こんにちは。
不登校や発達障害のお子さんと保護者さんのための居場所、Branchコミュニティの中里です。
今回は「Branchがなぜ今このようなサービスを運営しているか」ということと「利用してくださってる方がどのような点が良いと思って利用してくださっているか」ということを書いていきたいと思います。
なぜBranchを作ったか?
これは色々なところで話しているのですが、きっかけは私の息子が発達障害という診断を受け、一時期学校にも居場所がないと感じていたことがあり、これをなんとかしたいと思ったことです。
詳しくは下記ページの文章か動画を見て頂ければと。
Branchはじまりの物語(←Branchコーポレートサイトに飛びます)
マイナス面を見るのではなく、子どものポジティブな面、良い面、得意な面、そういうところを見ていくことが、子どもも褒められることが増えますし、自己肯定感も伸びていくだろうな、と思ったがスタートになります。
発達障害のお子さんが、「好き」で自信をつくり、「好き」で社会とつながる、ことができるように
- 孤独になりがちな発達障害のお子さんに向けて
- 大人と子ども1対1で
- 好きなことを好きなだけできる時間を提供して
上記のようなことをしようとサービス作りをしたのがスタートでした。
最初に実施したクラウドファンディング:発達障がい児の孤独を無くし可能性を伸ばすWEBサービス:Branch(ブランチ)(←クラウドファンディングサイトMakuakeのページに飛びます)
カリキュラムがある学校や塾のような現場だと、大人から何かを発信して、子どもが受け取るという形式だと思いますが、
子どもから対話を始めてもらうというコミュニケーションだと、普通に子どもの好きなことを話してもらった方が対話が続くんですよね。
これは大人でも一緒だと思いますが、苦手なことや嫌いなことを話すより、自分が好きなこと得意なことハマっていることを話してもらった方がワクワクするし身を乗り出して話してくれるんです。
大人から子どもに発信するのではなく、子ども主体でコミュニケーションを始めてもらうにはどうすればいいか?
それがBranchの子どもとのコミュニケーションの発想のスタートです。
要は「好きなことだと、話したくなる」「好きなことだと、人とのコミュニケーションのハードルが下がる」のです。
発達障害のお子さんはその特性によって、集団生活の中で「なんでそんなことするんだ」「そんなことはやめなさい」「危ないからやめて」「だめだよ、そんなこと」「普通はそんなことしないよ」「周りの子にもっと合わせよう」など、言われ続けて自己肯定感を下がり続けています。
私は、日本には「できる」より「できない」に注目する文化があると思います。
そこにも成績重視の教育が影響しているように感じます。成績を重視していると、目標を低めにして「ここができている」とほめるよりも、目標を高く置いて「ここができていない」と改善点を示すことのほうが多くなりがちです。そういう教育方針が、できないことに注目する「マイナス思考」を生んでいるのではないかと思うのです。
学校の中の発達障害 「多数派」「標準」「友達」に合わせられない子どもたち:本田秀夫 (著)
そういった子たちと好きなことを好きなだけできる場所と時間を提供して、自己肯定感を取り戻していってもらう。
そして、コミュニケーションのハードルを下げて、つながりを作っていく。
それが
「好き」で自信をつくり、「好き」で社会とつながる
というBranchのビジョンにこめた理由です。
発達障害のお子さんの中には不登校のお子さんが多かった
Branchを運営していて、割と初期のタイミングで、
「あれ、お子さんたちほとんど不登校のお子さんだな」
ということに気づきました。
発達の特性を抱えていると、様々な理由で学校に行くのが難しくなります。
こだわりが強く、学校になじめない。例えば「なんでも1番じゃないないとだめ」というこだわりがあり、「教室に入る」のも「給食をよそってもらう」のもすべて1番じゃないとダメ。
周りに合わせるのが難しい。例えば「先生からの質問に手を挙げて名前を呼ばれたら答えてください」という一般的に授業中に行われている行為も、「手を挙げて答える」ができない
聴覚過敏があり、学校内のざわざわが苦手。
などなど。
他にも
小学1年生の初めに先生に叱責され、それが理由で緘黙になり、不登校。もう3年以上親以外と会話をしていない
というお子さんもいました。
そういった子たちも孤独を抱えているということが分かり、「発達障害・不登校のお子さん向け」のサービスであると、説明するようになりました。
面談時に「お困りごとはなんですか?」と聞いた答え
Branchでは、基本的に利用時に面談をさせて頂いており、「お困りごとはなんですか?」と質問させて頂いています。
その際に返ってくる答えは下記になります。
こういったお困りごとを解決しようと考えて、一つ一つ実行していった結果が今のBranchです。
「死にたい」を減らす。自傷行為を減らす。
サービスを運営している中で、
- 好きなことでつながる
- 好きなことで挑戦していく
ということが、中期的なゴールであると定めました。
ただ、「つながり」も「挑戦」も
- 心が安定していないとできない
ということが良く分かりました。
学校に行き渋っていたり、不登校直後の子などは、家の中で暴れていたり、ご両親に暴言をはいていたり、「死にたい」と言っていたり、頭をたたく/おしりをペンペンたたくなど子どもなりの自傷行為をしていたりします。
そういう子たちに「はい、好きなことでつながろう」「はい、好きなことでチャレンジしよう」と言ってもできないんです。
まず元気を取り戻し、人への信頼感を醸成して、外に意識が向いていく必要があります。
Branchでは、年に2回、保護者向けにアンケートを取っており、その内容をすべて公開しています。
7人以上人がいる場所は苦手など具体的に苦手面を説明出来るようになった」「1人で電車に乗ってフリースクールや習い事に行けるようになった」など、Branch利用後のお子さんとご家庭の変化 (←Branch記事に飛びます)
このアンケートの一番最初が
- 生について:「死にたい」「自分なんていなくなればいいんだ」「生まれてこなければよかった」などの発言」を言っているか、言っていないか
次が
- 自傷行為:自分の頭をたたく、自分のお尻をたたく、自分の髪の毛をひっぱる、など」をしているか、していないか
となっています。
これは基本的にBranchとして大切にしていることの優先順位順になっていて、まず最初に上記2つが無い状況にしていくということを目指しています。
参考:「好き」を基軸とした療育:アナログゲーム療育アドバイザー松本さんインタビュー(←Branch記事に飛びます)
「同じ仲間がいる」ということは、一番の治療薬
それでは、どうしたら元気になるのか?
人とのコミュニケーションがまだ難しいお子さんの場合は、
Branch roomやメンター、Branch個別プログラムなどで1対1の場を持ち、お子さんの好きなことを好きなだけできる空間を作っていくということが最初のとっかかりです。
Branchに通うようになったのはその後ですね。「好き」を見つけるプログラムがすごく楽しかったみたいです。
「どうして教室にいられないんだろう?」学校に行きたくない不登校・発達障害の親子それぞれの困り事と対応 – Branch保護者座談会 前編(←Branch記事サイトに飛びます)
経験上、お子さんが最も元気になるのは
「同じ状況の仲間がいる」と分かること
です。
Branchに来るお子さんの場合、「発達の特性があり、特性によって不登校になっている」、その結果お子さん自身が「自分はマイノリティなんだ。自分なんてダメな子なんだ。」って思ってる子が非常に多いです。
そんな子たちが、Branchの中で
あれ、同じような子たくさんいるじゃん!しかも好きなことも同じじゃん!
って気づくと、一気に元気になります。
これは、新型コロナウイルス感染症が逆に良い影響を与えました。
不登校のお子さんたちは、家から出れないお子さんが多かったのですが、オンラインが主流になったことにより「家から出ないでオンラインでつながる」が普通になったのです。
人生を幸せにする要因はなにか?ハーバード大75年間の研究で分かったこと
日本語版はこちら(←外部のページへ飛びます)
こちらの動画は心理学者ロバート・ウォールディンガー氏がハーバード大学において、75年に渡る成人発達に関する研究をして「私達を幸福で健康にするものは何なのか?」という最も根源的なことを解明した内容です。
12分半の動画なので、ぜひ中を見て欲しいのですが、少し引用してみます。
75年に渡る研究からはっきりと分かったことは
私たちを健康に幸福にするのは良い人間関係に尽きるという事です
これから人間関係に関して3つの大きな教訓がありました
第一に周りとの繋がりは健康に本当に良いという事
孤独は命取りで
家族 友達 コミュニティとよく繋がってる人程
幸せで身体的に健康で繋がりの少ない人より長生きするということが分かりました
孤独は害になるという研究結果が出たのです
人間関係と健康に関して 分かった3つ目の大きな事は 良い関係は身体の健康だけでなく 脳をも守ってくれるという事です
75年間に渡る研究で 定年退職後 一番幸福な人は 仕事仲間に代わる新しい仲間を 自ら進んで作った人達です
最近の調査での 新世紀世代のように この研究の参加者の多くは 彼等が青年期に入った時 名声や富や業績が 良い生活をするには 必要なものだと 本当に信じていましたが
75年もの間 我々の研究で 繰り返し繰り返し示されたのは 最も幸せに過ごして来た人は 人間関係に頼った人々だという事でした それは家族 友達や コミュニティだったり様々です
人とのつながり、そしてその質が健康に直結して、幸福になるという。
すごく納得感のある研究結果です。
発達障害や不登校関係なく、みなさん良いコミュニティを築いて生きていきたいと願っているかと思います。
これも自然にできているのであればよいのですが、Branchに来るお子さんたちは難しい場合が多いです。
- 発達の特性によって、学校の人間関係でトラブルがあった。
- 不登校によって、同世代とのコミュニティが閉じてしまった。
など、色んな事情で社会から逸脱してしまっているお子さんとそのご家族がBranchにはいらっしゃいます。
発達特性があろうがなかろうが、そのままを認めてくれる大人とのつながりをBranch roomやBranch メンターで作ったり、同じ好きなことでつながれるオンラインコミュニティで同世代とつながることがとても大事だと思い運営しています。
つながることこそが重要だと思っているので、そのツール自体は問いません。
オンラインでもオフラインでも、ゲームの中でもオンラインコミュニティの中でも。
僕たちはゲームやオンラインコミュニティであっても、子どもたちが初めて同世代の子たちと仲良くなっていくことによって、「死にたい」という発言はなくなったり、自傷行為が減ったりということを実際見てきているからです。
他にも本の中から「つながり」について書かれている内容をご紹介します。
孤独は心を蝕み、つながりは心に希望を処方する、というごくごく常識的な人間の特性と して理解した方がいい。人間関係に備わる当たり前の機能である。
ふつうの相談 | 東畑 開人
おそらく女性のほうが横のつながりといいますか、 男性に比べソーシャル・キャピタルが豊かなんです。ママ友、カフェ友の類いですね。 一 方、男性の人間関係は仕事関係がほとんどで、利害が絡まない横のつながりが乏しい人が多い。女性はそうした利害の絡まない関係性のなかで、相談したり愚痴をこぼしたりする といった、いわゆる援助希求ができやすいんじゃないでしょうか。これが女性の自殺リス クを相対的に低く抑えているのではないかと考えています。今回のコロナ禍で一番ダメー ジを受けたのはこの部分だと思います。私自身この間、ソーシャル・キャピタルが激減し、非常に弱ってしまっている女性の話をよく聞きました。
臨床のフリコラージュ: 心の支援の現在地 | 斎藤環, 東畑開人
「心を可能にする仕事」が主流になりつつあって、極論かもしれませんが、つながりさえ回復できれば心のことはなんとでもなるということですね。
臨床のフリコラージュ: 心の支援の現在地 | 斎藤環, 東畑開人
つながりが人を幸福に、健康にするということはどうやら間違いがない。
そのつながりを安心安全に構築することができれば、それはお子さんにとって(そして保護者さんにとっても)人生における大きな資産になる。
ソーシャルスキルが身につく環境
そういった「友だちがいる/居場所がある」という状態は
↓
ソーシャルスキルが身につく環境がある
ということです。
Branchの保護者さんからのコメントを紹介します。
息子の場合は、支援に入ってもらっている訪問看護、
Branchでのオンラインなどが「リアルソーシャルスキルトレーニング」になってます。
通級とかは全然やる気がなくダメだったのですが、息子がやりたいことを自分で実際に経験して、つまづきがあった時に間に入って話し合い、
相手とのやり取りの仕方をサポートして覚えていく、という方法のが一番身になってます。
特に仲良くなりたい相手とは、自ら「どう答えたらいい?」と聞いてきたりします。
支援者が必ずしも導いてくれるのではなく、トラブルになることもあるので、親と支援者がチームになって、
結果的に「リアルソーシャルスキルトレーニング」になって学びになるという感じです。
「まずは、大人との信頼関係、自信、安心が土台」
ほんとに大事なことを、再度思い出せました!
この秋も、新しい通級の先生と合わなくて調子を崩し行けなくなったのは、信頼関係を築くより先に、SSTを試みられた先生だったからかもです。
今は母子共に疲れ果てているので、まずは、やっぱりのんびりが大切そうです。とはいえ、どんどん成長していく子を目の前にして、時々焦りが湧いてしまう。
こうして、みなさんのお話を聞いて、気持ちを落ち着かせています🙇♀️
私も子どものSST悩みました。不登校によって、リアルな体験のチャンスがどんどん失われていく、と焦りました。
色々試してみましたが、放課後デイや心理士さんがSSTっぽいことをやると拒否反応を起こし、せっかくそれまで築いて来た関係性が壊れる、ということも何回かありました。
昨年夏に、北海道で子供だけで開拓をするというキャンプに興味を示したので参加させ、それがきっかけでかなり変わった気がします。
が、今になって考えると、それまでの試行錯誤が蓄積して、キャンプをきっかけに表に出てきたのかなと思います。
今気をつけていることは、
・子どもの成長する力を信じる
・やりたいと言ったことは無駄のような気がしても、できるだけやらせてみる
・変化が目に見えなくても焦らない
・親の都合や周りの目を優先しない
ということですかね。日々葛藤ですが。
あと、Branchは、心理的安全があって、子どもも、親もほっとします。
今の時代の子どもたちは、オンラインでコミュニケーションを取ることの頻度が高くなっていっています。
今後は、オフラインよりもオンラインでコミュニケーションを取る頻度の方が高くなる時代が来るかもしれません(Branchの子たちや、一部の子にとってはすでにそうなっていますね)。
そのため、そもそもの「ソーシャルスキル」自体が変化していっています。
コミュニケーションの現場を「オンライン」「オフライン」で分ける以上に、もっと分解していくと下記のように考えられます。
- 1 対 1 ⇔ 1 対 多
- 視覚情報あり ⇔ 視覚情報なし
- 相手と自分のプロフィールが分かっている ⇔ 相手と自分が匿名
- 同期 ⇔ 非同期
など。
今までの時代で「ソーシャルスキルが不足している」と言われていたものは
- オフライン
- 1 対 多
- 視覚情報あり
- 相手と自分のプロフィールが分かっている
という状態です。
この状態というのは、これからの時代においては一部の状態に過ぎません。
1 対 多を1 対 1に変えるだけでコミュニケーションが楽になる子がいます。
オフラインをオンラインするだけでコミュニケーションが楽になる子がいます。
視覚情報をなくして、自分の顔が見られない状態にするとコミュニケーションできる子もいます。
オンラインの時代になったことにより、コミュニケーションの方法は幅広くなったので、自分のお子さんはどういった形のコミュニケーションが得意かを把握しておくだけで、随分と生きやすくなります。
また、Branchの保護者さんが言っているようにすべてにおいて「大人との信頼感」「心理的安全性」がまずは大事ですね。
それが無いままにソーシャルスキルトレーニングを実施すると拒否反応を起こしてしまう場合があります。
まずはお子さんにとって居心地の良い安心できる居場所があり、その上でソーシャルスキルを学べると良いですね。
人とのつながりが幸福・健康になる。
ということは、この「つながり方」を学べるということは、人生を幸福にする礎になるのだと思います。
安心安全の居場所
Branchでは、一番最初に作った保護者さん向け資料でも
- 安心→自信→チャレンジ
というメッセージを入れていました。
安心できる居場所があり、自信を取り戻した結果、チャレンジができる。
子ども向けの教育は、どうしても結果が出る「チャレンジ」に目が向きやすいと思います。
でも、Branchでお子さんと接していく中で「チャレンジまで行く段階こそが遠い」と分かりました。
まずは「安心」。
スタートは「安心」。
ここでBranchで実施している安心への取り組みの一部をご紹介します。
教科学習支援をしていない理由
Branchは教科学習支援はやっていません。
実際はお子さんが「やりたい」と言っている場合にフォローすることはあります。
また、Branchコミュニティの部活の中にも「算数部」「Duolongo部(語学)」などのように教科学習に近いものはあります。
ただ、サービスの外に銘打って「教科学習しています」とは言っていません。
なぜか。
それは不登校の理由の中に「学習の遅れが嫌だ」「宿題が嫌い」など、学校の勉強への忌避が含まれている場合があるからです。
学校の勉強が嫌で、学校を休んでいて、居場所を探している。
そういうお子さんもいらっしゃるので、Branchでは教科学習支援をしていません。
このあたりのお話を下記に詳しく記載しております。
よろしければご覧ください。
なぜ不登校や発達障害の子ども(や家族)に学校以外の居場所が必要なのか(←Branch記事サイトに飛びます)
親のつながり
お子さんが元気になったきっかけの2番目は「親が登校刺激をしなくなった」というものです。
お子さんのメンタルが回復した時はどんな時でしたか?出来事や条件などがあれば教えてください。
一年位かけて少しずつエネルギーを貯めてきたように感じます。
安心する場で過ごして楽しいことをできるだけして段々と元気になりました。Branchに入って好きで繋がるという体験も大きかったです。
特にBranch roomに行ってたくさん褒めてもらいながら遊んでもらったこともきっかけになったように思います。
あとは父親が登校刺激をやめて優しく接するようになったことも影響大でした。
こちらが毎朝学校に連れて行こうとするのをやめたとき。
完全に回復したわけではなさそうですが、親が指示的な言葉かけをやめて、好きなことをさせるようになったら元気になってきました。親が逆戻りすると、子供の状態も逆戻りしますが・・・。
メンタルが回復したと言い切っていいのかわかりませんが、毎日笑顔で過ごせています。
まずは、親が子どものつらさ・苦しさに寄り添って不登校を受け入れたこと、無理に学校に行かせようとするのをやめたことが大きいのかなと思います。
(迷いや葛藤が完全になくなったわけではありませんが) それから、Branchに入って色々なお友達と出会い、大好きなゲームで思う存分遊べるようになったこと。
最初は常に親が付き添って、代わりにチャットをしたり話したりしながら活動していましたが、徐々に自分だけで参加するようになってきました。
苦痛やプレッシャーから解放されて、ありのままの自分を受け入れてもらえる場所が見つかったことは、大きな変化だったと思います。
保護者が登校刺激をしなくなるのは子どもにとっては救いですが、保護者さんからすると非常に難しい決断です。
なにせ、今まで生活してきた環境には同じ決断をした人がいない(少ない)からです。
不登校初期は、ほとんどの保護者さんが登校刺激をします。
周りの子は普通にみんな学校に行っていますし、周りの保護者さんたちも学校に行っている子の親なのですから。
「学校に行かない」という選択肢が突如現れ、混乱します。
ご自身で仕事をしている場合は、その調整もしないと行けないため、強いストレスになります。
そこから徐々に子どもの現実を受け入れ不登校を受容するには、
子どもと同じように「学校に行かないと決断した保護者が周りいること」は大切なんです。
自分だけではないという感覚。
そして、その決断を信じられて、保護者の方々が精神的にも健康な事は、結局お子さんの心の健康にもつながります。
外からは見えづらいかもしれないですが、Branchの保護者コミュニティは、
日本では唯一の「発達障害/不登校の親が、オンライン上で自己開示をして、なんでも聞いてなんでも話している場所」です。
一部だけお見せします。
下記の動画では、精神科医の益田裕介先生がBranchコミュニティの中を見て回っている様子を収録しています。
そういった経緯もあり、Branchでは保護者さん同士のつながりにも力を入れています。
学校には同じような課題を持っている保護者さんは少数派で、地域によっては学校の中で唯一自分だけが不登校や発達障害について悩んでいるという状況も珍しくありません。
この疲れを癒やし、孤独を無くす場となっているのが、Branch保護者コミュニティです。
子どものこと、自分のこと、夫婦のことなどなど。不登校に関する悩みを相談できる場所が周りに見つけられずにいたので、Branchはとてもありがたい存在です。ここで誰かに相談することの大切さを学べたので、リアルでも相談先を探すきっかけになったなと感じています。
「オフラインの少人数保護者コミュニティ」「講演者が話すのを親が聞くコミュニティサロン」などは他にもありますが、「オンラインで日本中に保護者がいる」「N対Nで相互に対話が成り立っている」「発達障害/不登校の専門的な課題について話し合われている」のはBranchだけです。
「不登校・発達障害に関する共通の課題を持っている」コミュニティのため、自己開示と具体的な体験談の回答がされやすく、お互いのケアにもなるし、「実際にどう行動をすればいいか」の学びにもなるコミュニティです。
ロールモデル
Branchには、ロールモデルとしている人たちがいます。
それは
- Branchに長年所属していて、高校生になって、Branchのメンターやスタッフとして居場所作りのお手伝いをしてくれている子たち
です。
Branchメンター(Branchメンターページへ飛びます)
もちろんお子さん1人1人、過去に様々な課題もありました。
それを乗り越えて、今は毎日楽しそうに過ごしています。
乗り越えてというか「ずっと自分の好きなことを大事にして」ですね。
そして、好きなことから、オリジナルなスキルをぐんぐん伸ばしている素敵な子たちです。
Branchの下の子たちにも本当に優しくて、みんなに大人気なお兄さんたちです。
- 学校に毎日通っていたわけではないけど
- 好きなことをとことん突き詰めて
- 人の弱みも分かって優しく
- Branchの下の子たちに尊敬されている
というような子たちで、僕たちBranchにとっては希望です。
また、過去不登校経験のある長年Branchのメンターをしてくれている方もいます。
こうやって、好きなことを大事に生きて、好きなことで救われるお子さんたちが増えるといいなとBranchは思っております。
どのような世界を作っていきたいか
僕たちは関わってくれているお子さんたちみんなが幸せになってほしいと願っています。
そして「幸せ」になるには、どんなことが必要になるか。
2点あると思っています。
1つは前の章で書いたように「人とのつながり」です。
もう一つは「自己決定した人生を歩んでいること」。
「自己決定した人生を歩んでいること」に関しては、このような調査があります。
この調査の中では「幸福感に与える影響力を比較したところ、健康、人間関係に次ぐ要因として、所得、学歴よりも「自己決定」が強い影響を与えることが分かりました。」と書かれています。
では、どうすれば「自己決定した人生」を歩めるのか。
要は「自分ならできる」という、いわゆる「根拠のない自信」をいかに持てるか。
大人になった時に「根拠のない自信」を持つには、幼少期に「あなたが存在しているだけで素晴らしい」と感じさせてくれる環境を作ることが大切です。
それがすでに準備できているのであればいいですが、僕たちが関わるようなお子さんの場合だと、色々な場所で「できないことを指摘」され続けたり、同調圧力によって「周りの人と同じようにできるようにならないと」とお子さんたちが感じてしまう場面が多いです。
でも、お子さんって比較しないで、その子一人ひとりをパーソナルな存在として観察してみれば、素敵なところっていっぱいあると思うんです。
落ち着きがないと言われてる子は、好奇心旺盛でいろいろなことへの知識欲が強いかもしれない。
こだわりが強すぎてみんなと同じように進むことができないと言われてる子は、一つの対象に関してはより強い深堀りができるかも。
とにかく育てるのが大変、、、と思う子でも、同じような好きなことがある人と遊んでみたら、実はたくさんのユニークな部分が見えてくるかもしれない。
周りの環境がその子をコントロールするのではなく、その子が生まれ持って備わったものをそのまますべて受け入れる環境を作る。
そのためにBranchメンターによって「好きなことが同じ大人」と出会ったり、Branch roomで1対1で誰にも合わせる必要なくひたすら好きなことをする時間を作ったりしています。
まとめます。
僕たちがBranchというサービスを運営している理由は「お子さんたちみんなが幸せになってほしい」から。
そのために「「自己決定した人生を歩んでいること」と「人とのつながり」が重要だと思っていること。
そのために「すべてをあるがまま受け入れてくれる環境」と「好きでつながる居場所」が重要だと考えていること。
それが「好き」で自信を創り、「好き」で社会とつながる、というビジョンにこめた意味です。