「うちの子には発達障害がある。学校生活がしんどいのか、不登校になった。これからどうしたらいいんだろう?子どものために、何ができるんだろう?」
この記事は、そんな悩みや不安を抱えられている、発達障害・不登校のお子さんの保護者の方々に向けたものです。
これまで、お子さん自身も、保護者のみなさんも、きっとたくさん、がんばってこられたのだと思います。
発達障害・不登校の子どもや保護者は、どんなことに困っていて、どんなサポートを受けられるのか。一人で抱え込まずに、仲間と繋がりながら、安心・安全にこれからの生活の見通しを立てていくために、必要な情報やつながりをまとめました。
発達障害と不登校の関係は?
発達障害とは、脳機能の発達の凸凹(でこぼこ)と、過ごす環境や周囲の人とのかかわりのミスマッチから、生活のさまざまな場面で困難が生じる障害のことです。発達の凸凹は、生まれつきのものと言われています。
ADHD(注意欠如多動性障害)・ASD(自閉スペクトラム症)・LD(限局性学習症)のほか、発達性協調運動障害、吃音症、チック症など、さまざまな分類・名称がありますが、時代によって医学的な診断基準も変わってゆくほか、国によって行政上の定義も異なります。
また、いわゆる「グレーゾーン」と呼ばれる、医学的な診断基準には完全に当てはまらないものの、発達障害の傾向があり、困っている人たちも数多くいます。適切なサポートが受けられず、ストレスや失敗経験が積み重なった結果、うつ病や強迫性障害などの精神疾患になったり、ひきこもり状態になったりといった「二次障害」が生じることも少なくありません。
不登校になる子どもの全てが発達障害になるわけでも、発達障害のある子どもの全てが不登校になるわけでも、決してありません。しかし、さまざまな要因から、発達障害のある子どもたちの方が学校生活で困難が生じやすく、発達障害のない子どもたちより、不登校になる割合が高いと見られています。
学校のルールや集団生活への適応の難しさ、学習面のつまづき、進学・進級などの大きな環境の変化、他の子どもとのコミュニケーションの噛み合わなさ、孤立やいじめなど、発達障害のある子どもが学校に行けなくなるきっかけ・理由はさまざまです。
しかし、不登校になることは、決してお子さんの努力不足や家庭のしつけ不足といった自己責任の問題ではありません。不登校もまた、個人の凸凹と環境とのミスマッチから起こる相互作用の結果だからです。
学校に無理やり戻そうとするのではなく、必要な支援や相談先につながったり、お子さんが安心して、自信をもって過ごせる環境や経験を増やしていくことが大切です。
発達障害も不登校も、子ども全体の中で見るとどうしても「少数派」になってしまうゆえ、周囲と比べて悩んだり焦ったりすることもあるかもしれませんが、まずはお子さんの「ありのまま」を肯定してあげてください。その上で、焦らずじっくり、できることを探していきましょう。
発達障害のある子どもが、不登校になる要因・きっかけ
発達障害の有無にかかわらず、不登校はどんな子どもにも起こりうることです。また、なにかひとつの出来事がきっかけとなることもあれば、さまざまな経験が積み重なって学校にいけなくなるということもあります。
その上で、発達障害のある子どもが不登校になる要因・きっかけとしては、主に以下のようなものが挙げられます。
■集団行動、ルールへの適応の困難さ
式や行事への参加、時間割に沿った授業参加や掃除など、学校生活は、さまざまなルールのもと、「集団行動」に適応することが求められます。
しかし、発達障害のある子どものなかには、注意散漫さやこだわりの強さといった特性から、みんなと一緒にルール通りの行動をすることが難しかったり、なぜやらなければいけないのか納得できなかったりする子どもも少なくありません。
その子の特性に合わせたサポートや説明がないまま、「ルールだから」「みんなもやっているから」と叱られたり、無理やりやらされたりすることでストレスが生じ、学校に行きたくなくなることがあります。
■環境の変化などへの適応の困難さ
発達障害のある子どもは、はじめてのことや見通しが立たない状況に不安を覚えやすいため、進学や進級に伴う環境の変化が大きなストレスとなりやすい傾向があります。
一緒に過ごす先生やクラスメイトが変わったり、自分が慣れていたルーチン・リズムが崩れて新しいスケジュールで過ごさなければいけなかったり、それまで受けられていた適切なサポートが引き継がれずに途絶えてしまったりといったことが、不登校の要因となりえます。
スタッフがお子さまのサポートを徹底しているBranchでは、不登校・発達障害があるお子さま向けに、安心して過ごせる居場所として、「学校外で友だちができる」オンラインフリースクールを運営しています。
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■学習の遅れ、困難さ
LDがあり、読み書きや計算に困難があったり、注意の散漫さなどで授業内容が耳に入ってこなかったりといった理由で、発達障害のある子どもは、学習の遅れやつまづきを経験しやすい傾向があります。
授業についていけない、宿題が終わらない、テストの点が悪いといった経験を積み重ねることで「どうして自分だけできないんだろう…?」と自己肯定感が下がり、勉強や学校自体が嫌になり不登校になってしまう、という場合があります。
■先生や他の子どもとの、対人関係の困難さ
担任の先生が子どもの発達障害を理解してくれない、特性に合ったサポートを受けられない、頭ごなしに叱られる、といった理由で、「先生が苦手・怖い」と子どもが感じてしまう場合があります。
また、本人に悪気はなくとも、こだわりや注意集中の特性から、周囲の子どもたちから浮いてしまう言動をしてしまい、嫌なことを言われたり、いじめや孤立を経験する、ということもあります。
先生や他の子どもなど、学校での対人関係、コミュニケーションの困難さから、不登校になってしまうことも少なくありません。
■その他
他にも、聴覚過敏や味覚過敏といった、感覚過敏による困難さが生じることもあります。食べられないものが多いのに給食を食べさせられる、苦手な音や匂いがあるのに避けられないといった環境が、感覚過敏のある子どもに大きなストレスをかけてしまいます。
また、本人が抱えた不安や葛藤、怒りをうまく処理できず、パニックや癇癪を起こしてしまうこともあります。
発達障害・不登校の子どもへの支援の考え方
発達障害があり、さまざまな要因から不登校となったお子さんとの関わり方、日々の生活や学習の支援について、基本的な考え方をお伝えします。
■まずは子どもの気持ちを受け止め、肯定する
たとえば「学校に行きたくない」とお子さんが言ったときに、
「がんばって行ってみようよ」などと、保護者の希望を押し付けるのではなく、
「そっか、学校に行きたくないんだね」と、まずはその子の言葉・気持ちをありのままに受け止めてあげてください。
不登校になるきっかけも、学校に対する思いも、一人ひとり異なります。また、子ども本人も、うまく言葉にできずに困っていることも少なくありません。
「いつでもあなたの味方だよ」というメッセージを伝えながら、お子さんが自分のペースで話せるように、ゆっくり、寄り添ってあげてください。
■居場所やつながりをつくる
お子さんが安心できる、学校以外の居場所やつながりがあることは、大きな支えになります。
まずは、家族と一緒に過ごす家を、安心・安全な環境にすること。その上で、元々のつながりの中で、お子さんが安心して関われる相手と無理なく会ってみたり、興味関心に合うコミュニティに参加してみたりすると良いでしょう。
- 祖父母や親戚の家
- 不登校でも気兼ねなく関われる友達
- 習い事、フリースクール、放課後等デイサービスなど
- 子ども同士で繋がれるオンラインコミュニティやゲーム
無理やり連れていくのではなく「こういう場所があるんだけど、一緒に行ってみない?」などと、お子さん本人の意思を尊重して「提案」するようなコミュニケーションを心がけてください。
■その子の「好き」を応援する
発達障害があり、不登校になったお子さんの多くは、学校での集団生活と自分の特性や興味関心が合わず、しんどい思いをしてきています。
苦手なこと、嫌なことを無理やりやらせるのではなく、その子が「好き」なこと、楽しんでできることを応援してあげてください。
- その子の好きなことを、家で一緒にやってみる
- 好きなことについて、子どもに質問してみる
- 好きなことを追求できる仲間や友達と出会える場所に行ってみる
- 好きなことをきっかけに、気になること、知りたいことを調べてみる
など、「好き」をきっかけに、子どもが楽しめる活動やつながりを増やしたり、「好き」を表現して自信を育む機会をつくっていけると良いでしょう。
この記事を作成しているBranchでも、「好き」で自信を創り、「好き」で社会とつながるをキーワードに、発達障害・不登校の子ども向けのオンラインコミュニティや、メンターサービス、教室運営などを行っています。
■登校は、無理のないペースで
お子さんの発達特性について理解が得られ、必要なサポートを学校でも得られるようになると、再び登校できるようになる子もいます。
しかし、多くの子は一度不登校になると、再登校までかなりの時間を必要とします。まずは子どもの心身の健康を第一に、医師や支援機関、学校、そして何より本人と相談しながら、登校については無理ないペースで考えてください。
現在では、文部科学省も、不登校児童への支援について、”「学校に登校する」という結果のみを目標にするのではなく,児童生徒が自らの進路を主体的に捉えて,社会的に自立することを目指す必要がある”という考え方を明示しています。
学校に行かないことは「良くないこと」という価値観を子どもに押しつけるのではなく、その子にとって、登校することがどのような意味を持つのか、登校するとしても、どのくらいの頻度・方法・時期が望ましいのかを、ケースバイケースで考えていくことが大切です。
■将来のことは、急がず、長期的目線で
ケースバイケースとはいえ「このまま学校に行かなかったら、進学や就職、将来はどうなるのだろうか……」と心配になるのも親心でしょう。
文部科学省も同じく、不登校児童への支援について、”児童生徒によっては,不登校の時期が休養や自分を見つめ直す等の積極的な意味を持つことがある一方で,学業の遅れや進路選択上の不利益や社会的自立へのリスクが存在することに留意すること”と、子どもの進路や自立に関する利益・不利益への考慮の必要性を指摘しています。
ここで大切なのは、急がず、長期的目線で考えることです。時間が経つなかで、お子さんも、お子さんを取り巻く環境も変わっていきます。その都度、学習や進路に関する選択肢も変化していきます。
進学・進級に関しても、フリースクールやオンライン学習教材による出席認定や、通信制高校など、学校に通わなくても学ぶ方法や、その子に合った進学・通学先が見つけられる場合があります。
将来の自立に向けてできることは、「学校に行く」ことだけではありません。その子が自分らしく生きていくために、どんな力を育み、どんなつながりをつくっていけるのか。そのために保護者にできることは何か。学校だけでなく、さまざまな社会資源を活用しながら、じっくり考えていきましょう。
学校とのコミュニケーションについて
進学・進級のタイミングや、再登校をする際に、子どもの特性や困り事、希望する配慮事項などをまとめた「サポートブック」を作成すると、適切な理解やサポートを受けやすくなります。
放課後等デイサービスなどの支援員に書いてもらったり、学校に連絡・連携してもらったりすることができる場合がありますので、相談してみてください。また、学年の変わり目に、前の担任から新しい担任へ、引き継ぎの依頼をすることも適切な理解・サポートを受けることにつながります。
学校とのコミュニケーションがスムーズにいくかどうかは、学校の方針や教職員の方一人ひとりの考え方・対応によってまちまちです。以下のような立場の方のうち、まずは保護者の方が信頼できる方に相談してみてください。
- 特別支援教育コーディネーター
- スクールカウンセラー
- 校長・教頭、学年主任といった管理職
- 担任の先生
- 教育委員会の指導主事
- 自治体の教育センター
- スクールソーシャルワーカー
その上で、うまくいかないと感じることがあれば別の方に相談をしたり、放課後等デイサービスなどの支援員に介入を依頼するなどの方法を検討してみてください。
発達障害・不登校の子どもや保護者が利用できるサービスや相談機関
子どもや保護者が利用できるサービスや相談機関を具体的に紹介します。
■子ども向けのサービス・居場所
・フリースクール
不登校の小中高生が学校以外で学んだり友達と過ごしたりできる居場所です。公的な教育機関ではないため、設立の目的、規模や運営形態、活動内容はさまざまです。
在籍校の校長が認めた場合、フリースクールへの登校が在籍する学校の「出席扱い」になります。
発達障害への理解・支援の程度を含め、お子さんに合うかどうかは、実際に見学・利用しながら見極めていくと良いでしょう。「お住まいの地域名+フリースクール」といった言葉でインターネット検索をし、近隣のフリースクールに問い合わせてみてください。
・放課後等デイサービス
障害のある就学児童(小学生・中学生・高校生)が学校の授業終了後や長期休暇中に通うことのできる施設です。
児童福祉法に位置づけられた通所型サービスで、療育手帳や障害者手帳がなくても、医師の意見書などを提出し、必要性が認められれば通うことができます。
市区町村から交付される受給者証を取得することで通所の申し込みができ、1割負担でサービスを受けられます。
支援プログラムの内容は、お子さんの特性や各施設の特徴に応じてさまざまです。
まずは「お住いの地域名+放課後等デイサービス」でインターネット検索をしたり、役所の児童福祉課を訪ねて、近隣の放課後等デイサービス一覧をもらったりして、気になる施設に問い合わせてみてください。
・習い事や、私費での発達支援サービス
フリースクールや放課後等デイサービスのように、不登校や障害のある子どもに特化したサービスでなくとも、民間の習い事教室などが、お子さんの興味関心や特性に合うことも十分に考えられます。
また、放課後等デイサービスと違って全額自己負担(私費)とはなりますが、民間で発達障害や不登校の子どもたちの支援に特化したサービスを提供している教室もあります。
・病院・クリニック
病院やクリニックでは、お子さんの発達障害について相談したり、必要な検査を受けたり、診断書・意見書をもらうことができます。また、病院やクリニックが、デイケアなどの保険診療の枠組みで、支援プログラムを提供していることがあります。
児童精神科や心療内科があったり、「子どものこころ」「子どもの発達障害」といったキーワードを掲載したりしている病院・クリニックを探して予約してみてください。
・スクールカウンセラー
学校には、子どもや保護者などの心のケアや支援を行う「スクールカウンセラー」が配置されています。学校に関する悩みだけでなく、その背景にある家庭環境の問題や、個人の心身の問題など幅広く相談できます。
2021年現在、スクールカウンセラーはほとんどが非常勤であるため、スクールカウンセラーが来校する日を決めている学校が多いです。利用の際には、担当教員に尋ねたり、「スクールカウンセラーだより」などの学校の配布物に掲載されいる連絡先に連絡したりして、カウンセリング予約をしてみてください。
・オンライン学習教材
民間で提供されているさまざまなオンライン学習教材を使えば、自宅にいながら勉強することができます。学習指導要領に則って単元・学年別に教材・課題が用意されていたり、子どもが楽しく学び続けられるデザインになっていたりと、教材ごとにさまざまな特徴があります。
・オンラインコミュニティ
近年では、フリースクール等のオフラインの居場所だけでなく、子ども同士、また子どもと大人がインターネット上でつながり、活動ができる「オンラインコミュニティ」も増えてきています。
自分の興味関心に合った活動や仲間と出会えるだけでなく、音声通話/ビデオ通話/チャットといった様々なコミュニケーション方法が選べたり、アバターやアイコン、ニックネームを使って安心してコミュニケーションができたりと、オンラインならではのメリットもあります。
この記事を作成しているBranchでも、「好き」で自信を創り、「好き」で社会とつながるをキーワードに、発達障害・不登校の子ども向けのオンラインフリースクールを運営しています。
■保護者向けのサービス・居場所
・ペアレントトレーニング
保護者が子どもとのより良いかかわり方を学びながら、日常の子育ての困りごとを解消していくことを目的としたプログラムです。
各都道府県に設置されている発達障害者支援センターや教育センターなどの行政機関、放課後等デイサービス等の通所施設、病院・クリニック等、さまざまな場所で提供されています。
・カウンセリングなど、保護者自身のケア
お子さんのケアをする中で、保護者のみなさん自身にも、さまざまなご不安や悩みが生まれてくると思います。そんなときは、お子さんだけでなく、どうかご自身のケアも大事にしてください。
民間のカウンセリングルームを予約して話を聞いてもらうことはもちろん、上述の「スクールカウンセラー」に保護者として悩み相談をすることもできます。他にも、マッサージを受けるなどして体をケアする、自分自身の余暇・趣味の時間をつくるなどもおすすめです。
・保護者会などのコミュニティ
発達障害や不登校の子どもを持つ保護者同士の集まりが全国各地で開かれています。「お住まいの地域名+不登校 親の会」「お住まいの地域名+発達障害 保護者会」など、関連するキーワードで検索してみてください。
最近では、オンラインでの保護者会も増えてきています。
この記事を作成しているBranchでも、発達障害・不登校の子どもがいる保護者が交流・相談できるオンラインコミュニティを運営しています。
子どもも保護者も、安心できる居場所、Branchオンラインフリースクール
発達障害や不登校のお子さんのサポートは、家庭だけで抱え込まずに、子どもも保護者も、仲間とつながることが大切です。
「好き」で自信を創り、「好き」で社会とつながるをコンセプトに活動するBranchでは、子どもと保護者それぞれが、安心して仲間とつながり、交流・相談できるサービスを提供しています。
・Branchオンラインフリースクール
Branchでも1つの解決策として、不登校・発達障害があるお子さま向けの「学校外で友だちができる」オンラインフリースクールを運営していて、以下のような特徴があります。
- 同じように「不登校」や「発達障害」などで悩まれている保護者の方達がなんでも自由に悩みや困りごとを相談できる安心できるコミュニティや、家族以外の人との関わりが減ってしまった不登校のお子さま達が自分の「好きなこと」をきっかけに安心できる居場所や、友達ができるようなサービス。
- NHKや日テレなど多くのメディアにも紹介され、本田秀夫先生との対談や、厚生労働省のイベントの登壇実績もあり、サービス継続率は約95%以上。
- 小学校低学年のお子さまはもちろん、どんな子でも楽しく参加できるようにスタッフがお子さま一人ひとりに寄り添ったサポートを徹底。
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