不登校になったお子さんは、どのように居場所を見つけていったのでしょうか?また、保護者の方はどのようにお子さんと関わっていたのでしょうか?
今回は「今まさに子どもが学校行き渋りだ」「今まさに不登校になった」というご家庭の方に向けて、他のご家庭がどうやって情報や居場所を見つけ、どのようにお子さんが変化していったかのインタビューをお届けします。
この記事では、現在小学2年生・男の子の保護者の方にお話いただいた内容をご紹介します。
子どものプロフィール
- 名前:Sくん
- 年齢/学年:7歳、小2(インタビュー時)
- 好きなこと:YouTube、ゲーム、旅行、絵を描くこと(詳細は記事後半に)
保護者さんから見て、どんなお子さんですか?
頭のいい子だなぁと。
すごく周りをよく見ていて、繊細で敏感。だからこそ、周りに気を遣うところがあります。大人にもそうだし、周りの子にも気を遣ってますね。
こだわりはかなり強いかなぁ。
そのこだわりがうまくいかないとストレスがたまります。
また、好きなことに対してはすごい集中力を発揮するなぁと思います。
昔から「おもしろい」「ひょうきんなところがある」「人の前で何かやりたい」ってのも特徴としてあります。
「学校に行きたくない」となった理由や経緯
去年の7月(小1)からです。
順を追って話すと、うちが転勤族で小学校入学前の3月31日に引っ越しました。
急に環境が変わったんですね。
でも、本人は普通にしていて、小学校も「たのしみー!」と言っていて、入学式も大丈夫でした。
4月〜5月も普通だったのですが、幼稚園時代もそもそも行き渋りがあったのに「学校めっちゃ楽しい!」みたいなハイになっていて、逆に私は心配でした。
迎えに行っても「こなくても大丈夫だよ!」と言っていてますます心配だなぁ、と。
引っ越す前の同窓会が6月にあって、家族で泊まりで参加しました。
その後、風邪のような感じになって、学校を休みがちになりました。
ある日、学校に送っていったら、学校の前で泣いて「おなかがつらいよー!!」(うちの子は「おなかがつらい」という言葉で言います)ってパニックになって、つれて帰ったんです。
「学校に行く!」って言うのですが、足が痛いとか、お腹痛いとか、身体に影響が出ていました。
学校がプレッシャーだったのか「明日は絶対いく!」とか言っていたけど、行けずに放課後登校していました。
体も徐々にもっと悪くなっていき、放課後も行けない、学童も行けなくなり、私も「これもうダメだな」と、7月から完全不登校になりました。
学校に行かなくなった理由は分かりましたか?
鬱っぽい感じになっていたのかなぁ。
がんばりすぎていて、引越し前の友だちたちに会って、緊張の糸がぷつんと切れたのかな、と思います。
大人が会社に行けなくなるのと似ていると思います。
過剰適応気味で、疲れ切っちゃったのかな。
不登校になってからの保護者の対応
最初に本人へどのように対応していましたか?
「学校行かなくても大丈夫だよ」と、私は最初から言っていました。
「明日はどうする?」とかは聞いちゃってましたけど。
主人はなんとか行かせたかったので、「どうしていけないの?」とか、物でつったりしていました。
その後どんなアクションをしたか
学校からもらったプリントで、教育相談っていうのがあったなと思い出して、電話しました。そこが教育センターでした。
電話で話して「すぐ来てください」みたいになって、私は先生と直接お話して、Sには別の先生がついてくれて、ボードゲームやカードゲームしたりしていました。
Branch以外に取り組んだこと、利用したサービス
スクールカウンセラーにも相談は何回かしましたけど、うちにはいまいち合わず、今は利用していないです。
放課後等デイサービスには先月から参加しています。
本人が見学に行って、たのしく遊べそうだったので。
そこは勉強するところと言われてるけど「今は勉強しないでください」とお願いして、遊んでもらっています。
まぁでも、あまり利用していないので、Branchがほぼ初めてのような形でした。
Branchについて
Branchとの出会い、連絡したきっかけ
去年「発達障害 不登校」とかで検索したときの記事で見ました。Branchに通っている方の記事です(こちらの記事でした)。
それを読んですごく安心したんです。「うちと同じだ!」って。
本人のエネルギーがすごく落ちていて、私もあまり外に出るエネルギーがなかったので、そのときはそのままで。
そこから数ヶ月たって、Sの元気も出てきて「なにかつながりが欲しいな」となって、ゴールデンウィークに相談させてもらいました。
最初の印象はどうでしたか?
すべてが新鮮でした。
大人と子どもがオンラインでつながってるのが面白いな、と。
最初に部活でやりとりした後に、他の子がBranchコミュニティ内で配信してるのをSと一緒に見ていたら、話しかけてくれました。それが最初に嬉しかったことですね。
その後、私も他のお母さんとのやりとりを見ていて、大人と他の子が話していたりする斜めのつながりがいいなぁって思いました。
スタッフさんもちょいちょいコメントしてくださっていて、温かいコミュニティなんだなって最初から感じました。
あとは、ゲーム好きな子が友だちにそんなにいなくって。
「ゲーム好き!YouTube大好き!」みたいな子があまりいないので、Branchで「同じような子がいっぱいいるんだな」っていうのが嬉しかったです。
生活上での困りごとはありますか?
子どもの居場所確保
いざ不登校になって、こんなに何もないのかと思い知りました。
うちの市は子どもだけが多くて本当に追いついていないんです。
教育センターに唯一つながれているけど、それくらいです。
関連記事:文科省の不登校支援の方針と、困ったときの相談・支援サービスを紹介
相談先とか色々調べたけど、いわゆるフリースクールっていうものがないんです。隣の市にもない。あって隣の隣の市とか。
当時、フリースクールには行けなかったと思うけど、学校に行かないと居場所ってないんだなと痛感しました。
教育センターも最初は行ったけど、担当がついて私が相談して、Sは遊んでただけだけど、本人が途中から嫌になってしまって行っていません。
教育センターから医療機関なども紹介されて、初めて「発達障害」というものに行き着きました。そこで放課後等デイサービスが使えるようになって、週一で使えるようになりました。
最初は本当に家にいるしかないので、親もつらかったですね。
ご家族に困りごとが伝わらず、つらかった
今は主人はかなり理解があるけど、最初の数か月〜半年は夫と私の意見が合わなくて結構しんどかったです。
私は「子どもだけど鬱みたいだな」って思って、すぐに「学校行かなくていい」となったけど、夫は受け入れず登校刺激をかなりしていました。
関連記事:発達障害の子どもが「学校行きたくない」と言ったらどうする?登校刺激は避けて、焦らず対応を
勉強も、主人から言うと「やる」というのでやるけど、後で泣くんです。私的には「やらなくていい」と言っていたけど、意見が合わなかったです。
発達障害に関しても、最初は「まさか!」という感じで。
発達障害ということに全く触れていなかったので、学校に行かなくなって感覚過敏とか偏食、お風呂が嫌だとか。そういうのも主人が受け入れられなくて、なんとか強引にやらせようとしていて、家の雰囲気が悪くなりました。
その後、一緒に発達障害や不登校について勉強しました。
また、私の母が教育関係の仕事だったので不登校や発達障害についても知っていて、いろいろ教えてくれました。
それで、だんだん少しずつ理解してくれました。
「無理にやらせなくていい」と、私はずっと言っていて、理解してくれたのですが、その後だんだん主人もつらくなってしまって、現在適応障害で休職中です。
自分が適応障害で休むようになって、Sのことも分かったのかな。
自分にも厳しいタイプだったけど、休んで変わりました。
学校側との交渉
最初の方、学校とのやりとりがつらかったです。
1年生の時の担任の先生は悪くはなかったけど、私も何が嫌で休みたいのか分からなかったのに「なにが悪いか教えてください」みたいな感じで疲れちゃいました。
登校刺激があったわけじゃないけど、プリントもらいに行くとかのやりとりが疲れました。
保健室登校もできるのか聞いたけど「コロナなど、体調がつらい人向けなのでだめです」と。
校長先生含めて面談したけど、全然だめ。
特になにか対応してくれるとかなかったです。
結局、校長先生にも、Sは「この学校に合わないでしょうね」と言われて終わりです。
なので、1年生の最後はドーンと落ち込んでいました。
1番つらかったのはその頃です。
2年生で担任が良くなって、保健室の先生も理解ある方になって、校長先生も2年生のタイミングでかわって、全体的に良くなりました。
それで今は週一回保健室で工作したりできています。
お子さんの今好きなことについて詳しく教えてください
YouTube
まず見るのが好きで、ゲーム実況やコントやスキビディトイレ(※1)など海外の流行り物を見ています。
5歳から自分でもYouTubeをやっています。
Youtuberを見て「これ、自分でもやってみたい!」と言って始めました。動画の企画は全部自分で考えていますね。人から「これやろう」とか言われるのが嫌いなのもあります。
台本もなにもなく、いきなり撮り始めます。
ゲーム
ロブロックスは5歳くらいから。今は1回やめたけど、またブロックスフルーツ(※2)にハマったりしています。私と主人とも一緒にやってますし、Branch roomに行ったときも友だちとやってますね。
マインクラフトも好きですし、マイナーな海外ゲームもYoutuberがやってるのを見て自分で調べてやっています。
新しいゲームのキャラを覚えることが大好きです。
YouTube製作やゲーム好きなのもあって、パソコンやiPadの操作はとても速く正確です。
旅行
家族が好きだからだけど、不登校で元気がないときから、旅は楽しんでいました。海が好きで、自然に触れ合うのが好きです。でも、帰ってきたらすぐゲームですけど笑
絵
絵を描くのが好きです。自分でスキビディトイレを書いたり、ブロックスフルーツでワンピースにハマって、ワンピースの絵を書いて部屋中に貼り付けたりしています。
※1:トイレの中から男性の顔が出てくる海外ミーム。たくさんのパターンの動画がTikTokやYouTubeを中心に投稿されています。
※2:様々なアニメのキャラクターを操作できる、ロブロックス内の人気ゲーム。
お子さんは、普段どんなことをして過ごしていますか?
朝6時とかに起きてきて、すぐiPad取りに行って、YouTubeをチェックして、ロブロックスをやりはじめ、YouTube見ながら朝ごはん食べて、朝の時間はだいたいそれで終わります。
8時台には身支度が終わってますね。
最近暇だってすごく訴えてきて、主人が家にいるのもあって、私か主人と何かして遊んでいます。
ゲームしたり、ごっこ遊びみたいなことをしたりとか、元気があると絵描いたり。
ゲーム内通貨がほしいこともあって、お手伝いもしてくれます。
週に何回か学校に行って、保健室で工作しています。
お友だちがそこに来てくれたら少し遊んで、先生とちょっと話して帰ります。
お昼はお腹が空くのが早いので、11時とかにすぐ食べて、午後も同じ形で何かしらして遊んでいます。
1人で何かしていることもあるけど、たいがい何か一緒にしています。
自分がやってるのを見てほしいようですね。
下の子が夕方に帰ってくると、戦いごっこみたいなことをしています。
ご飯食べた後にお風呂に入るのですが、お風呂に入ることを嫌がることが多いので、そこが大変です。お風呂に入らない日もあるけど、だいたいはなんとか入って、7時くらいになると寝る準備でリラックスしています。
8時過ぎには布団に入ってますね。
勉強はほとんどしていないです。夏休みは宿題しようとプリント1枚くらいはやってますが。
お子さんの”変わったな”と感じる部分があれば教えてください。
最初、「外出たくない」から変わったのは、去年の冬くらいです。
それまで外に出るのを嫌がって、近くのコンビニも行かなかったのですが、外に出るきっかけとなったのは猫カフェでした。
猫が急に好きになったタイミングがあったのですが、そこが電車に乗らないとといけない場所で、「行きたい!」となって電車に乗って行きました。
疲れて帰りおんぶしたりもあったけど、定期的に猫カフェにいって猫とふれあって楽しそうにしていました。
今年に入ってから、エネルギーがでてきた出来事がありました。
Sにとって叔母の結婚式で、リングボーイをやったんです。遠いし、結婚式という長い時間、大丈夫かなぁと心配していたのですが、しっかりリングボーイをやって、結婚式の長丁場ももって、みんなに「がんばったね!!」と言われて、一気にエネルギーがガン!と上がりました。
次の日、結婚式場の近くの「遊園地であそびたい!」と言われて遊びました。
それまで、お出かけもなかなかできない形だったので、結婚式から遊園地まで自分の意思で行きたがって、大変化でした。
またBranchに入ったのもきっかけとして大きかったです。
結婚式が5月半ばで、Branchもゴールデンウィークなので、その頃に「居場所がある」って分かって、5月くらいから元気になりました。
そこから学校もちょこちょこ行くように。
7月の半ば、夏休み前最後の3日間学校に行きました。今までは保健室で終わりだったけど、友だちが来て遊んだら、それがすごく楽しかったようで、それで「いきたい!」ってなって次の日も行きました。
最後の日は疲れていたけど、3日連続行けたんですね。だいぶ変わったなぁ、と。
本当に5月くらいから外が億劫じゃなくなったんです。
それまで「やっぱりいけない」が結構あったのが、全くなくなっていきました。
とても大きな変化でした。
Branch roomも遠いけど、すごく楽しみらしく。「来月もはやくいきたい!」と今朝も言っていました。
メンターさんと遊ぶのも楽しいし、お友だちと遊ぶのも楽しいみたいで、そこで元気がでてきています。
目標や進路など、具体的に考えていることはありますか?
「YouTubeの登録者10,000人」が目標です。
ここ1カ月くらいで一気に増えていて、直近1,000人とかなら行けるかもねってなっています。
保護者さん自身の変化はありましたか?
お子さんへの理解・関わり方・考え方
最初、「休んでいいよ」と言いつつ、抵抗がありました。
やっぱり行かせないといけないのかな、子どもに厳しいほうがいのかな、などの迷いも。
発達障害というのを知って、「いや、この子のペースでいいんだ」と考えが変わったことがきっかけになりました。
周りに発達障害の子も不登校の子もいないので、不安でした。
自分で勉強したり、Branchの他の保護者さんの話を聞くと「これでいいんだな」と思えました。
自分自身の好きなことや息抜きについて
私にはまだ難しいみたいで、息抜きがうまくないです。
隙間時間があれば「仕事しなきゃ」ってなってます。
なかなか自分の時間を持てないのが悩みですね。
保護者のねがい
今いろいろ大変だけど、YouTube動画の企画が好きだったり人にゲーム教えるのが好きだったり、Sらしさとか得意とか好きとかを活かしてのばしていってほしいな。
「こうなってほしい」は特にないです。
本人がのびのび生きられる場所があるといいなと思います。
好きや得意を活かして、ちょっと繊細なところがあるので周りに助けてもらいつつ、無理せずやってほしいなと思います。
がんばりすぎちゃうところがあるので、自分なりのセルフコントロールを小さいときから覚えて欲しいです。
不登校の保護者の方にメッセージ
最初、「何かしなきゃ!」と焦ると思います。
情報を探したり居場所探したり、やらなきゃ!ってがんばっちゃうけど、最初はとにかく休んで欲しいです。
私もたくさん検索したりしたけど、休むことの方が大事です。
本人も保護者さんもがんばりすぎないで、まず休んでください。
おうちで安心できるのが1番です。
私は最初やりすぎちゃって、反省しています。
そんなのは後から元気になってからで全然大丈夫です。
まずは、お子さんと一緒に休んでください。
発達障害や不登校の子の「友だちができる。安心できる居場所」とは?
Branchでも1つの解決策として、不登校・発達障害があるお子さま向けの「学校外で友だちができる」Branchコミュニティを運営していて、以下のような特徴があります。
- 同じように「学校行きたくない」という気持ちを抱え、家族以外の人との関わりが減ってしまった不登校のお子さま達が自分の「好きなこと」をきっかけに安心できる居場所や、友達ができるようなサービス。
- NHKや日テレなど多くのメディアにも紹介され、本田秀夫先生との対談や、厚生労働省のイベントの登壇実績もあり、サービス継続率は約95%以上。
- 小学校低学年のお子さまはもちろん、どんな子でも楽しく参加できるようにスタッフがお子さま一人ひとりに寄り添ったサポートを徹底。
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