発達障害や不登校のお子さんとご家庭の集うBranchでは、様々な家庭の課題やお子さんの成長などについて話し合われています。
会社の中でも「私のトリセツはこれです」と上司や同僚に渡している姿も昨今は見られるようになってきた、トリセツ=取扱説明書。
今回の記事は「子どものトリセツ」にまつわる、保護者の言葉。子どもを理解しているようで書いてみると実は理解していなかったと分かる、大事な考え方です。
不登校時の色んな活動を通じて、一番良かったのは自分の特性を自分自身が理解できたこと。
最初にまず不登校経験のあるメンターさんの言葉を紹介します。
下記のようなことを話しています。
- 不登校時の色んな活動を通じて、一番良かったのは自分の特性を自分自身が理解できたこと。
- 最初は学校休んでるストレスなどで悶々としてるので中々肯定的になれない。でも、その時に「これ以上ストレスたまるとやばいな」「こういう集団に入るとすごい疲れるんだろうな」というのが徐々に分かってくると、その線引きができるようになってくる。
- なので、不登校時の活動が何か具体的な形になっていなくても、きっとお子さんが感じていることは無駄ではなく、いつかお子さんの力になってくれるので、あまり刺激せず見守ってほしい。
一見毎日同じようなことをしているように見えて、苦手なことも得意なことも、実は自己理解が進んでいるというお話。
そしてその自己理解こそが生きる上で大事なことである、という考えです。
結局、本人が自分のトリセツを持っているかどうかが結果を左右する
ここからは、Branchオンラインフリースクール内の保護者チャンネルにて話し合われている内容を記載します。
近ごろ夫との会話のなかに出た「トリセツ」の話をお伝えしたくなってしまったので、少し書いてみます。
うちは夫が大学の教員をしている関係で、例年この時期は「今年は〇人卒論を出せなかった」「レポートが届かない」「単位が足りないらしい」といった学生の卒業や進路に関わる愚痴がよく話題にのぼります(もちろん個人情報にかかる話はしませんよー)。
そんななかで、ふと彼がこぼしたのが「結局、本人が自分のトリセツを持っているかどうかが結果を左右するんだよね」ということ。
私自身も昨年度までは講師として現場を見てきたこともあり、ものすごく納得しました。
大学は初等中等教育と比べてかなり合理的配慮の面では進んでいるから、利用する余地はある。それなのに利用しない。
こちらが「配慮が必要な人は個人的にコンタクトを」と呼び掛けても反応せず、結果的に自分の首をしめてしまう。
そういうケースを多く見てきました。 本人が必要性を理解していなかったり、対策をわかっていなかったりするために損をしてしまう一見「ふつうの」学生と、障がい(重度の身体的なものも含)や疾患を抱えていても人の手を借りるべき場面や方法を熟知している学生と。
どちらがちゃんと巣立っていくかというと、後者なんですよね…
そんな会話のあとにここを拝読していたら、Branchの保護者さんたちは今まさに我が子の「トリセツ」を書いている真っ最中で、今の大変な思いは絶対に将来の子どもたちが生き抜く力になるんだろうなとあらためて感じました。
ここのみなさんがすごいのは、どこかから持ってきた借り物のトリセツ(常識や教育論)で我が子を縛るのではなく、子どもと向き合い、周囲と戦いながら、完全オーダーメイドのトリセツを書いている点ですよね。
本当にすごいことだと思います
子どものトリセツ、我が家も改めて作って行かなければと思う今日この頃です。
娘は心療内科の先生からWISCを受けるよう言われず、凸凹の診断がついて無いのですが(心療内科の先生の前で殆ど喋らないので妥当な判断なのか疑問に思っていますが)、最近長男のために読んだADHDの本を読んで、衝動性が強いADHDなのかなと思い始めました‥。
長男が典型的不注意と過集中のあるADHDで、娘とはタイプが違うので同じ発達障害とは考えていなかったのですが、忘れ物が多く片付けが極端に出来ないとか、衝動的にやりたいと思ったことを抑えられないなど、タイプの違うADHDというのがしっくり来ることに今更ながら気づきました。
11年も育てていても、そういう目で見ないと、我が子のことでもなかなか気づけないものだなぁと実感しています。 改めて子どもの特性を理解して、本人が過ごしやすい環境を整えていきたいと思っています。
今後ともどうぞよろしくお願いします。 参考までに本のリンクを貼らせていただきます。大人のADHDについての本ですが、我が家の中学生には本人のトリセツ作りを意識してもらうために読ませています。
もしかして、私、大人のADHD?~認知行動療法で「生きづらさ」を解決する~
こんにちは。 今は我が子の「トリセツ」作成中って考え方、素敵ですね。
ウチの8歳さんも、11月までは図工と休み時間で学校とつながっていたのに、12月の学習支援に作文がでたことで、今月から完全不登校になってしまいました。
もうこれ以上自信を失わせないために、学校へ渡すための「トリセツ」も大事だと痛感しました。
子供の居心地良さを探して、お互い頑張りましょう。
自分の特性を理解して、人に頼るべき所はちゃんと頼ってなんとかしようとする力、本当に大切なことですね!
それさえあれば生きていけるんじゃないかとさえ思います。 大切だと思いながらも日々の生活の中でつい忘れがちなのを、「トリセツ」という言葉で端的に表してくださったことで、折につけ思い出すことができそうです。ありがとうございます。
「国語の教科書の手触りが嫌だ」というお子さんに寄り添う保護者の方の文章が素敵だったのでシェアします!
> 子供にとって、自分の取扱説明書をこの年から意識して自分を深く理解し自分とつきあえるようになるということってものすごくやっぱり大事な能力なんじゃないか
にめちゃくちゃ共感しました。
まだ登校していたとき、うちの子たちはこちらのお子さんのように違和感を言語化するのは難しかったため、親が思う子どもへの配慮を学校側にお願いしていました。
しかし、どれも敵わず、「学校に来てくれれば」ばかりで私が疲れ果て、学校との関わりを極力減らす方へとシフトしてしまいました。(もっと何か出来ることがあったのでは?と今でもたまに思ってしまいます)
それでも、ほぼほぼ家で生活する中で見つけた苦手や辛さをそれぞれに合った方法で解決しようと模索する日々です。勉強は全くしませんが、自分を知る時間だなと思うと貴重なときを過ごせているのかなと思える日もあります。ついでに私も自分を知る機会になっている気がしています。
息子が教科書に噛み付いた日
「トリセツ」って考え方、夫のオリジナルでもなんでもなく、以前Branchを通じて教えていただいた考え方なんですよー。
検索かけてみたら、○○さんが情報提供のところで紹介してくださってました。 出典明記を怠ってしまった。ごめんなさい。
あげてくださってたnoteのリンクを貼っておきます。
息子が教科書に噛み付いた日
ものすごく腑に落ちる考え方だと感動して、夫婦で話もしたので夫も印象に残っていたのだと思います。
夫は大教室の講義等を含めると、発達障がいや精神疾患だけではなく、目や耳や四肢が不自由で筆記や移動に困難を抱える学生など、さまざまな対応をした経験があるようです。
そうした学生たちを見てきたなかで、おっしゃるように「自己理解」と「人に頼る力」の大切さをあらためて感じたんだろうと思います。
私も娘を育てるうちに、学生たちの向こうに親御さんの愛情や苦労が透けて見えるようになってきて、勝手にみなさんのここでの発言と重ねて胸を熱くしていました。 日々つらいこと大変なことはあるけれど、今の苦労が報われる未来を想像する肥しにしてもらえるといいなと思って投稿しました。
○○さんのコメントを読んで、トリセツを最終的に更新していくのは本人だということが思い出されました。
私が今書いているのは、下書きにすぎないんだな、と。 娘自身が自分のトリセツをアップデートしていく力を身に付けさせなくてはいけないですね。
トリセツで思い出しました。
子どものトリセツを、私が書いたことがあります。
子どもの衝動性が気になり、丁度一年くらい前に市の支援センターへ相談へ行きました。 「小学校の入学を控えていて心配です」とお話ししたら、ご提案いただいたのがトリセツを作って担任の先生へお渡しすることでした。
まだ困り始めたばかりで「何を書けば良いんだ…」と悩みながらA4一枚に作成した覚えがあります。
書きながら思ったのは、私はこの子を事を良く知らないんだな、という事でした。
一人っ子で子どものデフォルトが自分の子どもになってしまい比較ができないため、得意な事や不得意な事がわからない。
衝動性はまだ対応策がわからなくて、試行錯誤中。
保育園の事は全部保育士さんにお任せしていたので、社会性も把握できていない。
自分の子供なのに、ここまで知らないのかとびっくりしました…。
先生へお渡ししたトリセツがどこまで役に立っているのかはわかりませんが、子どもは楽しく学校へ通っているようです。 親なのに何にもわかっていなかった自分を反省しつつ、来年度に向けてまたトリセツを作成しようかな、と思います。 今度は子ども本人と相談しながら書くのも良いかもしれませんね。
まとめ
- 自分自身の苦手や得意を知ること
- 自分ではできないことや足りない点を他者や環境に頼る力
この2つがあることが自立(巣立ち)する上で非常に大事である、ということです。
そしてこの「自己理解」=「トリセツ作成」は、実は幼い頃から周りの働きかけ次第では実施することができます(が、普通に生きていると、日本では作る機会がないです)。
また、言語化をしておくと、「改善するにはどうすればいいか」を考えることができます。
苦手なことの理解と実行
- ざわざわするところが苦手→近寄らない、イヤマフなど聴覚の過敏さを和らげるツールを使う
- みんなに見られるのが苦手→先生にはその旨伝えてそういった機会を減らしてもらう。オンラインツールを使い、ビデオチャットの際は顔出し無しにする。
- ゲームに過集中して癇癪が起きる→時間制限を自分で決める。癇癪になってしまった際は、チャットツールを消す。枕や布団に向かって、大きい声を出すなどイライラした際の逃げ方を覚えておく。
など、自分で自分の取扱説明書を作っておくと、自分のためにも周りのためにも良いことが多いです。
得意なことの理解と深堀り
- ゲームが好きである
- 特にマインクラフトが好きである
- マインクラフトの中ではサバイバルモードが好きである
- マップを見て、探索するのが好きである
- リアルの世界でも、地図を見るのが好きである
- 地図は電車の路線図でも、スマートフォンアプリで見る3Dマップなどもなんでも好きである
- 単語や言葉の理解は時間がかかっても、地名や駅名などを覚えるのは早い
など、好きなこと得意なことをたくさん見ていって、複眼的に捉えると、より深く自己理解が進みます。
発達に特性があってもなくても、お子さんのトリセツ作りは本人と一緒に作っていければ、生きる力になります。
以前Branchでは保護者会にて保護者さん自身のトリセツについて話し合いを行ったことがあります。
わたしのトリセツ~自身の特性や対処方法について~:保護者会レポート
発達障害や不登校の子の「友だちができる。安心できる居場所」とは?
Branchでも1つの解決策として、不登校・発達障害があるお子さま向けの「学校外で友だちができる」オンラインフリースクールを運営していて、以下のような特徴があります。
- 同じように「学校行きたくない」という気持ちを抱え、家族以外の人との関わりが減ってしまった不登校のお子さま達が自分の「好きなこと」をきっかけに安心できる居場所や、友達ができるようなサービス。
- NHKや日テレなど多くのメディアにも紹介され、本田秀夫先生との対談や、厚生労働省のイベントの登壇実績もあり、サービス継続率は約95%以上。
- 小学校低学年のお子さまはもちろん、どんな子でも楽しく参加できるようにスタッフがお子さま一人ひとりに寄り添ったサポートを徹底。
Branchオンラインフリースクールは1ヶ月無料体験ができるので、ご利用を迷われている方は一度お気軽に無料面談予約をお申し込みください。
「学校外で友だちができる」Branchオンラインフリースクール
いかがでしたか?
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気になった方は、過去の記事もぜひご覧ください。