お子さんから「学校に行きたくない」と言われたらびっくりしますよね。
いじめがあるわけでも、何か明確な理由があるわけでもなさそう。それでも「学校に行きたくない」と言われたら、どうしたらいいのでしょう?
以前よりBranchでは、不登校や「学校に行きたくない」ということに関して記事を書いています。
- まずは登校刺激を避ける
- 落ち着いてから、学校に行きたくない理由を聞いてみる
というかかわり方が理想的ですが、「学校に行きたくない」理由」や原因が、本人にもはっきりと分かっていない場合があります。
今回の記事では、そのような場合、考えられる背景や保護者からお子さんへのかかわり方のコツをお伝えします。
「なぜ学校に行きたくないのか?」理由がはっきりしない登校しぶりや不登校の背景
本人も理由をはっきりと分からない・話せない状態での登校しぶりや不登校について、年次ごとによく見られるパターンや対応方法を解説します。
考えられる背景ーー小学校低学年の場合
お子さんの年次が低い場合は、そもそもの発達段階として
- 気持ちや理由の言語化がまだ難しい
という場合が多いです。
「学校に行きたくない」というお子さんに「なんで?」と理由を聞いても「分からない」と言われることもしばしばです。
そのため「学校に行きたくない」という言葉よりも先に、身体症状や行動が現れることもよく見受けられます。
こういう場合、無理に問い詰めるのではなく、言語以外のお子さんのシグナルに注目することが大切です。
例えば下記のような身体症状や行動が出ていないでしょうか?
- 腹痛、頭痛
- 夜眠れない
- トイレが近い
- チック症状
- 服が着られない
- 登校しぶり
- 教室、学校からの脱走
- 教室、学校での癇癪
理由のはっきりしない身体症状や登校渋りの背景には、下記のような理由が隠れていることがあります。
- 教室のざわざわが苦手
- 集団が苦手
- 一斉行動が苦手
- 指示に従わなければならず、従わないと怒られることが辛い
- 授業についていかれない
- ルールを守らないクラスメイトに対するストレス
- 友だちとのコミュニケーションがうまくいかない
- 周囲に合わせすぎて疲れてしまう
- 知っていることやできることを、みんなと一緒に何度もやることが苦痛
- 完璧にできない自分を許せず自信を失ってしまう
- 先生がほかの児童を怒っている様子や、ほかの児童同士のトラブルを見たり聞いたりするだけで辛くなってしまう
考えられる背景ーー小学校高学年以降、中学生、高校生の場合
小学校高学年以降の年次でも、理由がはっきりしない不登校・登校しぶりが起こることがあります。この年次では、
- 言語化する力はあるけれど、言語化できない・したくない理由がある
という場合が多いです。
例えば、下記のような気持ちです。
- 親に「なんとなく学校に行きたくない」と言ったら「それは甘えだ」と言われて「自分でもそうだと思い直して反省している」→けどやっぱり行きたくない
- 親や先生に「いじめとかあるわけじゃないけど、学校に行きたくない」と言ったら「先生が中学生の頃も同じようなことがあったけど、○○して頑張ったよ」と言われて「自分もそうやって頑張らないと」と思った→けどやっぱり頑張れない
- 学校に行くとモヤモヤする→本当は人の輪に入っていくことが億劫だったり怖かったりするけれど、そう思うことは「学校の雰囲気的に良くない」と思ってしまっている
学校に行きたくない理由を言語化する能力は持っているけれど、主に周りの影響で「そう思う/言うことはよくないこと」とされていて、言語化することをためらったり、葛藤したりしている状態です。
また、年齢的にも親から距離を取ろうとする時期であり、親に悩みを話すことに抵抗を感じるお子さんも増えてきます。
この年次では、お子さんが「学校に行きたくない」と言っている背景や気持ちとして、下記のような事例が挙げられます。
- 教科学習のボリュームが増え、内容も複雑になったことをきっかけに、勉強が負担になり自信を失ってしまった
- 学習障害を理解してもらえず、怠けていると思われ怒られてしまう
- 自分は既に理解していることを、周囲に合わせて何度もやらされることが辛い
- 集団に合わせるのが辛い
- 友だち関係の悩み
- 学習に加えて課外活動も始まり、期待に応えようと頑張りすぎてしまった
小学校高学年以降では、学習面と人間関係の要因が多く見られます。
年次が上がるにつれて、教科が増え内容も複雑になります。
同時に思春期に入り、自分と周囲を比べるようになります。
誰もが通る成長の過程ではありますが、様々な要因や困難が重なり、その理由は複雑さを増していくようです。
保護者はどう対応すればいいのか
上記の背景を踏まえたうえで、では、保護者はどのようにお子さんに対応すればいいのでしょうか。
お子さんの年齢に関わらず、大切なことは
- 否定しないこと
- お子さんの気持ちをいったん受けとめること
です。続いて詳細を説明します。
小学校低学年のお子さんへのかかわり方
身体症状と行動に注目する
低学年のお子さんの場合、言葉よりも先に腹痛、頭痛といった身体症状や、行きしぶりや癇癪といった行動が出ることがあります。こういったときは原因を追求しようにも、言葉にするのが難しい状態です。まずはお子さんの体や表情、行動をよく観察してみましょう。
お子さんの「行きたくない」気持ちを受けとめる
お子さんから「行きたくない」という言葉が出てきたときは、理由を探るよりもまずはその気持ちを受けとめて、お子さんの気持ちの安定を優先しましょう。
- 「学校に行きたくないんだね」と、お子さんの言った言葉を復唱する
- 「わかるよ」「そうだったんだね」と受けとめる
- ハグをする
などで、お子さんが安心できる環境を整えてみてください。
自分の気持ちを受け止めてもらえたことをお子さんが実感できると、不安が和らぎ、理由を話してくれるようになることもあります。
否定しない
お子さんが「学校に行きたくない」と言うまでには、実はお子さんの中ではたくさんの葛藤があります。
お子さんはその葛藤を経て勇気を出して「行きたくない」と伝えています。
突然「行きたくない」と言われると親は驚き、不安になりますが、お子さんの中では長い間悩んでやっと口に出した言葉です。お子さんの言葉を否定しないようにしてください。
- 「甘えちゃだめだよ」
- 「みんなちゃんと行っているよ」
- 「学校に行かないと勉強がおくれちゃうよ」
お子さんが勇気を振り絞って「学校に行きたくない」と言ったにもかかわらず、その気持ちを否定してしまうと、お子さんが更に自信を失ってしまう心配があります。
また、学校へ行かないことは悪いことだとしてしまうと、お子さんの中に罪悪感が生まれてしまいます。
保護者の考えとお子さんの考えが違っていても、否定せず受けとめることが、お子さんの安心感に繋がります。
不安を取り除き、安心できる環境を作ってエネルギーを充電する
「学校に行きたくない」と言っている段階のお子さんは、かなり追い詰められた状態であることを理解して、心の充電のために休ませることも大切です。
無理な登校刺激は、かえってお子さんの不安を増幅させてしまう恐れもあります。
一旦ゆっくりお休みすることで、お子さん自身が安心できると登校へのエネルギーが再び湧いてくることもあります。
とはいえ、保護者は休ませていいのか不安になります。
判断に迷ったときの参考の一つとして、こちらの「学校休んだほうがいいよチェックリスト」をご紹介します。
学校休んだほうがいいよチェックリスト | Branch (branchkids.jp)
小学校高学年以降、中学生、高校生へのかかわり方
小学校高学年以降になると、思春期や反抗期といった精神的な成長に伴い、保護者との間に一定の距離を置くことを求めるお子さんも多くなります。
お子さんの気持ちを尊重したかかわりを意識すると良いでしょう。
お子さんの気持ちを受けとめ、否定しない
小学校低学年のお子さんへの対応と同様に、まずはお子さんの気持ちを否定せず受けとめてあげましょう。
- 「学校を休むことは悪いこと」という意識を植え付ける
- 「私だったらこうするよ」というアドバイスをもとに学校に行かせようとする
- 「周りに合わせられない自分を許してはいけない」と思わせる
ということは、「行けない理由を子ども自身が見つける」という能力を奪うことになりかねません。
保護者は心配になりますが、フラットに、その時のお子さんの様子、言動、表情を見て、お子さんのそのままを認めてあげてください。
「なんとなく」でも、学校に行きたくない理由があるのです。
選択肢を用意して、決定はお子さんに委ねる
「学校に行きたくない」と言っているお子さん自身も、戸惑いの中にいます。
お子さんの気持ちを一旦受けとめたら、
お子さんが自分で次のステップを選べるようにいくつか選択肢を用意しておくと、お子さんも保護者さんも先の見通しを立てやすくなります。
例えば、
- 学校に行く or 行かない
- 勉強する or しない
- いつまで休むか
- フリースクールや適応指導教室などの家や学校以外のサードプレイス
そしてお子さんの選択を決して否定せず、どんな選択をしても味方であることを伝えてください。
相談先を提案する
お子さんは、親や先生以外の第3者になら相談できるということもあります。
- 相談先があることをお子さんに伝える
- お子さんの目に付きやすいところにパンフレットなどを置いておく
といったことも、お子さんの助けになります。
下記に挙げる機関はどこもLINEで相談でき、秘密厳守で無料ですので、お子さんの相談先のひとつとしてご参考ください。
気持ちの整理方法を提案する
お子さん自身が気持ちを整理するための方法を提案してみるのも良いでしょう。
そのひとつとして、本音を書き出すことをおすすめします。
周囲から
- 「学校を休むのは甘えだ」
- 「学校に行くのは当たり前だ」
- 「周りに合わせることができないと、良い大人になれないよ」
などと言われることで、お子さんが、自分の本当の気持ちを押し殺してしまっている場合もあります。
本音を書き出すと自分の気持ちの整理にもなります。
もしお子さんが可能なら、一度周りに言われたことを忘れて「本当はこう思ってる」ということを書き出してみると、解決できる方法や、改善できる方法が見つかるかもしれません。
気持ちの書き出しは、
- ノートに書き出す
- chat GPTなどのAIと対話形式で行う
といった方法で気軽にできます。
学校を休ませていいか判断に迷ったら
お子さんの状態をよく見ていても、学校を休ませていいか判断に迷うこともあると思います。
その時はこちらの「学校休んだほうがいいよチェックリスト」を利用してみてはいかがでしょうか?
学校休んだほうがいいよチェックリスト | Branch (branchkids.jp)
こちらのチェックリストは不登校のお子さんやご家族の支援をしている
- 不登校新聞
- キズキ共育塾
- Branch
の3社で開発したもので、
国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センターの松本 俊彦先生に監修して頂いています。
LINEでいくつかの質問に答えて頂くと、お子さんの状態に合わせてアドバイスが表示されます。
是非参考にしてみてください。
最後に
はっきりした理由や原因がないのに「学校に行きたくない」とお子さんが言ってきたとき、保護者も驚き動揺します。
大変ですが、まずはお子さんの状態をそのまま受けとめてあげてください。
お子さんの不安が和らぎ、安心できる環境が整うことを優先して頂ければと思います。
発達障害や不登校の子の「友だちができる。安心できる居場所」とは?
Branchでも1つの解決策として、不登校・発達障害があるお子さま向けの「学校外で友だちができる」Branchコミュニティを運営していて、以下のような特徴があります。
- 同じように「学校行きたくない」という気持ちを抱え、家族以外の人との関わりが減ってしまった不登校のお子さま達が自分の「好きなこと」をきっかけに安心できる居場所や、友達ができるようなサービス。
- NHKや日テレなど多くのメディアにも紹介され、本田秀夫先生との対談や、厚生労働省のイベントの登壇実績もあり、サービス継続率は約95%以上。
- 小学校低学年のお子さまはもちろん、どんな子でも楽しく参加できるようにスタッフがお子さま一人ひとりに寄り添ったサポートを徹底。
Branchコミュニティは1ヶ月無料体験ができるので、ご利用を迷われている方は一度お気軽に無料面談予約をお申し込みください。