不登校は、どんな子どもにも起こる可能性があるものです。ついこの間まで元気に登校していたわが子が急に行き渋り出したとき、あなたならどうしますか?冷静でいられる人は少ないでしょう。
一般に「子育ては大変」といわれますが、”そのとき”を境に生活は一変し、保護者の負担はいままでの比ではなくなります。
不登校の兄弟を見守って6年、私の体験談
不登校のお子さんをお持ちの保護者のみなさん、毎日ほんとうにお疲れさまです。かくいう私も不登校の兄弟を育てる保護者のひとりです。
子どもたちが「学校に行きたくない」と言い出したばかりの頃は「私の育て方がダメだったんだ」などと毎日のように自分を責めたものです。
私自身、子どもの頃に学校が苦手だったので「私の子どもだから不登校になってしまったんだ」と根拠のない理由までつくり出していました。
子どもたちが登校している頃は、日中「ひとりの時間」が持てていました。忙しい子育ての中でも「母親業」を休めるその時間があったからこそ、自分を保てていたのだと思います。しかし、「不登校」の文字がチラつき始めた日から、その余裕はなくなりました。本当につらかったですし、6年たった今でも、自責の念は振りはらえていません。
なぜ不登校児の保護者は疲れてしまうのか
子どもが不登校になると、周りから下記のように言われることがあります。
- まずは親が元気でいよう
- 調べればいろんな進路があるよ
- 相談先を探してつながろう
すべてその通りだと思いますが、疲れきった保護者さんの心にいきなり「正論」は届きません。余裕のない人にとって、これらの言葉はむしろ逆効果だったりもします。
なぜなら「子どものために頑張らなくちゃ」と疲れた体に鞭を打った場合、状況が悪化することもあるからです。「親が元気でいるのが一番」という一見ポジティブな声かけも、疲れた人をさらに追い込む可能性があります。
また、不登校の保護者さんはどんなことで疲れているのでしょうか。
たとえば、
- 子どもの将来への不安
- ずっと家にいる子どもの世話と仕事との両立
- 母子分離が難しい場合、子どもに付きっきりになる
- 毎朝の欠席連絡や、登校を促す学校への対応
- 元気がないわが子への気づかい
- 夫婦で意見が合わない
- 親族など周りからのプレッシャー
などです。
ここには書ききれないほどたくさんの要因がありますし、何がどう疲れに影響するかは保護者さんの感じ方によっても変わってくるでしょう。
不登校の子どもたちは年々増え続け、フリースクールなど、学校以外の居場所の選択肢が増えてきました。さらに、文部科学省も「不登校を問題行動と判断してはならない」(参考:「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」)としています。それでも、まだまだ社会がその言葉に追いついていないため、どれだけ「大丈夫」と言われても保護者さんの心は晴れないでしょう。
ただでさえ大変な子育ての途中で、多くの子が進む道からわが子が離れるというのはとても大きなプレッシャーになります。
また、不登校の問題は周りに相談しにくい側面もあります。保護者さん自身が周りに心配をかけたくなかったり、理解して耳を傾けてくれる人ばかりでないのも事実だからです。
これらの理由から、不登校の保護者さんが疲れてしまうのは当然のことなのです。決してあなたのせいではありません。
それぞれのリフレッシュ法と頼れるサービス
ここからは、Branchを利用する保護者さんが実践しているとっておきのリフレッシュ法をご紹介します。
みなさんそれぞれ工夫しながら自分に合ったリフレッシュ法を模索されています。その中でも、これは良かった!というものを教えてもらいました。
ジャンルごとに分けているので、興味のあるものだったり無理なく出来そうなものから試してみてはいかがでしょうか。
Branchの保護者さんのリフレッシュ法10選
《リラックスして眠る》
- 夜ひとりで寝るようにしたら体調を崩すことが減りました。
- 昼寝が日課です。子どもが側にいてもできるリフレッシュ法として昼寝は最強です。
《自分のためだけにコーヒーを淹れる》
- コーヒー豆を買って、わざわざ挽いて香りを楽しみます。息子もいい匂いだねと言って淹れてくれたりして一緒に楽しみます。
- コーヒー豆を取り寄せて新鮮なうちに挽きます。丁寧にドリップして、香りとともに味わって飲むのが至福のときです。
《ひとりカラオケ》
- ひとりでカラオケに行きます。息子が学校へ行っている間(来月からはもうないかも)や、夫が在宅で仕事をしている日に、ささっと1〜2時間ほど歌ってきます。上手く歌おうとせず、自分のカラダを楽器のように響かせて大声で歌うとスッキリします。
- 片道40分の車通勤なのでラジオを聞いて話しかけてみたり、ひとりカラオケ状態で歌いまくったりして自分時間を満喫!対向車から見たらヤバい人です!
《好きな場所へ行く》
- ナイト映画、リラクゼーションマッサージ、喫茶店でのんびり、本屋など。妻でも母でもない、私だけの時間です!
- 特別なリフレッシュタイムには、リラクゼーションマッサージに行きます。
- 美容院に行きます。馴染みの美容師さんと楽しくお話してきれいにしてもらうと嬉しくなって、大きなリフレッシュ効果を感じます。丁寧にケアしてもらえる時間って、贅沢感を感じられて嬉しいですよね。
《部屋にこもる》
- お気軽なリフレッシュタイムには、部屋にこもってYouTube視聴をします。誰も視野に入れない、誰の視界にも入らないことが重要です。芸人さんのトーク番組を見ながらニヤニヤ笑ったり、大谷翔平さんの動画を見て癒されることが多いです。
- 子どもがリビングを占拠しているので、別室に布団を敷いてゴロゴロしながらマンガやアニメを楽しんでいます。イヤーマフやヘッドホンをすると家族の気配をシャットアウトできていいです。ひとりで外出が難しいので、擬似ひとり時間を満喫します。
《推し活》
- 推しのBlu-rayを見ながら思いの丈を叫んで褒め称えることです。劇場では静かにしていないといけませんが、家なら誰も咎める人はいないので。あとは、ミュージカルが好きなので、夜な夜なBlu-rayを観つつ、一緒に歌ったり踊ったりもします。
- 今度、好きなアーティストのライブに行きます。これは超特別なリフレッシュタイム。子どもを任せて、ライブや観劇に行けるようになったのは本当に嬉しいです。
《運動する》
- ピラティスのレッスンに行って身体を動かすことです。身体の様々な筋肉を鍛える運動なので結構キツイのですが、次の日ガッツリ筋肉痛になるところも含めて運動してるという満足感が味わえます!
- ちょっとしたお散歩は、リフレッシュになります。緑の木陰を歩いたり、田んぼの間を吹き渡る涼しい風を感じたり。お花に出会えたら嬉しいですが、何も咲いていなくても、雑草のピンピンした草姿や可愛い葉っぱの形を見ると嬉しい気持ちになります。
《趣味を見つける》
- カリンバの練習をすることです。
- 私も最近カリンバ買いました!音がきれいで、適当にポロポロ鳴らすだけで心癒されますよね。音が小さくて周りへの音漏れを気にしなくていいのも良いところだと思います。
- 植物や空の写真を撮るのが好きです。
《おしゃべりする》
- 友人とランチをしながらのおしゃべりです(会えないときはLINEなどで)。
- Branchのゲーム好きの保護者さんたちとのゲーム会で癒されています。たわいもない話でキャッキャしながらゲームする時間が毎週の楽しみです。
《ひみつの楽しみ》
- 娘とずっと一緒だと夕方以降ギスギスしちゃうので、あえてお酒を飲みます。おおらかになれます!
- 買ってきたお惣菜の唐揚げを温めもせず、台所で立ったままビールで流し込んだ瞬間、たぶん脳汁が出ています。
- 子どもに内緒でポテチを一気喰い、または高級アイスを独り占めします。
- 生ビールを飲めるお店に行くと、ハッピーホルモンがたくさん出てきます!息子が「生ビールはママのガソリンだからね!」って認めてくれて、酒くさいのもガマンしてくれるのでとってもありがたいです。
- 忘れられないのは、子どもがふたりになり、仕事をやめて初めての夏休みのこと。ひとりの時間が必要な私は恐怖でいっぱいでした。ある日、昼ごはんを食べながらチューハイを飲んで、そのまま子どもと昼寝したとき「ああ、こんな方法あったのか」と思ったのは忘れられません。
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頼れるサービスを利用する
リフレッシュ法以外にも、無理なく頼れそうなサービスを利用してみるのも良いでしょう。
例えば、
- 心療内科、心理士のカウンセリングルームでのカウンセリング
- オンラインのカウンセリングサービス
- 傾聴ボランティア
- 地域の不登校の親の会
- オンラインの保護者コミュニティ
- 気の合う、安心・信頼できる友人
などで、とにかく話を聞いてもらったり、同じような状況の方と繋がることは安心につながります。
そして、
- ファミリーサポート
- 各自治体のショートステイ
- 家事代行サービス
などを利用することで、育児や家事の負担を減らすのも手です。ネットで調べたり利用登録するだけでも、いざとなったら頼れる誰かがいるんだと心が軽くなるかもしれません。
あなたの心地よさを大切に
Branchの保護者さんそれぞれのリフレッシュ法があるように、保護者さんの疲れやつらさもそれぞれです。その大きさは他と比べられるものではありません。あなた自身がつらいのなら、休んだり頼ったりする十分な理由になります。
「助けて」とヘルプ要請を出すことは、人によってはとても勇気のいることですし、ネガティブなときほど出来なかったりします。
まさに以前の私がそうでした。それでも、Branchの保護者コミュニティで他の保護者さんの経験談を目にするうちにだんだんとつらさを吐き出せるようになり、「私だけじゃないんだ」と安心できました。
そうして少しずつ自分にも優しくしていいんだと思えるようになり、味方になってくれそうな(これ大事です!)発達カウンセラーさんや医療機関と繋がることができました。
その経験からお伝えしたいのは、まずは保護者さんご自身が自分の疲れを認めてあげて欲しいなと思います。その上で、気が向いたら前述のリフレッシュ法を試してみるのもいいかもしれません。
「早く元気にならなくちゃ」と、急いだり焦らなくても大丈夫です。お子さんはきっと待っていてくれます。
子育てに正解はないけれど、どんな方法であってもお子さんと保護者さんが笑顔でいられるなら、それが正解だと私は信じています。