルタイムに朝焼けを見たいと言い出し、朝5時15分起きが始まり、そのおかげで21時には自然に寝てしまうサイクルになりました。朝早ければ夜は自然と早く眠くなるんだなと、再確認できました。

• 22時〜翌朝7時まで、一度寝たら起きません。同じ睡眠時間でも、学校へ行っていた時の方が、緊張や興奮がおさまらない感じで、寝つきが悪かったです。

• 日中に怒りなど興奮する状況になったりすると、なかなか寝つけません。また、以前は、嫌な夢怖い夢を見るから寝たく無い、明日が来ても楽しく無いから寝たく無い、と言っていました。

• 布団に入っても、調子の悪い時は２〜３時間ほど、眠れないようです。昼夜逆転までではないですが、朝は11時頃に起きて、夜は12時頃布団に入ります。睡眠薬は処方してもらいましたが、薬を飲むのが苦手なことと、今の生活で本人がそこまで困っていないので飲んでいません。 寝れない理由は、本人によると「寝る前になると、不安なことが頭の中をぐるぐる回るから」だそうです。 そういえば、乳児のときから睡眠が細切れで、30分に一度は夜泣きをする子でした。それが2歳半頃までです。乳幼児期は、布団で横になると、その日にあったことを時系列順にペラペラと喋りながら（20〜30分ほど）眠りについていました。元々、そういうタイプだったなぁと思い出しました。寝る前に、1日の記憶の整理など、しているのでしょうかね。 元気そうに見えても、まだまだ不安があるんだなぁと見守っているところです。

眠れない時の対応はどうしていますか？

上記アンケートの中から、対策についてまとめます。

服薬

• 常用しているメラトベルと、それが効きづらいとき用の漢方など何種類かの薬を頓用として処方してもらって、今は睡眠サイクルを維持しています。
• 寝つきが悪い時のために最近メラトベルを処方してもらいました。自分で判断して飲んでいます。 考え事がありすぎると眠れなくなります。

アレルギーなどへの対応

• 頭を冷やすと寝入りが良くなると聞き アイスノン（保冷剤）を毎晩使っています。 また痒い箇所を冷やして痒みを抑えてから寝ています。

眠くなる音楽を流す

• 眠くなる【ブラームスのBaby lullaby】を流しています。

一緒にお話をする

• 一旦時間にこだわるのをやめ、一緒にボードゲームをしたり、「死にたい」と思う気持ちを十分話せるように聞いていくうちに、漫画や本を読んだり、寛ぐことも出来るようになり、横になってもいいと感じたようで寝付けるようになっていきました。
• よく「思い出話して！」と言われます 私の話を聞きながら寝付きたいようです。

ゲームで睡眠サイクルを治す

• 3月から突然、あつ森の中でリアルタイムに朝焼けを見たいと言い出し、朝5時15分起きが始まり、そのおかげで21時には自然に寝てしまうサイクルになりました。朝早ければ夜は自然と早く眠くなるんだなと、再確認できました。

朝の時間というのは「学校に行くか、行かないか」の決断を毎日迫られている

今までは、Branchの保護者さんたちの経験談をまとめてきましたが、ここからは信州大学医学部附属病院 子どものこころ診療部教授の本田秀夫先生に以前インタビューさせて頂いた内容を転載します。

• ゲームをずっとやっていて、睡眠が安定しません- 本田秀夫先生インタビューより

保護者からの質問「ゲームをずっとやっていて、睡眠が安定しません」

不登校になって2年以上経つ息子についてです。

マインクラフトやフォートナイトなどが好きで、ゲームをしたりゲーム実況動画を見たりしている時間が長いです。その影響もあって、寝る時間が遅くなっていっています。このままで良いのか心配です。

ゲームぐらいしかやれることがないのでやむを得ずやっている場合が多い

ゲームをやっていて夜更かししてしまう方は、大きく2つのパターンがあります。

少ない方から言うと、本当にゲームの依存の状態になってしまう場合。

だからゲームをやり始めたら本人のコントロールが効かずにやらざるを得なくなっちゃってやめられない。

ゲームがある限りはもう他のこと一切やりたくなくなっちゃうっていう方。

もう一つは、ゲームぐらいしかやれることがないので、やむを得ずやっている方。

実はこっちの方が多いんです、本当は。

朝の時間というのは「学校に行くか、行かないか」の決断を毎日迫られている

なので、基本的に普段ゲームをやっていて睡眠が安定しない方への対応は、まずは今言った2つのうちの後者の可能性を考えます。

後者の可能性を考えると、何が起こってるかって言うと、昼間って学校に行かなきゃいけない時間帯なわけです。

もしこれで、親御さんなり学校の先生なりが「今日はどう？」「そろそろ学校行かない？」みたいなプレッシャーをチマチマとかけているとすると、特に朝の時間というのは「学校に行くか、行かないか」の決断を毎日迫られるというプレッシャーと戦わなきゃいけないわけです。

だから朝起きたくないっていう気持ちがどこかであるわけです。

朝寝ちゃってたら「学校行け」っていうプレッシャーと戦わずに済む。



日中ダラダラするのが、不安やストレスから逃げるための最も合理的な手段

あともう一つは、昼間っていうのはみんな学校に行ってる時間帯なので、特にフォートナイトとかマインクラフトとかオンラインで他の人とやるようなゲームだとあまりやってる人がいないわけですよね。

だから昼間はじっくり休んで、夕方以降のみんながゲームにオンラインで入ってくる時間帯から活動する方が合理的なわけです。

そういう意味で「日中はダラダラ寝たりダラダラ過ごしたりしていて夕方から夜中にかけて最も活動が盛ん」というのが、こういう人たちにとっての自分の不安やストレスから逃げるための最も合理的な手段になるわけです。

こういう方の場合に、寝るのを早くしたら朝ちゃんと起きてひょっとすると学校にも行くんじゃないかって考えるのは全く見当違いです。

要するに「学校に行きたくないけど代わりに昼間にやれる活動もないからやむを得ずゲームでもやるしかない」っていう、そういう心理からすると、ゲームをやめさせられたら「他にやれること何もないじゃん」って話になります。

そこから、下手すると「自分は生きてる価値がない」みたいになっちゃうわけです。

ゲームをやめさせる対応より、日中に楽しめる活動がないか

だからこういうタイプの方の場合、やはり日中に本人がやってみたい活動とか参加してみたい社会集団とか、そういったものが作れるかどうかということは試していく必要があると思います。

学校がどうしても難しい場合には適応指導教室なり、発達障害の方であれば放課後等デイサービスを少し使わせてもらうなど。

あとは不登校の方向けの居場所支援、フリースペースのような所があります。

そういう所に行く気になれるかどうか。

「日中にここだったら楽しく行けそうだ」という所が見つかれば、そういった所に行きながら、そこに行かない時間には相変わらずゲームはやると思いますが、外の居場所とのバランスが作れるはずなんです。全くどこにも行かずに夜中ゲーム三昧で日中寝てばかりで、社会参加する場所がないっていうのは確かにちょっと心配は心配なんですけど、だからといってゲームをやめさせるっていう対応よりは日中に楽しめる活動がないかどうかを時々検討してみる方が良いのかなという気がします。

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本田先生の回答はここまでです。

終わりに

本田先生の言葉の中の「ゲーム」は様々な言葉に言い換えられます。

YouTubeであったり、Discordであったり、アニメ鑑賞であったり、です。

次の日が怖かったり不安なのでなるべく遅くまで起きるようにしていて、朝「今日は学校行く？」というプレッシャーから逃れるために遅くまで寝ようとします。

そのため「正しい生活を送って、最終的には学校に戻って欲しい」「学校に行く準備のためにも、早寝早起きのルーティンを作って欲しい」という期待を持ってお子さんと接していると、真逆の反応が返ってきてしまう可能性があります。

不登校不安から昼夜逆転することはよくあることだと認識して、お子さんにプレッシャーを与えないように対応してください。