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発達障害の子どもが暴力をふるってしまう理由や対処方法とは?

発達障害 暴力 理由と対処方法

こんにちは。
不登校や発達障害のお子さんと保護者さんのための居場所、Branchコミュニティ、保護者ライターの烏龍茶です。

発達障害のあるお子さんの「癇癪」に悩む保護者さんは多いですが、今回Branchに、癇癪だけでなく、他者に「暴力」をふるってしまうという相談が寄せられました。

他の保護者さんの声から、発達障害のお子さんの暴力の理由や、どのように対応すればよいかが見えてきました。

目次

保護者の声「物を投げたり、すぐに手が出てしまいます」

まずは、Branchコミュニティに投稿された保護者さんからの相談と、それに対して寄せられた経験談をみていきます。

相談者

こんにちは!
最近、5歳の娘がASDと診断を受けて、幼稚園も行き渋りが続いています。
(中略)

今日は、英語教室で先生をグーで叩いたり、物を投げたり暴れたそうで…謝罪してきました。
娘は物を投げたり、すぐに手が出てしまいます。


こういう時、どのように対処したらいいのでしょうか?
本人に「◯◯が嫌なの?」「辛かったね」と娘の気持ちを言葉にして話かけてみたりしてますが…

「誰かを傷つける事は何があってもしてはいけない」とも伝えていますが、本人の中にはお母さんに怒られた、しか残ってないような気がします😓
長々とすみません。

叱ったり注意するよりも「お母さんといると楽しい!」を増やすことで不安を減らす

保護者A

息子も英語教室の親子体験で、抱っこする私の額を叩いてました。
同じ教室のお子さんもお母さんの髪を引っ張ってました。

幼児は言葉で伝えられない分、手が出てしまうんでしょうね。
単純に何か嫌なことがあって、その教室から出たい、帰りたかったのかなと思います。

うちは先生ではなく私を叩いたり、泣いたりするとその場(習い事の教室、公園等)から離れて帰っていました。

「叩いたりすることはいけないことよ」と伝えることはもちろん大事ですが、まだ理屈がわからない年齢ですよね。

やはり、不安が根っこにあるのかなぁ。
以前、母親を叩くといろんな専門家に相談すると、意見は色々でしたが、私がしっくりきた回答は、「叱ったり注意するより、お母さんといると楽しい!と感じる時間が増えていくと、その子の不安が減って自然と暴力は収まるのでは」という言葉です。

対処法、、手が出そうになる前に、その場から離れさせるとか、投げそうな物は置かないとかしか浮かびません。。

すみません

発達特性のある子たちは「生きているだけで過剰適応」

保護者B

おつらいですね。

息子も、不登校になった頃とても荒れていて、暴れて泣いて、私や物にあたることがありました。私がそれを注意すると余計に暴れて収拾がつかなくなりました。

今振り返って思うのは、本人は暴れたり叩いたりしてはいけないことは重々わかっているけれど、それが抑えられないくらい不安の方が大きくて、そうなってしまう、本人も本当はそんなことはしたくないのに、という状態だったと思います。
(中略)

でも、もしかして、英語の先生は妹さんが心を許している関係性だからわがままになれて、そういう状態になったとも言えませんか?

より小さいし、言葉でうまく表現できないところもあるでしょうし。
妹さん、相当がんばっているんですね。本田先生【注釈】「発達特性のある子たちは息をするだけで過剰適応」という言葉を常に思い出すようにしています。妹さんをいっぱい抱きしめてあげてください。
【注釈】本田先生=本田秀夫先生
   精神科医、信州大学医学部附属病院 子どものこころ診療部部長(2024年11月現在)

言葉を、こどもの感情と紐づけて伝える / 「止める」以上に、「適切に伝える」「適切に助けを求める」を強化する

保護者C

今小1の娘も、4歳のときにASDの診断を受けました。小4息子も、同じ頃に診断を受けています。

お子さんに感情を肯定的に伝えたり、やってはいけないことをしっかり伝えてるのに、見てないところで手が出てしまうのは、◯◯さんも辛いですよね😢

皆さんが仰るように、娘さんには何か理由があって、その気持ちを言葉で伝えられず手が出てしまうのかもと思いました。

感情の語彙数を増えてくるまで、手が出る前に止めるしか思いつきませんでした。
とても大変だと思いますが、応援しています。
悲しい、嬉しい以外の、ムカつく、嫌だった、幸せ、などの言葉を、こどもの感情と紐づけて伝えるのを、昔医師からアドバイスされた記憶があります。

アドバイスされたとき、高ぶる感情や行動を「止める」以上に、「適切に伝える」「適切に助けを求める」方を強化したほうがいいんだな、と思いました。すごく忍耐のいる作業ですが😣

応援しています📣

寝る前に「なんで私は人を叩いちゃうんだろ…」と思い出したように静かに泣き始めた

相談者

皆さん、ありがとうございます🙇‍♀️

暴力はいけないと伝える事は大切だけど、そのモヤモヤの解消方法を一緒に教えてあげないといけないなと思いました😞

そうなる原因を取り除くのも、もちろん大事ですよね。

昨夜、英語の先生とも話して、わからなくて不安だったからだろうという話でした。

先生は怒るようなタイプではないので「初めての習い事で不安だったのではないか」「プライベートレッスンだと先生に自分だけを見られている事が逆にストレスなのではないか」「英語がわからない事が嫌なのではないか」と根本的な原因は何かヒアリングして頂いて、今後の対応を考えて下さいました😭

娘は1歳半から日常的に噛む、叩く蹴る事があり、気がものすごく強いです。そのわりに繊細で、極端だから対応に毎日悩んでます。

何週間か前、寝る前に「なんで私は人を叩いちゃうんだろ…」と思い出したように静かに泣き始めた事があって、「叩きたくないのに、そうしてしまう苦しさ」に娘自身が悩んでいることを初めて気付きました😞

皆さんに対応策を教えて頂いて、頷ける事も多く、本当にありがとうございました!

「暴力」をふるってしまう理由

いかがでしたか。保護者さんの声からは、暴力の背景には「不安」や「疲れ」があること、また「言葉にできない気持ち」「暴力をふるってしまうほど訴えたい気持ち」があることが見えてきました。

理 由
発達障害からくる「不安」や「疲れ」

発達障害のお子さんは、見通しが立たないことに不安を覚えやすかったり、本田秀夫先生の「息をするだけで過剰適応」という言葉があらわすように、日常生活に大きなストレスを抱えやすい面があります。

日常生活を送るだけでも疲れやすいのです。

どんな人でも、心配が積み重なったり疲労が溜まればイライラしますが、発達障害や感覚過敏があると、周囲の人には「え?こんなことで?」と思うことでも不安や疲れを感じている場合があります。子どもが置かれている心理状況や、抱えている困難に周囲が気づきにくいことで、不安や疲れが解消されにくいことも背景にありそうです。

理 由
気持ちを言葉にする難しさ

お子さんの発達特性によっては、「自分は今、不安なんだ」など、そもそも自分自身の気持ちに気づきにくい場合があります。感情をうまく言葉にできないことで、周囲に気持ちを受け止めてもらえず、暴力に訴えるというかたちで表れてしまうようです。

また、衝動性のあるお子さんでは、気持ちを言葉にする前に、衝動的に手が出てしまうということもあるでしょう。

相談のケースでは、英語教室での不安や疲れに対して、適切な言葉をまだ獲得していなかったため手が出てしまったようです。「今のは嫌だった」「怖い」「もう帰りたい」など、自分の感情や気持ちを適切に伝えることが出来るようになってくると、暴力は自然と減っていくのではないでしょうか。

「暴力」への対処方法

保護者さんの経験談からは、注意したり暴力を止めようとすると、余計に不安になったり、逆に暴力的な言動がエスカレートしてしまう様子がうかがえました。癇癪や暴力が起こっている状態で叱ったり注意すると、「怒られた」という記憶しか残らないことも。

暴力はもちろんいけないことです

「暴力をふるわなくても、こうすればいいんだ」と子ども自身が学び、暴力を減らしていくために、親ができるサポートはあるのでしょうか。

STEP
不安の対象に近づかない・対象から離れる
  • 癇癪の対象になりそうな物を近くに置かない、癇癪の対象になりそうな場所に行かない
  • 癇癪や暴力が起こってしまったら、不安のもとになっていそうな物や場所から距離をとる
  • 周囲やお子さん自身に危険が及びそうな場合は、身の安全を確保する
    やわらかい物や壊れても困らない物など、代替品を用意しておくことも〇
STEP
疲れをためない
  • 発達障害があると「日常生活を送るだけでも疲れやすい」を念頭に環境調整する

 💡ある保護者さんは、お子さんに学校生活だけで疲れきっている様子があったため、放課後の習い事や用事の量を調整する、一人で過ごす時間を作るなど、心と体をしっかり休ませる時間をとるように工夫していました

STEP
感情と言葉が結びつけるようにサポートする
  • 「感情を止める」よりも、「適切に伝える」「適切に助けを求める」を強化する

 💡今回の相談のケースでは…例えば
  適切に伝える:「英語が分からなくて嫌だ」
  適切に助けを求める「お母さん、一緒に考えてほしい」「今日はもう勉強したくない」

  • 気持ちを代弁したり、感情に名前をつけるなど、言語化を支援する

 💡日常的に暴力が出てしまいがちな場面を想定して…例えば
  「悔しい」(ゲームに負けた時、失敗してしまった時など)
  「羨ましい」(ズルい→いいな、に表現が変わっていく)
  「不安だな」「緊張するな」
 (他にも、ドキドキする、体が固まっちゃう、頭が真っ白になっちゃうなど、身体感覚の言語化でもOK)

Branch代表の中里さんによれば、利用者のお子さんと関わってきた経験上、暴力や他害がおさまっていくフェーズにおいては次のポイントが見られるようです
 ①安心できる環境がある
  (周りになんでも話せる人がいる、助けを求めることができる)
 ②感情を言語化できる
 ③自分を客観視/メタ認知できる
  (暴力をふるってしまう自分を客観的にみることができる)
自分の気持ちを安心して伝えることができる、受け止めてもらえる環境もあわせて大事なのですね

STEP
「楽しい!」を増やす
  • 子どもが「楽しい!」と感じる時間を増やしていくことで不安を軽減し、自然と暴力を減らす

暴力に訴える子どもをそのまま受け止める

子ども自身が「暴力をふるう自分」に悩んでいることも

今回の相談のケースでは、娘さんから「なんで私は人を叩いちゃうんだろう」という発言がありました。

・「暴力はいけないこと」は理解している
・「本当はそんなことしたくない」と思っている

お子さん自身が、暴力をふるってしまう自分に思い悩んでいることもあります

切ないですよね。

保護者

私も当初は人を傷つけてはいけないことをわからせなければ、と諭していましたが、それが息子をより不安にさせてしまうことにしだいに気づき、暴れた時はとにかく抱きしめるようにしていました。

じつは私自身、子どもの癇癪・暴力に悩める保護者の一人なのですが、無理に押さえつけたり責めてしまうと、母親に向かっていた攻撃が、自分の頭をポカポカ叩いたりなどの自傷行為に変わってしまうことがありました。

「暴力が出てしまうことがあっても、あなたは大切な存在なんだよ」ということを伝え続けていけたらいいなと思っています。

参考記事:本田秀夫先生のインタビュー記事はこちら

「子どもの行動って、全部正解」

お世話になっている心理士さんから、こういう言葉をいただいたことがあります。

「子どもの行動って、全部正解なんですよ」

この言葉を聞いて、

  • 周りから見れば不適切・問題と目に映る行動でも、その子にとってはちゃんと理由がある。
  • 生まれたばかりの赤ちゃんは、泣いたり物を投げたりするけれど、それ以外の表現方法をまだ持っていないだけ。
  • 発達がゆっくりでも、その子なりのペースで我慢やコントロールを身につけていく。
  • 忍耐強くサポートしていくことで、いずれ必ず暴力は減っていく。
  • 焦らずにこの子のペースでいけばいいんだ。

そう思うことができました。

魔物のせいにする

また、他の保護者さんからは、こんな声も寄せられました。

保護者

本人だって、好きでそんな状態になってる訳ではないので、暴言暴挙が出たときは”また何かが取り憑いたな。これは息子の本心じゃなくて、何かが言わせてるだけなんだ・・”みたいに私が思うようにしました。
(中略)
うまく言えませんが、解決方法とか原因を探り続けるのも親のメンタルが持たなくて。魔物のせいにするのも一つの手だと思いますのでお話しさせていただきました。

保護者自身のメンタルケアを大切にする

暴力に悩む保護者のみなさんへ

子どもとの距離の近さゆえに、保護者さん、とくにお母さんは暴力の矛先になりがちなのではないでしょうか。心を許している相手・関係性だから、暴力が出やすいという面もあるのかもしれません。

ただ、小さな子供だからって、信頼関係があるからこそと言われたって、やはり人は暴力を受けたら傷つきますし悲しい気持ちになります

  • 他人に暴力が向かってしまい、謝罪を重ねていらっしゃるのではないでしょうか。
  • 親が暴力を受け止めて、痛みや悲しみに耐えていらっしゃるのではないでしょうか。
  • お子さんが自分自身に暴力を向けて、胸がギュっとなるような苦しみを覚えながら見守っているのではないでしょうか。

暴力への対応は、とても忍耐が必要な作業の繰り返しだと思います。

保護者さん自身のメンタルを守ることも大切にして、うまく支援先ともつながりつつ、たくさんの手と目でお子さんを一緒に見守れるといいのかな、と思います。

保護者さん自身が愚痴をこぼしたり、思いや経験を共有できる場所が見つかっているといいなと願っています。

保護者さんの心のケアや、暴言・暴力への対処方法については、こちらの記事も参考になるかもしれません。

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ライター/著者プロフイール

お家で過ごす小学生2人兄弟のお母ちゃんです。Branchを親子で利用しています。いつのまにか私の居場所にもなって、子ども達のやりとりに癒される日々。金融機関勤務を経て、現在は専業主婦。整理収納が生きがい。長年の夢だったリフォームを実現して、DIYにも手を出したり出さなかったり。好きなことは旅行。計画を立てるときが幸せ♥

会社概要

Company

社名

株式会社WOODY


代表取締役

中里祐次


設立

2013年11月11日


所在地

〒150-0034 東京都渋谷区代官山町9-10 Sodacco 2T02


株主

㈱サイバーエージェント、㈱ウィザス、ANRI、レジェンドパートナーズ、笠原健治氏、乙武洋匡氏、佐藤裕介氏、古川健介氏、中里、その他エンジェル投資家


会社概要

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社名

株式会社WOODY


代表取締役

中里祐次


設立

2013年11月11日


所在地

〒150-0034 東京都渋谷区代官山町9-10 Sodacco 2T02


株主

㈱サイバーエージェント、㈱ウィザス、ANRI、レジェンドパートナーズ、笠原健治氏、乙武洋匡氏、佐藤裕介氏、古川健介氏、中里、その他エンジェル投資家


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