こんにちは。
『「好き」で自信を創り、「好き」で社会とつながる』をビジョンに、発達障がい児や不登校のお子さま向けのメンターマッチングサービスと教室運営をしているBranchの中里です。
ちょっと個人的には子どもに対して「成長する」という言葉があまり好きじゃないのですが、こちらの方が分かりやすいかなと思いこんなタイトルにしてみました。
「成長」というと一方向に感じますが、向かっていく先が一つってそれ自体が発達障がいの子どもにとっては苦しいことになる可能性があるので。
それでも保護者の方からすると、何かお子さんが「成長したな」と感じるタイミングって嬉しいですし、僕も普段からお子さんを見ていて「成長したな」って感じることも多いので、そんな実例を記載していければと思います。
0.前提として
まず前提として、発達障がいを持つお子さんは「社会の中で行きていくのにうまく行かないことが多く、自己肯定感が下がりやすい」です。
発達の特性にゆえに他の子と物事の感じ方や考え方が違うため、周りから「それは違うよ」と言われやすかったり叱られやすかったりします。
その結果、「周りに合わせなきゃ」と思ったり、そのまま叱られ続けたりして、どんどん自信を失い続けていきます。
Branchに来る前のお子さんの状況を親御さんにヒアリングすると、毎日「死にたい」「明日がこなければいいのに」と言っているという声も良く聞きます。小学一年生とか小さなお子さんでも、です。
まずはそんな状況であり、子どもに対して一般的な対応方法だと難しいという認識からスタートさせてください。
1.すべてを受け入れられていると感じ、お互いに信頼があること
その上でまずお子さんが変わったな思えると嬉しいポイント(成長したと言い換えてもいいです)はやっぱり毎日朝起きた時に「今日は楽しい日だ!」と思えることだろうなと思うんです。
その第一段階は何と言っても「自分は社会に受け入れられている」という安心感だと思います。
社会とはつまり、家族であったり、友人であったり、その他お子さんが出会うすべての人を指します。
そういった人たちから「自分が受け入れらている」と感じ続けることがまず最初に一番大事だと思います。
0のところに書いたように、圧倒的に発達障がいの子は「自分は社会に受け入れられていない」と感じることが多いのです。
そんな状態で学校の先生も親も「なんでできないんだ」「もっとやるべきことがあるだろ」と言い続けられたらつらいです。
社会を信頼できなくなり、どんどん親の言うことも先生の言うことも聞かなくなります(もしくは聞くフリをして、時間が経った頃に爆発します)。
なので、まずはお子さんの「ちょっと変だな」とか「なんで学校に言われたことを何もやらないんだろうな」とか思うことがあっても、まずはいったん受け入れてみること。
生活を回す上でそれがとても難しくてもちょっとだけ頑張ってみて、それでもできなければ受け入れてくれる場所を探すこと、が大事かな、と思います。
全部を受け入れてくれると感じると、Branch roomの経験で言うとだいたい3ヶ月から半年くらいすると目に見えてお子さんが変化します。
2.活動力の変化
それを僕たちは「活動量の変化」と呼んでいますが、実際にはこんなことが起こります。
・Branch roomに来てもドアの前から表情を動かさず一切動かなかったような子が、部屋の中をゲラゲラ笑いながら走り回る
・家以外の場所に全く出ていなかった子が、「毎朝走る!」と宣言して走り出した
・とにかく引きこもってゲームしかやっていなかったのに、自分のペットの家を創ってあげたり、ゲームの大会に参加してみたいと言い出す
などなどなど。
こんなことがBranch roomでは頻繁に起きています。
(これ、もっと定量的なグラフとかで出せればいいのですが、そういう調査ができておらず、まずはBranchのブログで保護者インタビューを載せて行っています)
3.自分のやりたいことを口に出す。チャレンジしてみる。
そんなことをしていくと、だんだん「実は○○やってみたかった」というようなことを言い出してくれます。
・実はYoutuberみたいにゲーム実況してみたかった
・好きなプロゲーマーに会ってみたかった
・白衣を来て科学実験を好きなだけやってみたかった
などなどなど。
なんというか、これって結構普通なことだと感じると思うのですが、ここまで来るのに結構時間がかかったりします。
これも特性なので、毎日パニックになったりしても好きなことをとことんやってる子もいるのですが、「自分が好きなことなんてやっちゃダメなんだ」って思っている子も本当に多くて、、(悲しい)。
4.自分のやりたいことをやっている内に苦手なこともできるように
3で書いたような「ゲーム実況をやってみたい」と言っている子で、こんなことがありました。
療育施設などに行ってその子が言われるのは「話すのが苦手」ということ。
無軌道に思いついたことを言っているので相手に伝わらない、話す順番を整理するのが苦手、自分の感情を言葉にするのも苦手なので嫌なことがあると自傷に走る、複数人いると1人と話し他の子はいなくなったような会話になる、などなど。
そんな子が3ヶ月程度Branch roomに通った頃に「実はマインクラフトを使ってYoutube動画を撮りたい」と教えてくれました。
さっそくBranch roomのスタッフでYoutube動画を撮るためにステップを創っていったのですが、その際に驚いたのがどんどん話すことが上手になっていったことです。
Youtubeって見ている人は分かると思いますが、TVよりも短時間で動画の内容を伝える必要があります。
・今何をしているのか
・これから何をしようとしているのか
・面白いと感じるポイントは何か
などなど。
また、長すぎる動画だと最初の頃は見られない可能性があるので、僕たちで5分以内でまとめる、など時間の制限をしていきました。
最初は動画を撮っていても無言になっていたりしたのに、普段Youtubeを見慣れていることもあるのか、どんどん話すのが上手になっていきました。
今まで「話す」ことに苦手意識はずなのに、そんなことは感じさせないように。
そして、これは保護者の方から報告を受けて知ったのですが、公園などで遊んでいる際にも「今からこれをやる!」、やっている最中に「これが難しい!」など、自分の状況を話すようになっていったと。
一番苦手と思われていた「話す」ということが、メキメキ上手になっていって、僕たちもものすごく驚きました。
自分の好きなことややりたいことをきっかけにすると、ここまでスキル面も伸びていくのだと、驚くと同時に自分たちがやっていることに対してより強い自信を持ちました。
今回も長くなってきたので、この辺にしておきます。
また、少しずつ発達障がいや不登校のお子さんと触れ合う中で気づいたことなどをまとめていければと思います。
※僕の運営しているサービスBranchはこちらです。
ライター:中里祐次
Branch代表。早稲田大学卒業後、㈱サイバーエージェント入社。子会社の役員など約7年勤めた後にサイバーエージェントから投資を受ける形で独立。自分の子どもがレゴが好きで、東大レゴ部の方に会いに行った時に目をキラキラさせていたのを見てこのサービスを思いつきました。好きなことは、漫画やアニメを見ること、音楽を聞くこと、サウナ、トレイルランニング、かなり多趣味です。Branchの子どもたちに鍛えられて子どもが好きな遊びはたいていできるようになりました。