発達障がい児と、その子供達が興味を持っている分野の学生や専門家などをマッチングさせ、発達障がい児の可能性を伸ばすWEBサービスである『Branch』のメンターをやっている佐野と申します。
といっても私はまだ学生で東京大学院の物理学専攻修士二年生で、Branchのメンターとともに代官山でのリアル教室”Roots”の教室長も兼任しています。
今回は弊社のサービス”Branch”をご利用頂いているユーザーさんの中でも、私が実際にメンターとして伺った埼玉県在住の方にインタビューさせて頂きました。
ユーザーさんから声とともに私たちメンターがどのようなことを感じ、Branchで活動しているかお伝えできればと思います。
インタビューさせていただいた方のお子様は”プログラミング”や”数学”の分野に興味がある小学生ですが、大学生レベルのとっても高い能力と専門性を持っていました。
しかし対人的なスキルはまだ発達段階にあり普段は公立校の特別支援学級に通っています。
いわゆる”ギフテッド”と呼ばれるようなお子様です。彼のやっていることを理解するためには大学程度の専門知識が必要で、特別支援学級ではなかなか理解されづらいようでした。
当日は私が研究で使っているMATLABという研究用のプログラミング環境を使って遊んだり、”人の魂の存在を人工知能による模倣”といった哲学的なお話までしました。
当日は人工知能と魂の話から人の心がどこにあるのか、などが話題に。
まずはユーザーさんからの声を原文そのままでご紹介いたします。
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何回かBranchをご利用いただいておりますが、どんなことを期待してご利用いただいていますか?
息子が興味を持つことは年齢相応よりも上のことや専門的なことが多く、また発達の特性からコミュニケーションが一方的になりがちなため、同年代の子はもちろん、周囲の大人である先生や親でも、彼の興味・関心に共鳴することは難しく、さびしい思いをしているのではと感じていました。
親としても、
また支援級在籍なため、専門的な知識のある方とお話しすることで、
Branchを利用してみてどのようなご感想をもたれましたか?
息子の興味・関心に対応いただけるメンターを選べ、自宅にまで来ていただけて感謝しています。
事前にお伝えした私たちの要望、息子の興味・関心を踏まえて準備してくださった上で、当日の息子の状態に合わせ、臨機応変な内容をとってくださいました。
息子をむりに導くわけではなく、寄り添いながら、興味を深めたり、新たな知識を与えてくださいました。充実した時間を持てたようで、その後数日おだやかだったように記憶しています。
親も、
実際に訪問したお子様が書いた図
Branchのサービスで特に良かったと思う点はどのようなことでしょうか?
指定したメンターを独占してマンツーマンでお話していただけるところが特に良いと思います。
多くの子供と同席する教室形式ですと、自分がしたい専門的な話だけをするわけにはいきませんので。
Branchを利用する前後でお子さまに何か変化はありましたか?
メンターの方を、
以前は将来像を親以外では持っておりませんでしたが、不安が大きくなったときに励ます言葉の中でメンターの方の名前を出すことがあります。
また、大学生という、大人よりも身近で、それでいて年上の存在に触れて色々なお話をしたりほめてもらった
Branchの利用を迷われている方向けにメッセージなどございましたら、教えてください。
私たちはお一方のメンターとしかお会いしていませんが、登録されている方々は、子供の特性を受け入れ寄り添ってくださるのでは、と思います。
子供の興味に共鳴してくださりそうなメンターを提案してくださるので、一度問い合わせてみてはと思います。
Branchのサービスを今後も利用したいと思われますか?
子供の今後の成長次第ではありますが、必要と感じたときにまた利用させていただきたいと思います。
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以上、ユーザーさんへのインタビューでした。
今回訪問したお子様は高度な知識を持っていましたが、対人的なスキルが未発達なために生じてしまう孤独感があったようです。私が訪問したことでわずかでもよい時間が過ごせたなら本当にうれしく思います。
最後に私自身がBranchのメンターとして感じていることをお伝えできればと思います。
訪問中、お子様自身から「学校がつまらない」「学校では友達が少ない」といったことを聞きました。彼の通っている特別支援学級は学校全体で3人のみだそうで、彼の話について行ける人はいないのだと思います。
彼は「自分が親に迷惑をかけている」「自分は他人より劣っている」という感覚を根本に持っているように感じました。私と親御さんが話していると「僕のこと何か話してるの…?」と心配そうに聞いてきたりしていました。
自分がダメな人間である、けれどもそれを分かち合える人もいない。そんなことを彼はきっと心のどこかで感じているのではないかと思います。
しかし私たち専門性をもった者からすると、彼は全くダメなんかではありません。東京大学の大学院で学ぶ私と対等に哲学的な対話をし、自分で自動学習のプログラムを組める、そんな彼がダメなわけはないのです。
私は大学生ですから小学生の彼よりは広い世界に生きていますし、私の能力を評価してくれる方とも支えてくれる方とも出会うことができています。ですが彼はまだ小さい世界にいるから自分を否定してしまっています。外にはもっと理解してくれる人、支えてくれる人がいるのに、そんな人たちと繋がれていません。
こうした場面に出会うと、私はとても心が痛くなります。
実は私自身も周りから疎外された経験はあります。私はギフテッドでもなんでもない、ただの成績も平凡なちょっと変わった小学生だったのですが、ちょっとしたことで学校の同級生からは弾かれてしまいました。
彼のような状況は過去の自分の感情を想起するようで、とても心が痛いのです。
私はいろいろな方に助けていただき、広い世界に出ることができました。ですから私も彼のようなお子さまにとって何かできることをしたいと思っています。
今回ご紹介したお子様だけでなく「自分がダメだ」「誰ともこの気持ちを分かり合えない」と感じているお子さまは多いのではないでしょうか。
どんなお子様も能力に凹凸があることは当然です。ダメな部分があるのもごく当たり前のことです。それでも良い部分も間違いなくあるのだと思います。そんなお子様のいい部分を引き出すことも、とっても大事なことだと思うのです。
お子様の良い部分を引きだす、そのためにBranchのメンターは取り組みます。
私も代官山のRootsにて日々運営に勤しんでおります。
Rootsのプログラムの様子。自由にお子様の”好き”、得意なことを引き出していきます。
宜しければ一度お問い合わせくださいませ。
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