発達障害や不登校のお子さんが集まるBranchオンラインフリースクールでは、「どんなことに困っているか」を保護者さんたちにお聞きしています。よく話題にあがる困りごとのひとつが「人間関係」です。
お子さんの発達の特性と周囲の環境がかみ合わず、人間関係を維持することが難しかったり、トラブルが起こりやすいようです。
今回の記事では、子どもの人間関係上の困りごとについて、保護者はどう考え、どの程度・どのように介入するのが良いかを考えます。
発達障害のあるお子さんが直面しやすい人間関係のトラブルと対応方法について、Branchの事例も紹介しながらお伝えします。
これらはあくまで一例であり、発達障害のあるなしに関わらず、お子さん一人ひとりの悩みや対応方法はさまざまです。
ご家庭での様子を見てお子さん本人やご家族で相談したり、、お医者さんや療育の先生など、普段からお子さんのことをよく知ってサポートしてくれている方に相談したりして、お子さんに合った方法を選んでください。
発達障害とは?子どもの人間関係・コミュニケーションとの関連は?
そもそも発達障害とはどういった障害なのかを、今回のテーマである「人間関係」やコミュニケーションとの関連に注目して整理します。
一見すると周囲を困らせるような行動・症状であっても、実は発達障害の特性をもつ子どもの脳が「正しく」指令している結果であり、相手を困らせようとしたり、わざとしていたりするとは限らないことに注意してください。
「発達障害」とは
生まれつき脳の機能「の一部に障害」があることで,さまざまな「症状」が現れ,そのために日々の生活でなにかしらうまくいかないことが起こりやすい状態
(参考:日本発達障害ネットワーク JDDnet「発達障害を知る」)
「個性」の延長線上での「発達障害」のとらえかた
・個性がひときわ大きくて、簡単には分かり合えない部分があるため関わり方に工夫や支援を必要とするもの
・そのような特性を、医学的にグループ分けしてできるだけわかりやすい「個性」として説明しようとしたのが「発達障害」という名称
(参考:児童精神科医 田中康雄氏「発達障害の子どもの心と行動がわかる本」)
自閉スペクトラム症
①社会性の障害
- 自然に決まっているように見える暗黙のルールを察知することが難しい
- 目に見えないことやその場の雰囲気を読み取ったりすることが難しい
②コミュニケーションの障害
- 人への安心感を抱きにくく、言葉やふれあいを通したコミュニケーションをとることが難しい
- コミュニケーションのキャッチボールが難しい
③想像力の障害
- 特定のものや事柄へのこだわりが強い
- 予期できない、急な変化に苦痛や不安を感じやすい
◆「スペクトラム」とは?
同じ自閉症の特性をもつ子どもでも、特性の現れ方に差があり、その特性は分離しているのではなく連続しているというとらえかた
◆アスペルガー症候群について
現在ではこの診断名はほとんど使われておらず、「自閉スペクトラム症」としてまとめられているが、主に以下のような特徴がある。
- 言葉を使った基本的なコミュニケーションができ、知的な遅れがないので、学童期まで障害に気付きにくいことがある
- 難しい言葉を使い、大人びた話し方をすることがある
- 知的にも高いため、同年齢のお子さんと過ごしたり関わったりすることに苦痛や苦手意識を感じる子も多い
ADHD(注意欠如・多動性障害)
<3つの特性>
①多動性 ②不注意 ③衝動性
※これら1つのみの場合もあれば、複数併せ持つ場合もある
<症状>
- 絶えず動き回る
- 注意が散漫になりやすく、ぼーっとしたり忘れ物をしたりすることが多い
- 突然衝動的な行動をする
学校の集団生活では行動が目立ちやすく、適切な理解やサポートがないまま周囲から非難される・怒られるといった経験が重なって自尊感情が傷つきやすい。
LD(学習障害)
知的な遅れはないが、文字の読み書きや計算など一部または複数に困難さがあり、学習の得手・不得手に大きなばらつきが見られる。
<学習障害のある子どもの困難さのの種類>
- 読むこと
- 書くこと
- 聞くこと
- 話すこと
- 計算・推論すること
周囲の人が困難さに気づきにくく、「努力が足りない」「怠けている」など、本人の努力の問題とされ、「障害」として理解されない場合がある
発達障害のある子どもに起こりやすい人間関係のトラブルと、主な対応方法
思ったことをそのまま言ってしまい、周囲の機嫌を損ねてしまう
- 「失礼だな」と思うようなことでも、本人は悪気なくまっすぐにそのまま言ってしまっている場合が多いため、言われた方は真っ向から受け止めすぎない
何度も同じことを確認することがある(不安が強いため)
- 「さっきも言ったでしょ」とは言わずに、簡潔にその都度対応する
- 抽象的な表現は避け、行動の手順や時間を具体的に伝える
気持ちがうまく伝えられず癇癪やパニックを起こす
- どのような場面で癇癪が起きるかを観察して、起きやすい状況やきっかけがあれば、なるべくその状況にならない事前の工夫をする
- 他者に気持ちが伝わりやすく、本人が実践しやすい方法を一緒に考え、練習する
ゲームに負けると癇癪を起こす
- 勝ち負けのないゲームをする
- イライラしたら、肩を叩いてもらい、ゲームをやめる(子どもがゲームをやめられる場合)など、本人が中断したり抜けたりする方法を決めておく
- 一緒に親が遊べる際は、親がわざと負けて「負けても楽しい」「負けても学びがある」「負けてもどうってことない」という態度を取る
このようにクールダウン方法を自分なりに理解していくと、年次があがるにつれて徐々に自分で気持ちを落ち着かせることができるようになる場合があります。
以前、Branchのお子さんに「中里さんはイライラしたとき、どうしてるの?」と聞かれたことがありますが、その際は「いったん我慢して、次の日になるのを待って、朝運動する。それでもモヤモヤしてたら第三者に相談する」と答えました。個人個人でこういったクールダウン方法を学んでいけると良いでしょう。
どのように友だちと関わるか
- 全ての活動に無理に参加しようとせず、本人が「楽しい」と思える体験を大事にする
- 本人が理解・参加しやすい遊び方を提案する
「友だちと遊ぶ」ということ自体がどういうことか、抽象的で分かりづらいと感じるお子さんもいます。その場合は、活動の手順や参加方法を分解して具体的に遊び方を提示すると良いでしょう
例えばBranchの例で言うと緘黙のお子さんや他人と関わるのが苦手な子は「オンラインで」「顔出し、声出しなしで」「マインクラフトのクリエイティブモードで」「人数は3名までで」「遊ぶ」などと、遊び方を具体的にして遊んでいます。
トラブルをどう回避するか
ここまで紹介した以外にもさまざまな人間関係上のトラブルが起こることがあります。またその際、本人もどう対処すれば良いか分からないゆえに、とっさに手が出たり強い言葉を吐いてしまったりして、余計に状況が悪化してしまうこともあります。
- 率直に「やめてほしい」と伝える
- 「○○になったときは大人に相談する」など、対応を決めておく
- まずはその場から離れさせて本人が落ち着ける環境をつくる
など、トラブルが起こったときの対応や緊急避難の方法を、一つの課題に対して複数想定しておいたり、それを本人や周囲の人とあらかじめ相談して決めておくと良いでしょう。
まとめ
冒頭にお伝えした通り、今回ご紹介した対応方法はあくまで一例です。
すべてのお子様に言えることですが、一人ひとりがユニークな存在で、悩みや対応方法も人それぞれです。
ご家庭での様子を見てお子さん本人やご家族で相談したり、お医者さんや療育の先生など、普段から近くでお子さんのことをよく知ってサポートしてくれている方に相談したりして、お子さんに合った方法を選んでください。
考え方としては
- トラブルのよく起きる場所を避けるようにする
- トラブルの際に「どうすれば良いか分からなかった」という場合が多いので、そういった際の適切な行動(例えば周りの大人に相談する、など)を伝えて、練習する
という方針が良いかと思います。
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