こんにちは。不登校や発達障害のお子さんと保護者さんのための居場所、Branchコミュニティを利用している、保護者ライターのタカハシです。
この秋のはじめごろ、ちょっとしたデキゴコロから、Branchオンラインコミュニティの保護者向けチャンネルで、こんな質問を投げかけてみました。
以前こちらの記事にも書いたように、Branchに集う人びとの利用の仕方やかかわり方は十人十色、日々の暮らしにおける意味合いや占める割合も、それぞれに違っています。
だからこそ、そんな利用者のみなさんにとってのBranchを家庭の台所にある調味料に例えてもらうことで、このBranchというコミュニティが利用者の生活にどんな味付けをしてくれる存在であるのかがわかると考えたのです。
調味料は、食卓への登場頻度も、料理にもたらすパンチ力も味わいもひとつひとつ異なります。きっと面白い答えが聞けるのではないかと想像しました。
集まった回答はどれも秀逸で、読みながらなるほどと唸らされたり深く頷いたり、興味深いものばかり。
この記事では、実際に出てきた答えをご紹介しながら、そこから見えてきた利用者の思いを紐解いてみたいと思います。
頼れる存在
困ったときの頼れる存在「オイスターソース」。
おかずに困ったら、取り敢えずオイスターソースを登場させて味付けする私。Branchも、困った時の心強い味方です。毎日参加はしないけど、わが家の生活を豊かにするのに欠かせない存在。
集まる人たちも個性的で味わいがあって、オイスターソースと一緒かも、なんて思いました。
頼れる存在というと、子どもたちが大好きなマヨネーズやケチャップが出てくるのかと思いきや、滋味深くて大人の味覚にも耐えるオイスターソースというのが、興味を引く答えでした、保護者にとっても必要な存在としてのBranchを表しているように思えます。
困ったときのオイスターソースわかる〜!頼りがいのある存在です!
新鮮な出会い
我が家にとっては「コショウ」です。
割と固定観念強めな自分に新しい概念を与えてくれるスパイスって感じです。
子どもとの生活という大航海時代さながらの荒波に飲まれかけながらたどり着いた大陸で、出会った新しい概念。最初はびっくりしたけれど、素材の良さを引き出してくれるし、美味しくなるし、保存は効くし、今では欠かせない存在です。
私には「ナンプラー」でしょうか。
私にとってBranchの主成分であるゲームとかアニメとかSNSとか、もともとあまり馴染みがなくて。それこそ生活を一変させるような大きなインパクトのある出会いでした。
それが、ちょっと垂らしただけで何でも大きく味変させちゃうナンプラーっぽいなぁ、と。
さらに、小さいころから家庭にあったわけじゃないけど、その味を知ってからはクセになって冷蔵庫に常備するようになった感じも、似てるような気がしています。
出会いという意味で鮮烈な存在だったというBranch。
それぞれに新鮮に感じる部分は違えど、Branchとの出会いで生活に新たな味付けが加わったと感じる気持ちは同じです。そしてどちらの利用者も、日々に欠かせないものになりました。
「塩」という答え
「塩」かなー。母なる海(子どもたちへの愛)から生まれた塩。
塩味としての味付けはもちろん、スイカの甘みを増してくれたり、魚の臭みを取ってくれたり、保存期間を伸ばしたり(漬物)、色んな方法で活躍してくれる!
料理以外でもマッサージソルトとか、「清めの塩」なんていうのもありますね。
その人それぞれに合った使い方があって、可能性も広がる、そんなイメージです。
私も「お塩」が真っ先に思い浮かびました。
海水には罪やけがれを取り除く効果があるとのことで、盛り塩をするそうですが、Branchに今までの毒素や罪やけがれを投稿してきてスッキリと軽くなった気がします。
「クレイジーソルト」です。
みなさんのお塩の話が素敵で、お塩いい!でも一種類じゃない、いろんな個性があって、みんな違ってみんないい!集まってもいい味出してる!という意味を込めて、お塩とスパイスのミックスが良いかなと思いました。
クレイジーソルトという答えは、スタッフさんからも。
「クレイジーソルト」かな。
保護者さん視点だと、そのご家庭やお子さんにとってのBranchの存在を思い浮かべると思うのですが、スタッフ視点だとカラフルな個性の宝庫!っていう感覚です🌈✨
いったいどんな味になるんだ?!っていうワクワク感も込めて選びました!
食べるだけでなくいろんな用途がある「塩」という答えも多く集まりました。
これに対して、「塩は人間の体に必要不可欠なもの、だからこそ人間は塩をおいしく感じるようにできている」といった指摘も出されて、私たち自身の体が必要としている何かを、Branchは与えてくれているのかもしれないという気すらしてきます。
お出汁でお鍋でお味噌汁なBranch
和風だしかなと思いました(調味料じゃない 笑)。
存在自体にも安心感がありますし、ものすごく主張するわけじゃないんだけど、ベースを整えてくれる感じですかね。そこに私たち親子はどっぷりと浸かる具材かな〜。3年浸かり続けた結果、ゆっくり煮込まれていい感じに味が染みてきた感じがあります。
美味しくなるベースと、生きていくうえで大切な好きなことを楽しむこと。「うま味」というところで共通点を感じました。
ふと、Branch は我が家の、「白だし」みたいだと思いました。
卵焼きは、白だし入れて作ります。ちょっと足すだけで素材を活かします。
それだけでお汁も作れるし、おでんとか煮物とか、醤油ほど色が付かないので足しやすく、奥行きが出る。
主張し過ぎないのに、奥深さを加えてくれます。
調味料という範疇を離れ、「お出汁」へと飛躍したこのアンケート(白だしはかろうじて留まってくれてると言えるでしょうか)。
質問者の私はBranchを生活に味付けする存在と想定していたのですが、それよりもずっと欠かせない、生活のベースとなるようなものと感じている方もいらっしゃることがわかります。
そして、次はとうとう料理に!(調味料どこ行った!?)
調味料というか、お味噌汁がしっくりくるなぁと思って。
お味噌汁は毎日食べても飽きない、疲れているときは心と体に優しい、毎日何かと助けられているところが似ているなぁと思います。
あとは、みなさんのお子さんとのやりとり(大変なことも、具体的な対応も、嬉しいことも)を読ませてもらうと、そっかそっか、となってて。なんだかそれぞれのお家の、お味噌汁をいただいてるような感じだなぁって思います。
また、スタッフさんからも、こんな意見が飛び出しました。
なんでもありの鍋がBranchっぽいな〜と思いました!
どんな具材がきてもOK!ウェルカム!の出汁(Branch)に、いろんな状態の個性さまざまな具材(保護者さん、お子さんたち)が入ってきて、出汁のあたたかさや優しい味にだんだん皆さんほぐされて、あったまって、染み込んでって、最終的に”鍋”という家族みたいな共同体になりつつ、鍋自体が居場所になっていく…的なことを妄想しました!笑
毎日の食卓に必ずといっていいほどあがるお味噌やお出汁という回答は、利用者にとってBranchがいかになくてはならないものになっているかを表しているようです。私自身もそうですが、朝起きたとき、仕事の合間や夜寝る前など、1日のどこかでコミュニティの交流ツールであるDiscordを開いて投稿をチェックすることが、習慣化した生活が思い浮かびます。
「それぞれのお家の、お味噌汁をいただいてるような感じ」というのもなるほどと納得させられる答えでした。たしかに、些細な出来事から思わず深く考えさせられることまで、日々Discordで行われているやりとりはそれぞれの生活や思考の軌跡を覗いているようでもあり、家庭の味の代表格であるお味噌汁の例えには、思わず膝を打ってしまいました。
お鍋というのもまた、さまざまな具材が寄せ集まって良いお出汁を作りながら、互いの味を染み込ませて…と、影響しあいながらそれぞれのペースで熟していく様子が思い浮かぶすてきな比喩です。
「キミはそのままでいいんだよ」
Branchは、程度の差はあれど、教室にいることに何らかのつらさを抱えた子どもとその保護者が、新たな居場所を求めて集まった場所です。ここに辿り着くまでに、悲しみに襲われたり不安を抱えたり、社会や学校への怒りを覚えることもあったでしょう。
ともすれば不登校になることで、世間から爪弾きにあったような孤独感に陥った方もいるかもしれません。
そんなことを念頭に、今回届いた利用者やスタッフのみなさんの答えをあらためてみていくと…
- 素材を活かし
- ベースを整えてくれる感じ
- 美味しくなるベース
- 素材の良さを引き出してくれる
どこからか、「キミはそのままでいいんだよ」と、子どもに語りかける声が聞こえてくるような気がしませんか。
保護者は、わが子の良いところをいちばんよく知っています。だからこそ、その良いところを見てもらえなくて残念な思いをするのも、誰かにちゃんと見てもらいたい、どうか認めてあげてほしいと願うのも、保護者の心情です。
そういえば、今回集まった答えのなかに「砂糖」という答えはありませんでした。甘さを引き立てる「塩」という回答はあったのに、砂糖やはちみつのような甘味そのものを追加する調味料は出てこなかったのです。
そのことからもまた、「そのままでもじゅうぶん」な子どもたちの素晴らしさを知る、保護者の思いが感じられるように思えてきます。
「塩」や「お出汁」のように料理の下支えするもの、素材をそっと受け入れ包み込んで生かすものが、今回のアンケートの回答として次々と出てきた理由を考えてたら、なんだかじんとこみ上げてくるものがありました。
「君は、本当は、いい子なんだよ」(『窓ぎわのトットちゃん』より)
「君は、本当は、いい子なんだよ」
黒柳徹子さんの『窓ぎわのトットちゃん』に繰り返し出てくることばです。
ことばの主は、トットちゃんが通う「トモエ学園」の校長、小林宗作先生。小林先生は、通っていた小学校を退学になってトモエ学園にやってきたトットちゃんに、何度も何度もそう言い続けたのだそうです。
この「本当は」に込められた意味にトットちゃんが気が付くのは数十年も経ってからのことといいますが、むろん、私たち大人にはすぐに見当がつきます。トットちゃんがどれほど誤解されやすく、ネガティブな烙印を押されてしまいやすい子どもであったか、容易に想像できるからです。
私たちの子どもはみんな「そのままでいい」、「本当は、いい子」なのです。
だから、しばらくの間「どっぷり浸かって」いられるこの居場所で、私たち利用者は「出汁のあたたかさや優しい味にだんだん皆さんほぐされて、あったまって、染み込んでって、最終的に”鍋(料理)”という家族みたいな共同体」として過ごしているのかもしれません。
みなさんの投稿を読んで、スタッフは居心地のいい「鍋」づくりをしていけたらいいのかもと思いました!
と言ってくださるスタッフがいるのが、Branchなのですから。
『トットちゃん』のあとがきには、小林先生のこんなことばも紹介されています。
好きなことに子どもが思いっきり夢中になることを応援するBranchのスタンスと、すこし似ているような気がしています。
今度、保護者の有志が集まって、『窓ぎわのトットちゃん』の読書会を催すことになりました。現代のトモエ学園…かもしれないBranchの利用者の目には、トットちゃんの世界を通して何が映ったのでしょう。とても楽しみです。
「好き」で安心とつながりを育むサードプレイス
この記事を書いているBranchは、不登校・発達障害のお子さま向けの「学校外で友だちができる」Branchコミュニティを運営していて、以下のような特徴があります。
- 「学校行きたくない」という気持ちを抱え、家族以外の人との関わりが減ってしまった不登校のお子さま達が自分の「好きなこと」をきっかけに安心できる居場所や、友達ができるようなサービス。
- NHKや日テレなど多くのメディアにも紹介され、本田秀夫先生との対談や、厚生労働省のイベントの登壇実績もあり、サービス継続率は約95%以上。
- 小学校低学年のお子さまはもちろん、どんな子でも楽しく参加できるようにスタッフがお子さま一人ひとりに寄り添ったサポートを徹底。
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